犬と人格とプリキュアと

2004年から始まり今もなお人気のアニメ『プリキュアシリーズ』。今年も新しいプリキュアが発表される時期がやってきた。今年のタイトルは『わんだふるぷりきゅあ』で、なんと犬がプリキュアになるという初の試みである。

現在放映中で物語がクライマックスに差し掛かっている『ひろがる!スカイ』では「男の子」や「成人女性」、「赤ちゃん」がプリキュアに変身するという今までになかった試みをしたことで話題なったが、今度は「犬」である。過去作にはミルキィローズやキュアパルフェなど元々が人間でない種族がプリキュアに変身するという前例はあったものの、彼女らは異世界出身である。今回は、現段階で公開された情報を見る限りは、中学2年生の女の子犬飼色はの飼い犬のこむぎ、つまり人間界の純粋な犬がプリキュアに変身するというのだから斬新を通り越して異質とも言える試みと言えるだろう。デザイン的に飼い犬ではあるが実は異世界出身の設定でないかと疑ったが、キャラクター紹介には「飼い犬のパピヨン」と書かれており、わざわざ実在する犬種を書く以上現時点では異世界出身ではないと踏んでいる。

犬がプリキュアに変身するにあたり、個人的に一つの懸念事項が生じている。犬がプリキュアとしての人格を持ち得ることが可能であるかということだ。
多くの場合プリキュアは中学2年生もしくはその前後の年齢に相当する女の子が変身する。第二次性徴期で幼さやあどけなさを残しながらも心や体が大人に差し掛かる年頃が物語に組み込みやすいというのもあるが、彼女たちは十分な人格が形成されているからこそ目的を持ってプリキュアに変身して戦うことに違和感を感じることなく物語を楽しめる。人格が形成されているという点では男の子や成人女性がプリキュアに変身しても、キュアウィングやキュアバタフライについては私はすんなり受け入れた。しかし実を言うと赤ちゃんであるプリンセス・エル変身したプリキュアであるキュアマジェスティはどうも受け入れるのが難しかった。人格の土台は3歳くらいに形成され、10歳くらいまでに確定すると言われている。その段階に至っていないプリンセス・エルがプリキュアに変身してプリキュアとしての人格を持つことに違和感を感じてしまったのである。
『わんだふるぷりきゅあ!』のキュアワンダフルの場合はどう考えるか。犬だからそもそも「人」格ではないかもしれないが、動物が人間らしい人格を持って物語を展開する創作は過去にも多く存在する。『3丁目のタマ』や『とっとこハム太郎』などが良い例だろう。ただし、これらの作品は動物同士のやり取りで展開されており人間と動物が対等な関係で意思疎通をするようなことはない。『わんだふるぷりきゅあ!』の場合は犬も人間も変身したらプリキュアとして同列に扱われることになる。人間とは違う生物を人間と同じ人格を持たせて物語を展開することに違和感が生じてしまいそうな気がしてならない。

もちろん製作陣も新しい試みをする以上はそういう違和感を持つ視聴者のことも十分懸念して作品作りをしているのだろうし、長期化するシリーズでは新規の試みをすることで幾らかの反発や不安が生じるのはよくあることである。
私も不安事項はあるが、見ないで評価するわけにはいかないので初回放送から見ていくつもりである。ちなみにキャラデザ的にはロリっぽい感じがしてかなり好みである。

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