笑う未来人

「いまこの状況、未来人に見られたら笑われるな」と思うときがある。

先端技術の話を聞くたびそう思うことが増える。

自動運転とか、宅配ロボとか、RPAとか。そういう効率的で、人の手を必要としない先端技術が実用化しつつあることを知るたびに、現代の人間が必死こいて車のハンドルを回したり、宅配業者が再配達に駆け回ったり、手動でひたすら紙とキーボードと格闘したりしているのが馬鹿馬鹿しくなってくる。

きっと未来人たちはそんな不便な過去を笑い話の種にするのだろう。歴史の教科書の資料集には「当時の自動車は人間がハンドルを回して運転する必要があった」などと記載されるのだろう。

現代の日本人たちは古臭い技術を「昭和の遺物」とか「昭和の香りがする」とか揶揄するけれども、平成の技術だってまたたく間に新しさを失い陳腐化して、揶揄される側に回るに違いない。

そんなときに、過去を盲目的に賛美して「昔はよかった」とか言って偏ったノスタルジーに浸ることはしたくない。新しもの好きで軽薄だと思われてもいいから、新しい技術をどんどん見て触れて使って、その素晴らしさを素直に称賛したい。

ただ願わくは、人間の負担を楽にする方向に技術が進歩してほしい。現代の日本を見てると、そろばんはじいてた時代よりはるかに便利な道具に囲まれているはずなのに、人間はキリキリ働いて休む暇もなくて挙句の果てには過労死なんて馬鹿げた現象が起きている(もっともこれは技術の問題というよりは政治・規制の問題かもしれないけれど)。

技術に使われるのではなく、技術を使う側でありたい。人間を幸せにする技術が発達してほしい。新技術を使ったら疲れが取れて成績も上がって大会でも活躍できました、みたいな技術ができてほしい。そんな技術が出来上がったその時には、それを使い倒して快適な生活を送って、働き詰めで不幸で不便だった過去の自分たちを笑ってやるつもりだ。


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