思考がテキスト化される世界

脳内で考えている文章が勝手に入力されればいいのにと思うことがある。たとえば頭の中で「寒い」と考えれば「寒い」という文字が入力されるような。

タイピングも音声入力も、脳内で文章を考えるスピードに比べると入力速度が遅い。ましてスマホのフリック入力で長文を書こうとするとかなりの時間をとられる。脳内の思考はぐんぐん進んでいるのに、文字入力が全然追いつかず、そのラグがストレスになる。

技術的な課題はいっぱいあるだろうけれど、実現したら面白い。ただ脳内の文章には本音と建前と雑念が混在しているだろうから、文章化してから雑念を(場合によっては本音も)削ぎ落とす作業が必要になると思う。あと脳内の文章がきちんと順序立って理路整然としているとは限らないので、結局推敲は必要になりそう。

検索してみたらフェイスブックが実用化を目指しているらしい。

https://m.huffingtonpost.jp/techcrunch-japan/f8-developer-conference-brain-computer-interface_b_16121298.html

きっと脳内入力が出来るようになれば、文字の入力(=思考の出力)の速度が上がり、入力の面倒臭さも低減するから、ネット上の文章量が加速度的に増加するだろう。いま以上にネットが文字で埋め尽くされる。長文を抑制するために、文字数制限を厳しくする掲示板・SNSが増える。推敲しないまま垂れ流される雑多な文章も多く出てくる。ただ求心力のある人物なら、思考をただ漫然と文章にして公開しても、それに価値を認める人はいると思う。もちろん、偶像性や神秘性を売りにしていて、安易にその思考を晒したくないという人もいるだろうけど。

あとチャットの活用度が上がると思う。脳内入力を使って、口頭での会話と変わらない(もしくはそれより速い)スピードでピュンピュンとチャットが出来るようになれば、空間を共有していない相手とのコミュニケーションがかなり円滑になると思う。「メール・チャットを打つのが面倒だから電話しよう」という電話族は滅びていくだろう。もっとも、電話や対面でないと伝わりにくいニュアンスや雰囲気(文字情報での表現が難しいもの)、身振り手振りの効用は変わらないだろう。人間の思考や感情を文字に変換するときには、多くの情報が削ぎ落とされている。だから、技術的で複雑な案件の打ち合わせや、感情をダイレクトに伝える必要があるようなシチュエーションでは、電話や対面でのコミュニケーションが使われ続けると思う。ITが発達して遠方とのコミュニケーション方法が多様になっているのに、IT企業がシリコンバレーとかの1箇所に集まって空間を共有しているのは、複雑な技術を伝えるのに最適な方法が対面コミュニケーションだから、というのが理由のひとつらしい。

脳内入力に自動翻訳の機能を加えることで、世界の70億の人々と自分のメッセージが高速で飛び交う世界…なんて夢想したりするけれど、きっと自分の目の黒いうちは実現しないんだろうなぁ。

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