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DAVOS WEEKについて

 小田玄紀です

 先週(1月25日~29日)にかけて世界経済フォーラムによるダボス・アジェンダがオンライン上で開催されました。例年は世界経済フォーラムの年次会議がスイスのダボスで行われます。

 リミックスポイントが世界経済フォーラムの企業会員であり、また私が2019年にYoung Global Leadersに選出されたこともあり、これまで夏季ダボス(天津と大連)およびスイスの年次総会に参加をしたことがあります。

 例年はスイスのダボスで1月末に年次総会(通称:ダボス会議)が開催されるのですが、今回は新型コロナウイルスの影響もあり1月の実施は見送り、代わりに5月25~28日にシンガポールで年次総会が開催されることとなりました。

 ダボス会議では公開されるセッションと非公開のセッションの大きく2つがあります。今回はオンラインということもあり、多くのセッションが公開されています。

 こちらのリンクに動画も多数公開されていますので、ぜひご覧ください。日本からは菅総理、河野大臣、小池都知事、竹中平蔵先生なども登壇をされています。

 ちなみに菅総理の動画がこちらになります。質疑応答の際に菅総理が回答する前に通訳が回答をしていたという珍現象も起きましたが(笑)、デジタルとグリーンにより日本を強い国にしていくという発言がありました。

 特にこのグリーンというキーワードは極めて重要です。ダボスにおいてこれからグリーンというキーワードは何よりも重要なテーマになってくることが予想されます。これまでもその傾向はありましたが、これまでとは比べ物にならないほどにです。

 従来は『地球温暖化』という優しい言葉でこの問題が表現されていましたが、これからは Climate Crisisのようにより積極的で強い言葉で環境問題について捉えられてきます。

 たとえばクリーンエネルギーについても、「どのようなクリーンなエネルギー」で作られてきたかが問われる可能性があります。太陽光、水力、風力、バイオマスが全て一律にクリーンではなく、その中でも本当にCO2排出が抑制出来ているエネルギーについてはより高く環境価値が評価され、そうでないものはより低く評価されるようになるかもしれないですし、全ての商品やサービスについても環境価値を基にして負荷税が加算される可能性もあります。

 こうなってくると、既にクリーンエネルギーが先行しているヨーロッパや国土面積から優位性がある中国などにとって日本が劣後してしまう可能性はあります。

 日本国内で電力業界が今後どうなるかという内輪な問題はどうでもよく、エネルギー政策に関してはこうした諸外国の動向を含めて俯瞰的に考えていく必要が出てきます。

 また、他のYGLメンバーと話しをしていて印象的だったのが、各国の新型コロナウイルスに対する取組みの姿勢です。

 新型コロナウイルスにより世界中でロックダウンが生じました。日本でも緊急事態宣言はありましたが、これはただのソフトロックダウンです。日常生活で支障が絶対的に出たかというと、当然不便なことはありましたが、ほぼ日常生活を送ることが出来ました。

 ただ、海外のロックダウンは本当のロックダウンです。日常生活に支障がきたすレベルにまでロックダウンが徹底された国もあります。こうした国の政治家や経営者、国民の新型コロナウイルスに対する取組は、その本気度や姿勢を含めて全く違います。

 あんな経験はもう絶対にしたくない。あんな思いをしないために本質的かつ短期間で解決をさせたいと考えている。こうしたスタンスが政治家としての発言や答弁にも表れてくるのではないかと考えています。

 他方で、これは多少感覚レベルなところも含みますが、新型コロナについてはピークアウトをしてきたという印象を持っている発言も見受けられました。特にワクチンに対する希望は確実にあります。

 冒頭にも書きましたが、今年の世界経済フォーラム年次総会は5月にシンガポールで開催されます。これはリアルな年次総会を予定しており、1000人以上が同じ場所に集います。

 特に注目すべきはシンガポールだということです。ご存知の通り、シンガポールは徹底した感染症の封じ込めをしています。既に同国内での発症者数は極端に抑えられていますが、基本的には海外から人が集まるようなイベントは嫌うはずです。ただ、そのシンガポールが5月25日~28日に年次総会を受け入れたという事実があります(参考までに当初は5月13~16日とされていましたが、変更になりました)。

 また、東京オリンピックについても各国首脳およびアスリートからすると前向きに捉えています。むしろ、ワクチンを含めて課題を解決して東京オリンピックを実現させようという意欲は感じます(菅総理とシュワブ会長のやりとりでもシュワブ会長の発言からも感じ取れます)。

 実際に今年の4月6日~7日にて世界経済フォーラム主催で「グローバル・テクノロジー・ガバナンス・サミット」も東京都で開催されます。

 おそらく、新型コロナ感染拡大後に日本で開催される大規模イベントとしては初の取組になるのではないかと思うのですが、これは東京オリンピックに際して各国首脳の導線確保のトレーニングにも繋がる機会になるとされています。

 緊急事態宣言が延長され、目下のところまだ新型コロナウイルスに対する脅威は解消できていません。ただ、日本にいて日本のメディアで流れる情報を基にして判断をしてしまうとどうしても流されてしまうところもあります。

 やはり定期的に各国の動向をリアルに把握しておくことの価値はあると思いましたし、せっかくYGLとして選んでいただき、こうした情報にアクセスしやすい環境にあるので、もっと活かしていこうと再認識しました(世界経済フォーラムの会員またはYGLになるとTOPLINKという会員限定のSNSサービスがあります。ここはまさに世界から叡智が集結しています)。

 以上、DAVOS WEEKのサマリーでした。

 2021年2月3日 小田玄紀

(2月4日追記:ダボス年次総会は8月17日~20日に延期となりました)



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