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答えが当たるまで、同じ子どもに答えさせる

  さかなクンは、画家だった。さかなクンは、東京海洋大学の客員教授だが、教授会に出たり、卒業論文指導をしている大学教員ではなかった。息子と、生活協同組合コープみやざきが主催した設立50周年記念トークショー「さかなクンの一魚一会」を観に行った。

 海の中を漂う生き物を「プランクトン」といい、海の中を泳ぐ生き物を「ネクトン」と言うそうだ。では、海の底に暮らす生き物を何と呼ぶか。3択のクイズがあった。

 ①キュウショクス、②テイショクス、③ベントウスという選択肢だ。

 解答権を得た子どもは、①キュウショクスと答えた。すると、さかなクンは、「今は、夏休みなので、キュウショクはないよね。キュウショクがないときは何を持っていく」と、ぼやいた。正解を伝えたので、もう一度答えていいよというのだ。再びマイクを握った子どもは、②テイショクスと答えてしまった。まわりの子どもたちが、いっせいに「はい!」「はい!」と手を挙げる。でも、さかなクンは、あくまでも同じ子どもに3度目を答えさせた。

 3択クイズは、正解が当たるまで答えさせる。どれと思ったのかを聴いただけなので、思った順番を聴いていけば正解にたどり着く。さかなクンは、小学校2年生のときに、たこに出会ってから、目立つところをたんねんに観察し、他と比べて異なったところを発見し、においをかぎ、さわって感触を確認し、音を聴き、いろいろな料理で味わい、五感を全部使って一つ一つの魚との出会いを積み重ねてきた。そして、疑問を一つ一つ確認し、正解を積み重ねてきたのである。

 さなかクンという生き方と、子どもたちへの対応のあり方が重なった。クイズに正解すると、さかなクンが書いた模造紙の絵がもらえる。最初から、模造紙の絵をもらう人は決まっているかなと邪推なこころも横切ったが、クイズに間違ったら違う子どもにあててしまう学校を学びほぐす機会をいただいたことに感謝したい。

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