マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ

みなさんどうもこんにちは
ビジネスマインドチャンネルです

今回は、ブランドマネージャー、マーケティングディレクターとして、「パンパース」や「パンテーン」、「プリングルズ」「ヴィダルサスーン」などのブランドを世に送り出してきた、西口一希氏著書の、
マーケティングを学んだけれど、どう使えばいいかわからない人へ
について解説していきます。

本書は、マーケティング戦略を駆使し、
ビジネスをより発展させることが出来るようになる一冊です。

それではさっそく本書の要点を4つお伝えしていきます。

要点1
マーケティングは、売れる仕組みづくりではない。顧客視点で、プロダクトをWHOとWHATでひも解くことからスタートする。

要点2
顧客が価値を見いだすか否かのポイントは、プロダクトの「便益」と「独自性」を自分ごと化して提案できるかにある。

要点3
ビジネスは、創出期の「0→1」段階、初期成長期の「1→10」段階、拡大期の「10→1000」段階の3つに分けられる。
各段階を構造的に可視化すれば、マーケティングのヒントが見えてくる。

要点4
人に興味を持つことが、マーケティング力アップにつながっていく。

チャプター1!マーケティングの本質は価値創造

著者は、マーケティングを
「お客さまのニーズを洞察し、お客さまが価値を見いだすプロダクトを生みだすこと。さらに、その価値を高め続けて継続的な収益を生みだし、その収益を再投資して新たな価値をつくり続けること」と定義している。
この定義によれば、マーケティングは、売れる仕組みではなく、お客さまにとっての価値をつくることになる。

マーケティングのポイントは、「WHOとWHATの組み合わせ」を明確にすることだと著者は言う。
「どんなお客さま(WHO)」に、「どんなプロダクト(WHAT)」を提案して「価値」をつくるのかを明確にできれば、「やること(HOW)」、つまり道筋が明確となり、「マーケティングの樹海」にはまって悩むこともないのだ。

たとえば、一定期間に牛乳が爆売れしたとしても、一般消費者だけが購入したとは限らず、研究用としてメーカーがたまたま大量購入した結果かもしれない。
購入したのが一般消費者でないことが分かれば、製菓業界向けにビジネス提案することでWHOとWHATが変化し、新たな価値が創出できる。

つまり、WHOとWHATが明確になって初めて、誰に何を販売促進すればよいのかというHOWを実行できる。

牛乳がプロダクトの場合、牛乳を買いたい人は誰か、その人たちが買いやすいのはコンビニなのか配達かという販売チャネルとしてのHOWを考えればいい。
巷に溢れる「ショート動画でバズらせよう」などは、手段や方法としてのHOWに過ぎないと肝に銘じよう。

マーケティングの本質は、「お客さまは誰なのか」というWHOと、「お客さまがプロダクトにどんな価値を見いだしてくれているのか」というWHATを明確にすることにあり、マーケティングのスタート地点となる。

チャプター2!「マーケティングの樹海」から抜け出す

「マーケティングの樹海」から抜け出す第1ステップは、そもそも「顧客が魅せられる価値とはなにか」を理解することである。

著者は、価値とは「便益」と「独自性」の両方をあわせ持つものと定義する。「便益」とは、具体的な利益をもたらすプラス要因で、「独自性」とは、他にはない唯一無二の魅力である。

たとえば、山歩き中に喉が渇いて、山奥で200円のミネラルウォーターを売っていたら「高い」と思いながらも購入するはずだ。この場合、「水でのどを潤せる」ことが便益で、「ここでしか買えない」ことが独自性となり、その2つに価値を見いだして、「高いけど買おう」という思考と行動をとる。

つまり、価値とは、金額や時間、それを手に入れる労力を総合的に判断したうえで交換される便益と独自性なのである。

翻せば、WHAT(プロダクト)は、何らかの選ぶ理由である「便益」とほかを選ばない理由である「独自性」を提供し、WHO(お客さま)を獲得することによって収益化する。これは、ビジネスの原則であり、便益と独自性が「自分ごと化」できたときにお客さまは価値を見いだすのである。

このプロセスがうまくいくか否かの分かれ道は、「WHAT(プロダクト)とWHO(お客さま)の間に価値が成立するかどうか」にある。これらの関係は以下の通り整理できる。

・価値とは、WHOがWHATに見いだした便益と独自性である

・価値は、WHOがWHATを提案する便益と独自性を自分ごと化して生まれる

・WHAT自体に価値はなく、価値となり得る便益と独自性を提案しているにすぎない

たとえば、ビールの飲めない人に「未体験ののどごし」を提案しても、自分ごと化できないため購入には至らない。では、「未体験ののどごしのうまさのビールをプレゼントにいかがですか」と提案したらどうだろう。同じWHOであっても、ビール好きな友人への贈答用として価値を見いだす可能性は高まる。結果、贈答用として購入に至れば、そこに価値が成立する。

お客さまが価値を見いだす提案ができるか否かのポイントは、どう自分ごと化させるかにあると言える。

チャプター3!0→1→10→1000

ビジネスは、0→1、1→10、10→1000の段階の3つに単純化できる。

ポイントとなるのは、不特定多数の中から最初のお客さまが見つかった0→1の段階である。
この段階は、多くの場合、創業者自身が、そのプロダクト(WHAT)に高い便益と独自性を感じ価値を見いだしている1人目のお客さまだ。
さらには、そのプロダクトに強い独自性がある可能性が高いが故に、このプロダクトに同様の価値を見いだすお客さまが他にいるのか、この段階では予想できないという特徴がある。

例えば、ソニーの代表的な商品であるウォークマンは、常に音楽を聴きたい創業者自身の要望を実現した製品だった。自分が欲しいと強く思うものは、同じように便益を感じる人が多く存在する可能性が高い。その最たるものであるウォークマンは、創業者の「欲しい」が世界中の何万人という人の音楽の楽しみ方を変えたのである。

すなわち、世の中のプロダクトは、1人のお客さまの出現から始まり、究極のニッチからスタートすると言える。

1→10は、0→1で成立したWHOとWHATの関係を拡大し、顧客獲得によって収益向上を図っていく段階である。この段階ですべきことは、0→1のお客さまと同じ価値を感じる人たちを見つけ出し、価値を感じた要因を把握することである。

例えば、マクドナルドの朝のメニュー「朝マック」について考えよう。
朝マックを利用するのは、通勤・通学途中の人たちで、慌ただしい朝の時間帯に郊外のマクドナルドまで食べに行く人は少数だろう。つまり、朝マックの利用には、「生活圏」「通勤圏」「通学圏」が関係し、価値を感じるお客さまの居住地や生活形態、価値観を深く理解することがお客さまの発見につながっていく。

その後は、同じような生活圏に住む人や行動様式を持つ人をターゲット層とし、通勤・通学中に目にする頻度が多い電車広告に朝マックの広告出稿をするなどの認知訴求を図っていく。このように、WHOとWHATが把握できれば、それを拡大するHOWにつなげられる。

10→1000は、1→10のWHOとWHATの関係を追求し、より大規模な成長の可能性を探っていく段階である。購入要因は、顧客が100人いても主な便益と独自性に絞れば、大抵は5~10パターン程度で成り立つ。したがって、この5~10パターンのWHOとWHATの組み合わせを拡大していくことで、ビジネスはさらに伸長する。

例えば、マクドナルドでは、朝マックだけを利用する層に、昼・夜も利用してもらうために、17時から「夜マック」を展開し、夕食のニーズに合う肉厚のパティを提供した。結果として、既存顧客の購入単価と購入頻度をアップさせることに成功し、さらに、「朝マックは利用しないが夜マックは利用したい」層への訴求にも成功した。

こうした段階を踏んだプロダクトの便益と独自性の多様な組み合わせと提供で、様々な人々へ価値を提供し、潜在顧客を取り込んでいくと同時に、既存顧客の単価と頻度の最大化が実現するのである。

チャプター4!マーケティングでやるべき2つ

マーケティングでやることは、「新規のお客さまの数を拡大していくと同時に、離反を最小化し、お客さまの継続購買を促すこと」、「そのための継続的な便益と独自性の提案と価値づくり」、究極的にはこの2つである。手順としてはまず、顧客数を増やすためにマーケット全体から「最初のお客さま」を探し出す。「最初のお客さま」が価値を感じる便益と独自性は何か、人物属性を見極める。

続いて、「最初のお客さま」とは違う点に価値を見いだしているお客さまを見つける。

さらに「最初のお客さま」が感じた価値に同調するお客さまを探し、価値を認知させる方法を考え、初回購入につなげていく。

プロダクトの使用後は、「価値の再評価」によって再び価値を感じてもらえるとリピートにつながる。

どんな便益と独自性なら再びプロダクトに価値を見いだしてもらえるかを考え、リピートへつなげていく。

マーケティングは非常にシンプルな作業である。究極的には「新規顧客数の拡大、離反の最小化とリピートの促進」、「継続的な便益と独自性の提案と価値創造」がすべてである。

マーケティングが難しいと思われている要因は、顧客を軸に考えていないからである。つまり、WHOが不明確な状態で手段や方法のHOWから入ろうとすると「マーケティングの樹海」に迷い込んでしまうのだ。

ポイントは、お客さまが感じている便益と独自性は何かを把握することだ。顧客起点で、お客さまとなり得る人はどんな人か、何を伝えればいいのかを軸に考えると自ずとどうやって伝えるべきかのHOWが見えてくる。

チャプター5!価値を想像する

顧客が便益と独自性に価値を感じても、同じ価値をずっと提供していたら、その価値はいずれ薄れていくものだ。新しい価値創造に絶えず挑戦し続けることで、企業は継続的に利益を得ていく。

マーケティングは、究極的には「価値をつくること」が目的である。プロダクトには、商品やサービス、体験などの無数の可能性がある。プロダクトを生みだし、提供することで、プロダクトに価値を見いだす顧客を探し出す。企業が継続的に利益を獲得するには、絶えずプロダクトの価値を高め続け、獲得した利益を再投資して新しい価値を創造するというループをつくることが必要だ。マーケティングは、そのループを実現するための役割を担っている。

マーケティングで必要なスキルは、「お客さまの気持ちになりきり、どういうものが価値になり得るかを想像する力」だと著者は言う。著者が遭遇してきた天才的なマーケターに共通しているのは、顧客起点で「何をやったらお客さまに喜んでもらえるか」を必死に考え続けている点だそうだ。そのため、人に興味がある人はマーケターに向いている。

マーケティングに不可欠な「お客さまにとっての価値を想像する力」を養うポイントは、「常にどこでもシミュレーションを重ねていくこと」である。有効なトレーニング方法は、日常生活において「なぜこれを買ったのか」を振り返り、理由を考えてみることである。さらに、ほかのものに置き換えられないのかを考えてみる。例えば、朝食でサラダを食べたが、他に置き換えられなかったか、などあらゆることをシミュレーションすることで、自然とマーケティングに必要な力が身についていくはずだ。

楽しみながらトレーニングをし、正しいマーケティングを身につけよう。

まとめ

本書は、企業事例が満載で非常に分かりやすい。マーケティングに対するモヤモヤ感を払しょくしてくれ、読了後には爽快感さえ覚えました。
また、マーケティングのフレームワークを「手間がかかる割には成果に乏しいワーク」ときっぱりと言い切るだけあって、その理由が明確に言語化されています。
「マーケティングとは売るためのテクニック」だと考えている人へ確実に新しい発見をもたらしてくれるだろう。
さらに、マーケティングを使って成果を出すための日々のトレーニング方法も記載されている。マーケティングが分からなくなった人の一筋の光となるだけでなく、マーケティング初心者の入門書としても最適です。
本書を読めば、「マーケティングの樹海」から確実に抜け出せるだろう。マーケティングに悩む人の必読書であるといえます。

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