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本格化するProgrammaticOOH。巨大プラットフォーム「VIOOH」を見てみよう。

本日は、「見えてきたProgrammatic OOHの形」をテーマに、欧州のProgrammaticOOH事例を具体的に紹介していきたいと思います!

2週間ほど前、世界最大の媒体ネットワークを持つJCDecauxのCEOである、Jean-Francois Decauxさんがテレビのインタビューに答えていました。

2020年のJCDecauxの売り上げは、前年比マイナス40%となり厳しい一年を過ごした中で、今後の展望・成長可能性について聞かれたJean-Francois Decauxさんは、「VIOOHを活用したProgrammatic OOHに期待している」と語っています。

VIOOHというのは、JCDecaux社が2018年にローンチした、DSP/SSPプラットフォームです。モバイルデータを活用し、媒体単位でのインプレッションを計測することによって、OOH媒体をインターネット広告のように販売することを目指しています。

Programmatic OOH

Programmatic OOHという言葉は2014年くらいから少しずつ使われるようになってきたのですが、、、

2014年当時は言葉の定義もあいまいで、OOH広告がインターネット広告のようにインプレッションで取引できる未来がきそうだよね。という未来予測的に使われていることが多かったと思っていたのですが、、、当時のDOOHの配信システム上インプレッションの取引に対応する事が難しかったり、そもそもデジタルサイネージ(DOOH)の普及率/売上比率が低かったりという事で、最初数年はあまり現実的な部分は見えてきていませんでした。

そんな中で、JCDecauxという世界一の媒体社がVIOOHをローンチしたことによって、本格的にビジネスが幕を開けた感じがしています。

VIOOHには、既に世界14か国の媒体が登録されており、面数を世界的に拡大している事に加え、Verizonやthe trade deskなどの主要なインターネット広告のDSPとの連携もスタートしているので、OOH広告を単体で売るのではなく、デジタル広告と同時にインプレッションで取引をし、評価する。

ということに、積極的なチャレンジを見せていることがわかります。

VIOOHは開始当初はどのように使われるか不透明な部分もあったのですが、2018年~2020年の3年間で事例がたまっていて、わかりやすい&日本で転用できそうなものも多いので、今日はVIOOH通じたProgrammatic OOHの事例について紹介していければと思っています!

商業施設内店舗への誘因

イギリスのネスレは、商業施設の中にある店舗への誘因を目的として、VIOOHを通じたOOH広告の配信を行っています。

こちらは、Store Boostという、専用機器を使って店舗の混雑状況を把握するサービスを持つ会社さんと連携をして行ったキャンペーンなのですが、店舗が混雑していない時間帯だけ商業施設内のDOOHに広告を配信して誘因する。ということを実現しています。

(こちらが実際に流れた広告です)

DOOHに配信する広告内に混雑状況を表示しているのですが、VIOOHを通じて配信を行う事で、店舗がすいている時間帯だけ広告を配信する。ということが実現でき、放映された分のインプレッションをもとに、媒体料を支払う。という取引が行われています。

これまでの媒体社によって決められた販売単位(1週間、1ヶ月など)ではなく、買いたいときだけ買う。というのが実現できるようになっていることがわかります。

ゲーム好きに絞って訴求をする

ベルギーの事例になりますが、SonyのPlaystationゲーム「Ghost of Tsushima」のプロモーションにて、家庭用ゲーム機で遊ぶ人をターゲットにOOHキャンペーンを展開しています。

スマートフォンから取得した位置情報をもとに、家庭用ゲーム機を使っている人(ここではどのようにスマートフォンと家庭用ゲーム機ユーザーを結びつけているのか具体的な方法は書いていませんが、おそらくWifiなのではないかと思っています)が、どの媒体面にどの時間帯に多く接触しているのかというデータを抽出し、そのデータを活用して、最適なDOOH面を選んで広告配信を行っています。

このキャンペーンは、ゲームの発売前からスタートし、発売後4週間ほど行っていたようなのですが、キャンペーン期間を長くすることができる。というのもProgrammatic OOH(インプレッションでの取引)の特徴です。

これまでは、媒体社によって決められた1週間ないしは2週間のすべての枠を買わなければいけなかったわけですが、欲しい時間・場所だけ買うことになるのでコストを絞ることが可能になり、その分長くキャンペーンを行い、期間内などにもプランの変更を加える事ができるので、広告の効果を検証しやすい状況を生むことになります。

ライブデータとの連携

続いてはルノーのZOEという電気自動車のキャンペーンにおける事例です。

電気自動車を買う人というのは、多少なりとも環境に対して意識を持っている人だと思うのですが、こうしたターゲットを狙うべく、空気の汚染状況をトリガーにしたOOH広告の配信をVIOOH通じて行っています。

市から提供された媒体の設置場所周辺のリアルタイムな空気汚染状況に応じて広告配信の有無を決めたり、クリエイティブを変更するなどしています。

なんか空気が汚いなぁ。というのは肌感覚でもわかることだと思うので、こうしてOOHで訴求されると、刺さりやすいのではないかと想像できます。

結果としては、プログラマティックではなく、終日広告を放映したときに比べて26倍ほど効率的に広告が出稿できた。という結果が出ているようなのですが、Programmatic配信はインプレッションでの取引が基本となるので、配信する面も媒体社の定めたパッケージで買う必要がなくなり、効率的に配信ができているのだと思います。

データの使い方が重要

というわけで、今日は3つの事例を紹介させて頂いたのですが、、、まだまだ他にもたくさんの事例が生まれています。

こうした事例を見ていくと、既存の販売方法ではなく、ProgrammaticOOH(インプレッションベースでの枠取り引き)が進むことによって、効率的にターゲットに広告を届けることが実現可能になっていることがわかります。

ただし、ProgrammaticOOHは取引のスピードや柔軟性を生み出してはいるものの、仮設・検証についてはアイディアが必要になると思うので、代理店側の役割としては、自社や協力会社の持つデータをどのように活用して、媒体の選定を行っていくか、広告配信を行っていくか、その結果を検証していくか。を掲示することが重要になってきそうです。

クライアントのニーズに答えられるデータソースとアイディアがProgrammaticOOH時代に求められる代理店なのではないかと思っています。

ProgrammaticOOHは選択肢

最後に、Programmatic OOHに関する発信を行うと、

「OOHの価値は細分化とか最適化じゃない!」
「もともとPDCAを回す目的で買われているわけじゃない!」
「ポスター媒体の価値はなくなったということですか!」

という声を頂くこともあるのですが、

大きくて派手な広告や、毎日接触する電車の中のポスター広告がオワコンだ。と言いたいわけではなく、OOH広告のカバーできる役回りを増やすのに、Programmatic OOHというのは確実に必要になっているよね。

ということで情報共有していることを、理解いただけると有難いなと思っています!

それではまた!

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