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外出自粛期なので「帚木」を読む(1)

外で仕事してる以外は、引きこもりみたいな毎日。つまらぬ。でも知ってる。いまの外出自粛の日々の不平も、いつか何かの本を読むときの役に立ってしまうことを。

・人生を読書で有効活用


あれ? いつかって、それ今じゃダメなんだっけ? リアルタイム活用について、過去の体験を検索かけてみると、実績ありました。割とよくやるのが、胃腸が絶不調のとき。そういうときに、漱石の胃弱エピソードについて描かれたものを読む。あるいは誰でもいいけど旅行記の腹下しの場面。きっと今なら書いたひとの不調に親身に寄り添える読者になれるし、文章に描かれたことを身に染みて共感できるのも今こそ。なんてチャンス! という訳だ。

・外出自粛 = 物忌み 、と仮定して


でもなあ、わたし本命の『源氏物語』読むんだし。パンデミック的なエピソードは源氏にゃ無かったと思うけどなあ。……いや、待てよ。今のこの外出自粛を「物忌み」と見立てれば、「帚木」があるでしょう。フフ、そんじゃいっちょ読みますか。で、読みます。

「帚木」って「雨夜の品定め」っていう、ざっくり言うと「イイオンナ、いねーよなあ」っていうボーイズトークの場面が有名なやつで、あんまり好きじゃないんですよ。だって、彼らの基準で見立てる上流・中流・下流で言ったら、きっと自分は下流だもん。ムカついちゃうじゃん。って、ま、いいか。なんせ物忌みつながりですから。

・「帚木」の宮中待機っぷり


季節は梅雨。晴れ間なく、ずーーーっと、雨に閉じこめられてる。光源氏のいる内裏では物忌みが度重なって謹慎生活が続いている。その日も、朝からずーーーーっと雨。やることない。そんなんで、しんみり、まったりしてる宵。なんか人も少ない感じ。なんとなく本を読んでるような光源氏。

ああ……。謹慎って、確かに思いました、この頃の外出自粛のことを。淹れたてのコーヒーを飲みに行くのすら躊躇う窮屈さを。

変化のはっきりしない、メリハリのない日々が続く。誰のせいでもないから、自分なりに納得したり、なにかきっかけがあれば妙にテンション高くなりやすかったり、その人なりに折り合いをつけてくしかない。

そんな時に恋バナとか、理想のお相手のこととか話したら、そりゃ有り得んほどのロマンチックなことを語ったりもするでしょう。

・そんなことならボーイズトーク許せる


「雨夜の品定め」読んでると、「そんなオンナ有り得ませんけど? だいたいあなた何様ざます?」って心の中で反発してしまうんだけど、まったく同じツッコミをガールズトークに対してされたことがある。「いいじゃん、夢くらい見たって」と言い返したかもしれない。

……ということを、今回読んでいて思い出した。

そうか、これは、主観的であっても構わない気楽なおしゃべりなのか。そっか、それじゃ仕方がないなあ。謹慎期だもの。むしろ、盗み聞きしてるのは書き手&読み手かもしれないし、嫌なら聞き耳立てんなよ、って話だ。

ハイ。受入れ態勢、ちゃんと作れました。続きはまた後日。

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