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日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

田上哲「教育方法学的立脚点からみたアクティブ・ラーニング」日本教育方法学会編『教育方法45 アクティブ・ラーニングの教育方法学的検討』図書文化、2016年、10‐23頁。

 本稿は、「どう教育するか」という問いだけでなく、「それは教育か(教育とは何か)」という問いを同時に追究することで、教育実践の方向性を批判的に問い直していく立ち位置から、アクティブ・ラーニングを検討している。

 本稿では、アクティブ・ラーニングを相対化して、咀嚼して、その視点や手法を自身の指導に具体的に応用することができるような、自立した教師、自発自展することができる自覚的な教師をどう育てるかが、本質的な問題だと指摘されている。

 授業分析は、子どもたち一人ひとりがどのように思考し、どのように学ぶのかを詳細な授業記録を中核的な資料として追究しようとする。子どもが思考・表現すれば(動き出せば)、偶然や例外が生じる。その偶然や例外は他のさまざまな動きと結びつき、新たな展開が生じる。子どもの思考・表現がアクティブなもののであれば、教師側の計画通りに教育実践は進まない。アクティブ・ラーニングが滞りなく展開するということは、子どもたちが教師や集団に合わせているのではないか。授業分析は、一人ひとりの子どもの思考を追究するものであり、そのことによって、授業の定式化に抗う方向性をもって、教師に主体性と子どもの主体性を擁護し、子どもの人間形成に資する深い学びを促すことを目指したものである。

 そもそも教師の想定するアクティブ・ラーニングに素直に取り組む子どもはアクティブなのか。教師は自分が想定した計画を絶対視せず、子どもたち一人ひとりを独立した個性ある人間としてとらえることが重要であるというのである。

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