短歌ログ(～20/09)

短歌SNSうたよみんに玄野という名前で投稿していた短歌をまとめました。うたよみんはSNS的機能が諸々失われてしまったのもあり、今後継続して投稿するかわからないな……と思うので、以降は適当に書き溜めてここにログを投稿していくような形を取りたいなと思っています。どれもこれも独学の下手の横好きで詠んだものですが個人的には気に入っています。

軒先に蛍のような恋ありき つまり煙草のもらい火ひとつ
寂しさは冬の器だ真鍮の 言葉に曇る添えば張り付く
歯車の溝に書かれた話を一人で読みに行く人がある
複雑になれ複雑になれ誰も私を解いてしまえぬように
神のごと我を操る術持ちしおよそ二寸と五分の内臓

いいことがあったその日はばら色が多めに見えるマジックアワー
目移りのまぶたを縫えず我が口も縫えず夢二のうた口ずさむ
胃の底のディスポーザーが目を覚ましあなたを噛み砕いてく夜更け
林檎剥くその赤い指赤い唇(くち)万有引力われをとらえる
手のひらに三十一文字のたましいを量れ21gあるか

出汁巻きの湯気あたたかく立ち上り われも卵も皆父なしご
腹立てば立つほどすすむ趣味料理 おまえをパイにしてやりたいよ
「このタライですか？捕まえて飼うんです。何をってそりゃ、月をですけど」
猫たちがヤツデの下で遊んでた人生ゲームはやたら多産で
寂寥とは:ポカリ・白粥・水枕・胸に塗るヴィックスヴェポラップ

スイングバイ航法で今私から飛び去っていくようなあなただ
心情と詩情を刻む七五調 俎上に自由律の碧梧桐
「春過ぎて 夏来にけらし、」Tシャツの君は洗濯干し場でうたう
ととのわぬ短歌はジョキと鋏入れ釦の予備のように箱詰め
君がマリンブルーに染めてきた髪で私の胸に刺繍をしたい

古来より「恋とは落ち物パズル」といい 君は連鎖を組むのが上手い
かみさまよいるならどうか彼女から艱難辛苦を取り上げ給え
平安京エイリアンとかけ恋ととく 心は落とした者の勝ちです