カスタマイズド空間

自分の部屋は、どこまでも自分専用にカスタマイズされて快適そのものだ。手を伸ばせば届く範囲にPCも本も雑誌もタブレットも筆記用具も飲み物もあって、椅子とか机とか布団とかの家具も全部自分で選んだものなので扱いやすい。起きてから寝るまでの動線も最適化されていて、生活を送るうえでのストレスは最小限に抑えられている。

自宅があんまりに快適なものだから、一歩外に出て、知らない天井の下で過ごすことになるとストレスが膨れ上がる。

学生時代に、大雨警報が出て避難したことがあった。大雨のなか、身の回りの物だけ持って近所の小学校の体育館に転がり込んだ。毛布一枚とカンパンと「えいようかん」とかいう非常食を渡されて、一夜を明かすことになった。

体育館の板張りの床に寝転んで、毛布をかぶって寝ようとしたけれど、床が硬く、寒くて、およそ快適とは言えない寝心地でなかなか寝付けなかった。自宅の布団が恋しくなった(体育館はあくまで避難所で寝室じゃないんだから、これは贅沢を言っていると思うけれど)。

自分専用にカスタマイズされた空間に慣れすぎると、違う生活様式に耐える耐性が低くなってしまう。ときには外に出て、違う生活様式に順応する訓練をしたほうがいいのかもしれない。そうすることで、自宅という自分の巣の有り難みが見えてくるのだろう。

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