世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?

エリートになり切れないそこのあなた
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今回は、ゴールドマン・サックスに就職後、ハーバード経営大学院にてMBA取得し、マッキンゼーに従事した戸塚 隆将氏著書の、
世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?
について解説していきます。

本書は、エリートと呼ばれる人たちの思考の基本をまとめたものになります!

それではさっそく本書の要点を4つお伝えしていきます。

要点1
将来どのような利益をもたらすかは現時点で分からないが、利害関係を越えた何かのつながりを信じることが、結果として人間関係を発展させることにつながる。

要点2
世の中の現実課題のほとんどに正しい答えは存在しないため、日頃から読書や新聞を通じて自ら課題設定し、解を見出す訓練を積むことが重要だ。

要点3
成果を出すためには、仕事を頼まれたらその場で完成イメージを共有することや、自ら進んでホウレンソウを行うといった、上司とのコミュニケーションが鍵を握っている。

要点4
キャリアアップのためには、昇進が決まる前にその能力があることを示す必要がある。背伸びして仕事に取り組めば、その分早く成長することができる。

エリートの基本なので、皆さん真似するようにして下さいね!

チャプター1!人との「つながり」を大切にする

ゴールドマン・サックス、マッキンゼー・アンド・カンパニー、ハーバード・ビジネス・スクールの全てを経験した戸塚隆将氏。
本書において彼はエリートに共通する48の「基本」を解き明かしている。
戸塚氏はハーバード・ビジネス・スクールに行って良かったこととして、
①友人関係、
②視野の広がり、
③一定の自信の獲得を挙げている。

ハーバード・ビジネス・スクールの他の学生もMBAの価値についてほぼ同様の意見を持つが、なかでも一番に挙げる価値は「友人関係」だという。だからこそ、ハーバード・ビジネス・スクールの学生は人脈作りに時間を惜しまない。

事実、ハーバード・ビジネス・スクールは別名「パーティースクール」と揶揄されるほど、飲み会やパーティのイベントが多い。学期中はクラスへの出席やグループ学習に加えて、毎日最低10時間以上の自習が求められるため、食事の時間すら惜しいと思えるほど忙しい。彼らはそれでもどうやってイベントに参加する時間を捻出するかに頭を悩ませるのだ。

ハーバード・ビジネス・スクールの学生が他の学生との交流に時間を使う理由は、人との時間に投資をすることを重要視しているからだ。目の前の勉強や仕事に励むことも必要だが、何よりも友人・知人と一緒に時間を共有し、その結果、人とのつながりが広がっていくことが大切だと認識しているからである。

例えば、会員制ファッションサイトのギルト・グループの共同創業者2人はHハーバード・ビジネス・スクールのクラスメートだ。ハーバード・ビジネス・スクールのクラスメート同士で創業したケースは、戸塚氏の卒業年にも見られたそうだ。

戸塚氏自身、マッキンゼーを退職し、独立した当初、一緒に会社を立ち上げた仲間は、大学時代からの親友だった。学生時代に将来一緒にビジネスを立ち上げることになるとはお互い想像していなかったという。

スティーブ・ジョブズがスタンフォードの講演で述べたように、人間関係はまさに「connecting the dots」であり、利害関係を越えた何かのつながりを信じることが、結果として人間関係を発展させることにつながる。そのためには日頃から分け隔てなく、幅広い人間関係を構築することが大事なのだ。

だからこそ、どんなに多忙でも、週1回仕事と関係ない人に会う。

週に1回、必ず社外の友人・知人と情報交換することは、視野と人脈を広げる目的で、とても効果的だ。自分の興味と異なる関心を持っている人や、異なる環境で育った人などと積極的に話をしてみると、そこから思わぬ発見があったり、新たな目標を見出したりできるものだ。
新たな仕事やビジネスチャンスを見つけ、キャリアにおいても成長する機会を開くことができるかもしれない。

戸塚氏自身、ハーバード・ビジネス・スクールでは定期的にクラスメートと食事をするよう心がけた。マッキンゼー時代にも自分の知らない業界の人達に会いに行き、独立起業するにあたっての情報や助言をもらったそうだ。

日々の仕事に追われるあまり、つい後回しにしがちだが、一度外に出てみれば、社外の人とのつきあいがいかに建設的なことかわかるだろう。
戸塚氏によれば、社外ネットワーキングを効果的にするには、1週間に最低1回の時間を確保すること、信頼する友人・知人を介して人に会うこと、ピンときたら即会うこと、を心がけることがコツであるという。

本書ではこのほかにも人との「つながり」を大切にする「基本」として、外資系企業を渡り歩いた著者ならではの「外国人との挨拶の仕方」などが紹介されている。

チャプター2!「自分磨き」を一生継続する

本書で2つ目に紹介されているのが、自分の内面と外見を磨く「基本」だ。戸塚氏は物事を考える際の姿勢や心の持ち方だけでなく、服装などの外見にも言及しているが、ここでは思考を磨くための「基本」を紹介しよう。

日本の受験制度においては常に正答のある試験が課され、試験結果で進学の合否が決められる。

だが、世の中の現実課題のほとんどには正しい答えはないと言えるだろう。日頃からビジネスパーソンとして、現実の様々な事象に対して自分なりに課題設定し、解を見出す努力をすることが重要だ。

ハーバード・ビジネス・スクールでは「世界に変化をもたらすリーダーを育てる」ことを目的として、ケースメソッドを最重要視している。そこでは全ての授業で企業、国などの組織や個人の現実課題を取り上げ、ケーススタディとしてディスカッションを行う。教授は「正しい答え」を一方的に教えず、学生間の議論のファシリテートに徹し、学生自らの気づきから議論を導いていくのである。

戸塚氏は、「正解のない問い」に対する訓練方法は、日頃から読書や新聞を読む際に実践できると説いている。

本書では元マッキンゼー日本支社長の大前研一氏の言葉を借りて、「読んだ時間の3倍考える」ということを推奨している。
仮に一冊の本を読むのに2時間かかるとすれば、その3倍の6時間考える、ということだ。いきなり本全体の主要メッセージに飛ぶのではなく、章ごとに手を止めて要旨をまとめ、メッセージを集約するプロセスが訓練には良い。その際、自分にとっての意味合いを引き出すことも忘れてはならない。

このほかにも本書では、2紙以上の新聞を「世間の反応」を考えながら、紙で読むことなども有効な方法として紹介されている。

チャプター3! 「日々の成果出し」に強くこだわる

目の前の仕事で手が回らなくなり、困り果てているゴールドマン時代の戸塚氏に、先輩が一枚の紙で作業リストを整理してくれた結果、仕事のパニックから抜け出すことができた。

To Doを整理する際、①優先度、②完成までに要する時間の2つの軸で、目の前の仕事を部類分けするのが良い。
仕事を優先度の高低で分類すれば、すぐにやるべき仕事がどれかが明確化し、気持ちを落ち着けることができる。次に、完成に要する時間の長短で整理をすれば、取りかかってしまえばすぐに完了できる仕事と、そうでないものの区別が可能になるのだ。

この2軸で分類した4マスのマトリクスで目の前の仕事を振り分け、優先度が高く完成に時間がかかる仕事の対応から済ませていく。どう頑張っても締切りに間に合わないのであれば、その旨を先に連絡すれば、当日謝罪するよりも傷口は浅くて済むだろう。

限られた時間の中でどう優先度をつけていくか、そして、生産性が下がらないように冷静に一つひとつ対処していくことが重要である。

仕事を引き受ける際には、その場で指示者と仕事の完成イメージを共有すると良い。プレゼン資料の作成において必要なことを考えてみよう。どんなメッセージを伝えるか。いつの会議においてか。どのようなセッティングにおいてか。プレゼンの背景はなにか。プロジェクターを使うのか紙で配るのか。こうした5W1Hをしっかりと確認するのである。

そうすれば自ずとどのようなプレゼンテーションが効果的か絞り込まれてくるはずだ。相手がクライアント企業の役員であれば、資料はコンパクトにすべきだ。年配の方であれば、配布資料の文字は大きめに作る必要がある。

次に、具体的な完成イメージを共有する。簡単な方法は、以前行った同様の仕事を例に挙げることだ。「半年前に〇〇社に行ったような『イメージ』の資料で良いですか?」と確認するだけで、上司とあなたの前提共有は十分である。こうすることで、お互いの誤解を防ぐことができるし、忙しい上司にもアウトプットを意識してもらうことができる。

多忙な上司やチームメンバーの時間にタイミング良く割り込み、効率良いホウレンソウを実現することは時に重要なことだ。なぜなら、彼らのスケジュールがボトルネックとなり、仕事の進捗が遅れることが多々あるからである。まして、決裁権限を持つ上司へのホウレンソウはスキップできない。割り込み力は効率的な仕事術の鍵を握っているのである。

本書では、忙しい人のスケジュールに割り込む3つのコツが紹介されている。

① 自信を持って「割り込む」

相手は自分のホウレンソウを求めている、と自信を持ってのぞむことだ。忙しい相手だからといって、遠慮する必要はない。

② 常にホウレンソウできる準備をしておく

仕事の状況を適切に把握し、コンパクトに説明できるように、常に頭の中で整理しておくことだ。そうすれば今何をすべきかがはっきりする効果もあり、無駄を省くことができる。

③ コンパクトに切り出す

「〇〇の件で、3分だけお時間をいただけないでしょうか」と切り出し、「私は〇〇と考えていますが、よろしいでしょうか?」という念押し型のホウレンソウを実践する。

多忙な上司のスケジュールに割り込むことで、仕事の効率性が高まるばかりか、あなたへの信頼も高まることになるだろう。

エリートの仕事術の「基本」として、本書ではこれらのほかにも「マッキンゼーノート」を使った伝わる資料の作り方などが紹介されており、ぜひ読んでいただきたい。

チャプター4!「世界的な視野」を常に意識する

次に、世界に打って出る視野を持つことの重要性とその方法だ。戸塚氏が海外のMBAや外資系企業を経て身に付けた、キャリアについての考え方が語られている。

ハーバード・ビジネス・スクールの同学年全員が集まった際に、時のハーバード大学学長ローレンス・サマーズ博士が約1時間にわたって、日本経済の問題について持論を展開した。そのプレゼンテーションの後の質疑応答の際、戸塚氏は真っ先に立ち上がり、日本経済が立ち直るための解決策の提示を求めたという。

1000人を超える出席者が会する場で、ハーバードコミュニティのドンでもあり、アメリカ資本主義の象徴であるサマーズ氏に質問し反論をするというのは、なかなか勇気のいることだ。
それでも日本人としてのプライドが、戸塚氏に無心に近い状況で手を挙げさせていた。健全な愛国心がパワーに繋がったのだ。世界の舞台では日本代表であることを忘れてはならないのである。

組織は、ある個人を昇進させ、さらなる大きな責任を与えてから、その個人が機能しないリスクはとりにくいものだ。中には「10人抜き人事」もあるが、こういった抜擢人事も、実はその人が過去既にその人事に相応しいだけの実績を示しているケースが多い。

部長になったからリーダーシップが身に着くのではなく、リーダーシップがあるからチームや組織を率いるポジションにつくのである。

ゴールドマンやマッキンゼーでは、公式に昇進が決まる前に昇進後の役職を務められる力を示すことが求められる。最低でも過去1年の間に、相応の能力があるということを日々の業務で証明する必要があるのだ。この2社では360度評価が導入されており、上司だけでなく同僚や部下からも評価されなければ昇進することはできない。

「そろそろ君ももっと大きい責任を背負ってもらいたい」と言われる前に、自ら責任を背負うようにすれば、視点が高まり、自分に何が足りないかが明確に見える。背伸びをすることは、自分の長所を強め、欠点を補い、キャリアを積み上げていくことにつながるのである。

総評
本書ではゴールドマン、マッキンゼー、ハーバードに共通する48の「基本」が紹介されています。
48の「基本」はビジネスパーソンにはどれも欠かすことのできない必修ポイントと言えるでしょう。
ぜひ、概要欄から本書を手に取っていただきたいと思います。

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