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ネットゲームの話

わたしは1999年からネットゲームをプレイしている、いわゆる「ネトゲ廃人」と言われる部類のニンゲンです。Twitter(X?)では積極的にネットゲームについて書いていますが、noteで書くのはちょいと躊躇しました。所詮娯楽ですからね。しかし、さすがに長文を書かざるを得ない。

昨日、バンダイナムコがBlueProtocolのサービス終了を発表しました。
上記のゲームはMMO(Massively Multiplayer Online Game)RPG、一つの世界に何百人、何千人がログインしてリアルタイムにロールプレイできるタイプのゲームなのですが、開発期間8年、サービス期間1年で終了します。おそらく100億円規模の赤字です。もちろんネトゲ廃人の私も、ローンチ直後無課金で一ヶ月プレイしました。速攻で切りましたけど。

先日、中国の企業Game Scienceが開発期間5年、製作コスト(おそらく)100億円以上、Unreal Engine5を使用したリアルなグラフィクスのアクションゲーム「Black Myth: Wukong」を発売。1週間で全世界1,000万本販売、100億円以上の売り上げ、中国国内では社会現象を巻き起こすという快挙を成し遂げました。
Game Scienceは、私の記憶が正しければTencentでやりたいことができなかった3人のクリエイターが独立して作った新規スタジオ。恐ろしいことが起きたもんです。

もう昔話になりますが、中国にmihoyoという3人の若者が作ったゲームスタジオがありました。現在では「Genshin Impact」をヒットさせて世界のトップテックに躍り出ましたが、崩壊学園を知っている人間からすると、もう本当に夢のような、奇跡のような出来事でした。
mihoyoの設立メンバーが資金を集めるときに、「中国で製作資金を募るのであれば武侠物、三国志などが題材じゃないと駄目だ」と言われて、なかなかお金が集まらなかったと話しています。mihoyoは日本のサブカルチャー推し(特にエヴァンゲリオンに影響を受けたそうです)だったので、中国国内では今でも反対派がいるそうです。そんな逆風の中、資金を集めて世界中でヒットするような作品を作りました。
現在の「Genshin Impact」は、かなり中国色が入っていますし資本提供元から影響されたのでしょう。mihoyoが開発した他タイトル「Honkai:Star Rail」「Zenless Zone Zero」ではバリバリ中国風のエッセンスが散りばめられています。中国の文化が素晴らしいことを内外にアピールできるようなものでなければ資本も集まらないし当局が許さない、というのは本当のようですね。

前出のBlack Myth: Wukongは西遊記をベースとしたものであり、中国国内で過去に放送された西遊記のドラマを、かなりの勢いでオマージュしたネタが盛りだくさんのようです。しかも主人公は「悟空」ではなくて・・・ごにょごにょ。
とまぁmihoyoが踏んだ轍を華麗に避けて、中国文化で一発当てたわけです。西遊記がネタだから、製作資金集めもそんなに難航しなかったでしょう。しかし、公開されたばかりのUnreal Engine5で、よくもまぁこんな完成度のゲームが作れたもんだと。技術力とそれを支えた精神力には脱帽です。

さて、日本の企業の話に戻ります。バンダイナムコのBlueProtocolは、分かりやすく言えばクソゲーでした。単純にゲームが面白くなかったのです。
以前プロデューサーがインタビューで、開発費は青天井だった、とも語っています。最初の5年開発して、クローズド環境でアルファテストをしたらユーザーから大不評。んでその後2年間くらい作り直しをしています。その2年間、お金の心配なく開発環境が保障されていたらしいです。
おいおい。その環境があって、あのクオリティかよ。売れなかった理由は我々のせいじゃない、MMOというベースが難しいからだって言い訳して逃げるんじゃないよ。BlueProtocolは技術力も不燃ゴミだったしインターフェイスは粗大ごみだった。物売るってレベルじゃねーぞ。

プラチナゲームズが開発を行い、スクウェアエニックスがパブリッシングを担当した「バビロンズフォール」というゲームもありました。こちらは前出のBlueProtocolを超えるクソゲーでした。BlueProtocolは基本無料でゲーム内で更に課金ありという形式だったんですが、バビロンズフォールはゲーム本体価格が8,000円程度、ゲーム内で更に課金ありというハイブリット仕様。オンラインゲームでありながら1年でサービス終了(ゲーム購入者もサービス終了したらゲームプレイ不可能)というブッ飛んだ終わり方で、クソゲーのガラスの天井を突き破ってから5往復くらいする勢いでした。

日本の製造業は、アメリカをパクってヨーロッパをパクって、品質を向上させて追い抜くというモデルで成功してきました。
今のゲーム業界では、中国が日本を品質で遂に上回りました。パクってばかりで低品質の詐欺クソゲーばかり量産してるプゲラ、という中国ゲーム市場の見立ては大きく外れてきています。
もちろん、中国ゲーム市場では低品質な詐欺クソゲーが量産されています。TencentとかNetEaseは資金力があるんだからもうちょっと頑張れって思います。
しかし、クソゲーだけじゃなかった。世界を獲れる会社が、コンテンツが続々と生まれてきている。
もう「危機感を持とう」というフェーズは終わった。あまりにも日本の企業の意識が低すぎる。脳みそ千切れるまでネガティブ思考しろ。1位を目指さないと駄目なんだよ。商売ってのはさぁ、2位じゃ駄目なんだよ。


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