フィールドの魅力と魔力 Xデザイン学校校外研修・京都#2#3

京都のフィールドワークとKA法講座、全4日の2、3日目のリフレクションです。

明るい夜討ち朝駆け

仕事でもないのに、早朝から深夜まで、必死で歩き回ったのは久しぶり。
事件災害取材以来かな。

講座資料に「フィールドワークは夜討ち朝駆けが大事」と書いてあった。
夜討ち朝駆けは、報道用語。
本来の意味での夜討ち朝駆け経験は、辛い思い出しかない。
詳細を書きたくもない。
(追記:「夜討ち朝駆け」の語源は戦用語でした。すみません)

が、今回、超夜型の私が朝7時から街をうろつき、日中長時間チャリをこぎまくり、疲労困憊なのに夜のカフェで話を聞き続け。

ただただ、楽しかったな。
本業の夜討ち朝駆けも、これならよかったのにな。

他人を知ること、世界を広げることは、掛け値無しに楽しい。
締切もネタを取らなきゃという焦りもなく、ただ相手を知ろうと、見て、聞く。

楽しいからこそ、リサーチクエスチョンを忘れて、ただ「へぇ」と思ったことを聞いてしまった場面が多々あったが。

初手の間違い

記者は現場に出てなんぼ。
とはいえ、一見さんがノープランで街に出て、向こうからネタがやってくることなどない。
普段のネットワーク作り、知識と感性がないと、時間の無駄。

エスノグラフィも、事前のデスクリサーチがあるからこそ、「何でこんなことしているの?」と引っかかることができる。
と、本に書いてあった。座学で聞いた。

そらそうだろうなと思う一方、取材ではないものの準備はいまいちイメージがつかない。
「ま、なにができないか、どう失敗するかを体験しないと、考えてもわからんか!」と、ほぼ準備無しで臨んだ。

ベーシックコースでも、初手を間違うとどんどん後の工程がやばくなるが、今回も笑うほど見事に初手の間違いが効いた。
「だいたいこんな感じ」という雑なイメージを特に深掘りもせず現場に行き、違うやん??多分やけどこういう場所やん??を理解するのに、半日かかった。

最後の講評で浅野先生が、じゃあ何を調べたら良かったのかを考えると言われたのだが、まさにそれを考えつつ歩いた2日間だった。

余談。

「もし京都が東京だったらマップ」を東京の人が見ると、本当はないイメージまで勝手に脳内で補ってしまう気がする。

「門前仲町みたいってことはきっとこう」
「それなら対比する街はここがいい」

この発想で調査エリアを決めたが、本当にあれでよかったのか。
京都をよく知る人が言う「例えるなら門仲」と、京都を知らない人間が「門仲ってことはあれか」は、思い浮かべるものが全然別。

なのに、同じだろうと思えてしまうのが怖い。
比喩は理解を助けるが、差異を見えなくする行為なのだ。

KAカードが書けなかった理由

前回の座学でカードを書いた時、わりとスラスラ書いた。
今回、フリーズした。

多分理由は二つ。
①行動から聞いていない
②情報量が多かった

①行動から聞いていない

事前知識がなさすぎるから、フィールドに出ても、見るとっかかりがない。
すがるように、街のことを知っていそうなお店の人に聞きに行く。古そうな地元住民に話を聞く。

なるほどー!と知ったつもりになったあと、それを自力で観察する場所がそう簡単に見つからないことも理解して、軽く絶望する。
一朝一夕にいかないことを、一朝一夕にやろうとしている矛盾。

結局「こういう人が住んでるっぽいから、そういう人がいそうなところに行って、捕まえて話を聞く」になる。
つまり、人探し。

ここでタイムオーバー。

10人以上に話を聞いて、メモは膨大でも、観察した行為が少ない。
面白い話をたくさん聞いて、他の受講生の皆さんに「こんな話を聞いたんですよ。面白くないですか」と語るネタはたくさんあるのに、カードを書くための聞き方をしていないから、書けない。

行動に無理やりつなげて書いたら、嘘みたいになった。
準備不足=初手の間違いが致命傷だったことを理解した瞬間だった。

②情報量が多かった

前回の座学では、他人がインタビューしたテキストを読んで、カードを書いた。

今回は全身で情報を得た。
非言語情報というのは馬鹿にならない。

情報量が多すぎると、たった30字の「出来事」が、なかなか書けないのだ。
短いからこそ書けないというか。
不要なものを削ぎ落とす間に、無情にも時間が過ぎていく。

正直、そのカードを元に分析するのはしんどいなーと思った。
頑張って歩き回り楽しかったからこそ、私が見たのってこれじゃなくないか?感。

情報収集
フィールドワーク
分析

全てがブツブツ切れてしまった。
ラピッドエスノグラフィは確かにKA法がいいな、と理解できるには至らなかった。
正直KA法の使い所がまだよくわからない。

「これ京都的にはアウトですよね」と言う自分

「京都人は怖い」「閉鎖的」「ならではの美意識を大事にする」
フィールドワークをするまでもなく、なんとなくそう思っている人は多いだろう。

じゃあ一体、彼らは何を良しとして、何に眉を顰めるのか。
「法則当てクイズ」ができないなと思っていた。

○○にあって、××にはない
△△にはあって、⬜︎⬜︎にはない
では**はどちら?

というやつ。
法則がわからないうちは、確率2分の1で外し続ける。
「そういうのは、京都人はやらないんですよ」と何度も浅野先生が言うわけだが、これは「また外しましたよ」という意味。

講座が終わったあと、京都在住の先輩記者と会った。
食分野の専門家として、the京都人にたくさん会っている。
2日間で自分が感じた京都を、先輩に色々聞いてもらった。

帰り道、インスタ映えしそうなある店が目に入り、思わず、
「この店は京都的にはアウトですよね」と言ったら、
先輩が「そうだね、これはダメだわ」と返してくれた。
それがなぜか、この2日間のご褒美のようで、勲章のようで。

その中身も書きたいのだけれど、明日にする。
流石に肉体の限界が。

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