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庭でオニユリが咲きました ユリの思い出いろいろ by 前中久行(GEN代表)

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私の記憶にある一番古い植物はオニユリです。花の記憶ではなく球根を掘り取ったことです。そんなこともあって拙宅の庭では、家人には花のブツブツが気持ち悪いとか花粉が服に着くとか不評をかいながらもオニユリが咲き乱れています。本当に乱れています。
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 先週まで自宅の庭でオニユリ(写真)が咲いていました。緑の地球ネットワーク副代表高見さんのお庭はボタンが満開になります。「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」と美しさのたとえになっていますが、当方のユリは立ち乱れています(写真)。庭に各種のユリが入り込んだ理由は様々です。食べ残したゆり根を植えたもの、教育関係者からムカゴの写真を要望されて近くの放棄農地の畦畔で写真撮影した時のポケットのゴミとして庭にすてられたムカゴが発芽したもの、各地のユリの自生地や栽培地でユリの美しさに感動してその後園芸店やネットで購入したものなどです。
北陸と佐渡の海岸の岸崖地でスカシユリ(写真)の黄色の群生開花をみました。圧巻の風景でした。


 面白い風景としては草屋根のコオニユリです。私は尾瀬沼に隣接する檜枝岐村でみました。屋根の保護のため屋根の上部にコオニユリなどを植えるのです。植物が適度に屋根の水を吸収して屋根の保護になるといわれています。(大阪府におけるオニユリ草屋根の例https://kongo3.osakazine.net/e648743.html)

 ヤマユリ(写真)は近畿地方にも分布しています。居住市内の道路際にもありましたがササの繁茂に負けてここ数年は確認できていません。
自生地はみていないけれども球根の購入が先行しているのがカノコユリ(写真)です(甑島(こしきじま)へ行きたいなぁ)。

 オニユリとコオニユリは花や草姿がほぼ同じですが、葉の付け根にムカゴ着生の有無で区別します。ムカゴが着くのはオニユリです(写真)。ムカゴは小さな球根状をしておりそれが地面に落ちて株が増えます。
 食用にするのは主にコオニユリといわれています。ただ食用ゆり根として売られているのは、コオニユリを交配親として種々改良された作物としての品種なので野生のコオニユリとはすでに異なっているようです。自宅の庭ではムカゴをつけるオニユリはどんどん増殖しています。ムカゴが着かないコオニユリ系のユリは比較的定常的です。スカシユリやヤマユリ、カノコユリは増えもせず減りもせず居着いています。植えていないのにあちこちから勝手生えしてくるのがタカサゴユリです。できるだけ抜き取るようにしていますが、球根が地中深くて残ってしまいます。球根植物は当然のことながら種子からでも芽生えて球根になります。タカサゴユリはテッポウユリとよく似た花をつけるユリで種子を蒔いたその年に開花します。この性質に注目してタカサゴユリとテッポウユリを交配して品種改良、作出されたのが新テッポウユリです。園芸品種としては大成果ですが、そこから種子が逃げだしタカサゴユリ近縁のユリが各地で繁茂しています。道路周辺の修景として種を蒔いたこともあるようです。夏の道路横でよく咲いています。その種子が回り回って我家の庭にも飛んできているのです。人間による外来植物の拡散の一例です。

 私は8歳まで農地や草地やはげ山が近くにあるところで育ちました。春になると地道の縁で雑多な草が芽を出します。その中でぷっくりと丸いオニユリの芽は目立って宝物にみえるのです。深い根っこをようやく掘り出して持ってかえりました。大人達はあまりうれしくないようでした。鬼百合という名前とお墓にもよく生えていることが気に入らないようです。でも庭の隅に植えてくれました。
 近くのはげ山は今にして思えば花崗岩の風化地帯で、残された岩の縁には矮性化したアカマツがチョロチョロと生えていました。そこには小さなユリも生えていました。この時は親も一緒で、沢山の球根を堀取って帰りました。今回は植えてもらえませんでした。でも大人は大喜びでした。球根を洗って鱗片にバラして、生でポリポリたべました。いまから思えばはげ山に生えていたのはササユリでした。味の記憶はありませんがゆり根は食べられるとその時に知りました。

 ゆり根は中国でも食用になっています。不透明のビニール袋に封入されて売られています。購入してバラしてみるとコオニユリあるいはオニユリとは違うユリのようでした。中国でのゆり根の代表的料理は、「西芹百合」、セロリーとゆり根の油炒めです。空港、ホテル、街中の食堂どこにでもあります。私が「シーチンバイフア」と注文しても間違いなく「西芹百合」が出てきます。

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