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日本怪獣出現史⓶~『ウルトラQ』ボスタングから『悪魔くん』パイドンまで


日本怪獣出現史の第二弾をお届けします。
前回はゴジラから30体の怪獣を紹介しましたので、今回も近い数字で、32体を取り上げたいと思います(ウルトラマンなどの巨大ヒーローも、怪獣カテゴリーに入れております)。

1954年のゴジラから、1966年5月のケムール人までで30体。それが、1966年5月から10月までの半年弱で32体の怪獣が出現しました。
この怒涛の「怪獣ブーム」の中で、どのような怪獣イマジネイションが生み出されたか・・・改めて検証してみたいと思います。
それでは。

<怪獣出現クロニクル2>

〇1966年5月22日 ボスタング(『ウルトラQ』)

〇1966年6月5日 スダール(『ウルトラQ』)

〇1966年6月12日 ゴーガ(『ウルトラQ』)

〇1966年6月26日 ピーター(『ウルトラQ』)

〇1966年7月3日 トドラ(『ウルトラQ』)

〇1966年7月4日 マグマ大使(『マグマ大使』)

〇1966年7月11日 モグネス(『マグマ大使』)

〇1966年7月17日 ウルトラマン(『ウルトラマン』)

〇1966年7月17日 ベムラー(『ウルトラマン』)

〇1966年7月24日 バルタン星人(『ウルトラマン』)

〇1966年7月31日 サンダ ガイラ(『サンダ対ガイラ』)

〇1966年7月31日 ネロンガ(『ウルトラマン』)

〇1966年8月1日 バドラ(『マグマ大使』)

〇1966年8月7日 巨大ラゴン(『ウルトラマン』)

〇1966年8月14日 グリーンモンス(『ウルトラマン』)

〇1966年8月21日 ゲスラ(『ウルトラマン』)

〇1966年8月28日 アントラー(『ウルトラマン』)

〇1966年8月29日 フレニックス(『マグマ大使』)

〇1966年9月4日 レッドキング(『ウルトラマン』)

〇1966年9月4日 チャンドラー(『ウルトラマン』)

〇1966年9月4日 マグラー(『ウルトラマン』)

〇1966年9月11日 ガボラ(『ウルトラマン』)

〇1966年9月18日 ジラース(『ウルトラマン』)

〇1966年9月25日 ギャンゴ(『ウルトラマン』)

〇1966年9月26日 アロン(『マグマ大使』)

〇1966年10月2日 ドドンゴ(『ウルトラマン』)

〇1966年10月9日 ペスター(『ウルトラマン』)

〇1966年10月16日 ガマクジラ(『ウルトラマン』)

〇1966年10月23日 ガヴァドン(『ウルトラマン』)

〇1966年10月24日 ガレオン(『マグマ大使』)

〇1966年10月27日 大海魔<パイドン>(『悪魔くん』)


・・・といったところが第二弾でございます。
『ウルトラQ』後半の、やや地味目の怪獣たちから(放送戦略上、スター性のある怪獣たちは、前半中盤に固められていたため)、いよいよ毎週怪獣とヒーローのバトルが見られる『ウルトラマン』の放送に突入した時期ですね。

しかし『ウルトラマン』より2週先行して、初のカラー特撮作品である『マグマ大使』が放送されていたことは、特筆されべきでしょう。
こうして順に並べて見ると、視聴者はまず最初の巨大ヒーローとして、マグマ大使と出会っていたことが、実感できます(厳密には、マグマ大使が身長数十メートルに巨大化するのは13話以降で、序盤は身長6メートルサイズだったですが)。

さて先行を許したとはいえ、1体の怪獣を4話完結で描く『マグマ大使』に
比べ、毎週新怪獣が登場し、毎週ヒーローとのバトルが繰り広げられる『ウルトラマン』は、あっという間に、そのハンディを埋めて抜き去っていきました。
特に2話で、分身を使う宇宙忍者バルタン星人という、極めつけのキャラクターが登場し、7話で早くもウルトラマンのスペシウム光線が通用しないアントラーが登場。そして翌週はレッドキングはじめ5大怪獣の無法地帯編と、子供が熱狂するイベント編が相次いで、ガボラ登場の『電光石火作戦』で、『ウルトラQ』の最高視聴率を越える39.5%という、圧倒的な人気を獲得しました。

ちなみにバルタン星人の人気には、少年マガジンで連載されていた楳図かずおの漫画版の貢献もあったでしょう(ホラー・タッチで絶品でした)。
また、マガジンでは口絵で怪獣図鑑的なものも展開され、その中ではレッドキングは「怪獣の王」として、高い格付けがされていました。
本編では意外に呆気なくウルトラマンにやられたものの、その高層ビルのようなデザインの魅力もあって、脳内補完的に「強い怪獣」として、認識されていましたね。当時は。

ただがガボラ以降は、着ぐるみの流用怪獣なども目立ち、ややパンチ不足の
印象もあり、「毎週大怪獣を登場させる」作品作りの難しさも実感させられるのですが・・・そんな中で折よく、実相寺昭雄監督作品が登場し、「異形の悲しみを背負う怪獣」という、全く違うテーマ・アプローチで、作品世界を深化させていくのでした。

前述したように、『マグマ大使』は比較されると不利な作品形態ではありましたが、それでもバドラなどは恐竜型の名獣で、マグマ大使を行動不能に陥らせるなど、なかなかのインパクトを与えました。また、青血病を流行らせるガレオンなど、ゴアが人類を滅ぼす兵器としての怪獣、という位置づけも、『ウルトラマン』とは違った魅力がありましたね。

そうした、テレビ怪獣量産時代に、唯一公開となった、東宝の劇場作品『サンダ対ガイラ』ですが、これはガイラが人を喰うという、トラウマになるほどの恐怖心を与えた作品であり、羽田空港はじめとするミニチュアセットや、メーサー砲の描写の魅力と、「これぞ劇場の怪獣映画」という、見事な貫禄を示した作品でしたね。

さて最後に入れた『悪魔くん』ですが、これは水木しげる原作の妖怪モノでありつつ、どう見ても怪獣としか思えない巨大妖怪が出現してきます。
それでもカテゴリーは妖怪ということで、怪獣図鑑に登場することはなかったですが・・・私はこれが不満でw
今回は、固有名詞がついている巨大妖怪は、怪獣扱いすることにしました。
その第一号が「パイドン」ということで、今回はここで締めさせていただきます。

さて、次の30体となると、『ウルトラマン』はまだ最終回まで到達しそうにありませんね・・・






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