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映画「ルックバック」における方角について

映画の「ルックバック」を観てきました。
以下、ネタバレを含む感想です。

単行本の『ルックバック』は事前に読んでいたのですが、映画版がそれと全く同じストーリーなのか、別物かは全く知らないまま観てきました。

作者の方がどこまで意識しておられるのか分からず、私の勝手な思い違いかも知れませんが、感想としては、「方角を大事にしている」作品だと感じました。

なぜそう感じたかというと、次の2つのシーンからです。
(1) 京本が、藤野に「美大に行くから手伝えない」というシーン。
(2) スタッフロールが流れる、藤野が背中を向けて執筆をしているシーン。

(1) の「美大に行くから手伝えない」シーンでは、カメラの位置が北から南を向き、やや見上げる構図になっています。カメラから見て左側(東)が藤野で、右側(西:夕日が沈む側)に京本がいて、その二人の間に木が挟まるという構図です。

(2) のスタッフロールでは、藤野の作業机と窓が、北向きになっています。明け方に帰宅した藤野が執筆を続けていますが、画面の右側から太陽が昇り(実際は画面正面のビルに朝日が反射している)、昼になり、画面左(西)から夕日が差す、という構図です。

私の勝手な解釈ですが、「北」というのは、なんとなく死者をあらわしているのではないかなと思いました。京本が藤野と別れる(1)のシーンでは、北から(死者:死後の京本が過去を振り返る形で?)このシーンを見上げているのでは、と感じました。

また、エンディングの(2)のシーンでは、藤野が北に向かって執筆を続ける、これは、京本が読むことができなかった最新刊の執筆を、京本に向かって書き続ける、ということなのではないかと思いました。

方角についての上記の感想、私の思い込みかもしれません。あくまで個人的に感じた、ということでお願いいたします。

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