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業績予想の上方修正について

 小田玄紀です

 Noteを更新するタイミングが大分遅れてしまったのですが、先日(1月5日)にリミックスポイントにて業績予想の上方修正を開示しました。

 こちらが主なその内容ですが

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 修正後の2022年3月期通期連結業績予想としては

  売上高  273億円(前年同期比+141億円)
  営業利益 63.2億円(同+92億円)

 となりました。

 昨年5月に2022年3月期の業績予想を開示した際に売上214億円、営業利益26億円という数値に対し、IR面談を通じて説明をした機関投資家の方達も半分懐疑的でした。2017年~2018年の当社の株価成長を体験し、当時IR面談をしていた機関投資家の方からも「小田さんが3年振りに予想を出したので、やってくれるとは思いますが、ただ正直まだ慎重な判断をしたいです」とストレートに言われていました。

 ただ、そう思われてしまうことは仕方が無いことですし、私自身としても数値を出す以上は必ず達成しないといけないし、また、出来れば2018年3月期に達成をした36.1億円という営業利益を超える結果を実現してはじめて『再生』と言えると思っていたので、ここは1つの指標だと考えていました。

 今回、業績予想の上方修正の主な要因としてはビットポイントの収益化というところですが、この中でもビットポイントがTRX(トロン)、ADA(エイダ)、JMY(ジャスミー)といった日本初暗号資産を取扱ったから収益化が出来たと考えられており、この点について多少補足説明をしておいた方がよいかなとも思いました。

 もちろん、日本初暗号資産を取扱ったことは業績改善のための必要条件の1つです。ただ、これらはあくまでも必要条件の1つであり、これだけでは業績回復には繋がらなかったと思っています。

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 こちら第2四半期のIR資料から抜粋したページですが、ビットポイントは2021年3月期の第3四半期以降安定的に収益化しています。これはタイミングとしては新システムが稼働したタイミングです。

 2019年7月に発生した不正流出被害も受け、ビットポイントでは全面的なシステムリニューアルを行いました。不正流出被害の前から、システムリニューアルについては進めていましたが、本当に全面的にセキュリティからUI/UXを含めて見直しを行いました。

 UI/UXというのも顧客インターフェースという表面的なものだけでなく、ディーリングエンジンやカバーロジックの見直しを含めてシステムのバックヤードを含めて全面的に改善を行いました。この結果として2020年8月から新システムが稼働をしました。

 新システムを正式リリースするまでに不正流出から1年以上かかりましたが、ここで妥協することなく一定の品質のシステムをリリース出来たことが大きな成果だったと考えています。

 また、システムだけでは当然に業務は回らずに経営管理態勢の強化や業務・カスタマーサポート・コンプライアンス体制についてもしっかりと行う必要があります。

 ビットポイントを含めた暗号資産交換業は全ての顧客に会員登録時にKYC/AMLつまり本人確認や反社チェックを行う必要があります。また、取引内容についてはモニタリングをしており、疑わしい取引があった場合には取引監視をする必要があります。

 そのため、顧客や取引量が増えることを想定して事前に一定の体制を整備しておく必要があります。これらを準備し、漸次顧客基盤を強化し、新しい暗号資産を増やしていくことが何よりも大事なことです。

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 これも第2四半期のIR資料からの抜粋ですが、こうした積み重ねとして、確実にアクティブユーザーの増加を実現し、特に販売所アクティブユーザーを増やしていったことが収益の増加に繋がっています。

 こうしたベースを構築した上で、TRX・ADA・JMYの取扱いを実現したからこそ、今回の業績予想の上方修正に繋がっており、仮にこれらが出来ていなければTRX・ADA・JMYを扱ったからといって、今回発表したような業績には繋がらなかったと考えています。

 また、特に日本初暗号資産取扱には様々な制約があります。特に出来高やカバー先が少ない暗号資産の場合には取扱には注意が必要です。日本の暗号資産交換業者は分別管理義務があります。

 顧客からの預かり法定通貨(日本円のこと)および預かり暗号資産については全て分別管理をする必要があります。つまり、たとえば顧客がADAやJMYを買い注文した際には、ビットポイントはそのADAやJMYをカバー先から調達する必要があります。

 このような対応も一定の体制を構築しておかないと対応が出来ないですし、新規暗号資産を取扱う際にも単純に当該暗号資産の技術評価だけでなく、会社側としてシステム面・ディーリング面・業務面・コンプライアンス面で問題なく対応ができるかどうか、また、それらを総合的に内部監査室が評価するという体制が前提になります。

 私自身、様々なビジネスを立ち上げた経験からしても、暗号資産交換業は事業立上げ及び運営に一定以上の難易度があると痛感しています。「暗号資産交換業はeasy game」と考えて市場に参入して大きな火傷を負った企業を多くみてきましたし、また、今回のビットポイントの業績を踏まえて、「日本初の暗号資産を取扱えば簡単に利益が出せる!」という間違った解釈をさせてしまっては良くないと思い、敢えてNoteに整理してみました。

 また、今回の業績予想の上方修正にあたってはエネルギー事業についても触れておくべきだなと思います。昨年、JEPX(電力市場)は異常な価格高騰になりました。当社もその影響を受けて前期は27億円近いインバランス料金の発生を生じてしまいました。

 そこで得られた様々な教訓を活かし、今期については夏期および冬期については適切なヘッジをしています。

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 こちらも第2四半期IR資料からの抜粋ですが、相対電源や先物によるヘッジをしており、今冬も市場価格は高騰していますが、その影響がないような対応が出来ています。ちょうど昨年の今頃はJEPX価格が高騰したことで毎日緊張してJEPX価格を眺めていましたが、今冬については冷静な日々を過ごせているのは非常によかったです。

 エネルギー事業においては

 横浜F・マリノスとのトップパートナー契約を締結したこともあり、低圧市場(一般家庭などの電力市場)も順調に契約が伸びています(以下も第2四半期IR資料より抜粋)。

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 また、こうしたBtoCの対応が出来るようになったのも、1年以上欠けて進めてきた組織体制の変更・強化の結果だと考えています。

 レジリエンス事業としては「SUGOMIZU」シリーズの取扱いや家庭用蓄電池の販売などを実現することが出来ました。

 またビットポイントもBIGBOSSこと新庄剛志さんとのアンバサダー契約を締結させて頂きました。

 なかなか一朝一夕で数字の回復を出すことが出来ませんでしたが、短期的な数字よりも組織を強化し、継続的に一定の数字を出していく組織の方が結果的には企業価値向上に繋がるという思いから、業績回復に向けた施策を取り組んできました。

 『あしたを、もっと、あたらしく。』

 がビットポイントの理念ですが、確実に1日1日組織としての成長をしています。

 私一人の力ではなく、全ての部署の社員の日々の努力の結果であり、また、ワラント等を通じて支えて頂いた株主の皆様の支えの結果、そして、多くのリミックスポイントを応援・支援して頂ける方々の協力があっての今回の業績予想の上方修正だと考えています。

 まずは2022年3月末まで、しっかりと今回掲げた新しい業績予想を実現していき、そこから来期以降も安定的に一定の利益を出せる企業体にしていくことが今、やるべきことだと考えています。

 エネルギー市場、暗号資産市場、レジリエンス市場、中古車市場。それぞれの分野において変化を楽しみながら新しいスタンダードを創るべく、明日からも挑戦を続けていきます。

 2022年1月18日 小田玄紀

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