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日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

 先週(8月19日~23日)は、以下の本を読んだ。生活科の認定講習や校内研修講師も2校務めたこともあり、1冊読み足りなかった。

 自分の好きなものを5つ以上書き出して、一つ選び、好きなものについて話す。少し知っていることを15秒で伝える練習。3人一組になって、誰かが15秒話したら、その人に話に出てきた言葉を使って次の人が「○○と言えばね」と話を続ける。講義のヒントになりそうなものが散りばめられていた斉藤孝さんの『カーネギーおじさんに教わるこども「話し方入門」』(斎藤孝、創元社、2020年)は、現在編集している書籍のヒントになりそうなイラストの使い方もあり、思考がいろいろに跳んでおもしろかった。

 『「助けて」が言えない子ども編』(松本俊彦、日本評論社、2023年)は、オムニバス方式の本だ。荻上チキさんの「いじめを知り、解決するために」が私自身も勉強になった。この本は、『「助けて」が言えない-SOSを出さない人に支援者は何ができるか』と合わせて、再読するので、内容の紹介等は後日に行いたい。

 『参加型評価-改善と変革のための評価の実践』(源由理子編著、晃洋書房、2016年)は、授業分析を考えるために読んだ。分野的にねじれの位置にあるので、なかなか言葉が入ってこなかったのだが、研究と実践を融合するような授業研究のあり方を考えるためには重要な示唆が含まれている本だった。

 『机間指導』(浦元康、明治図書、2024年)も読み直した。机間指導とは、教師が子どもたちの間を移動しつつ行う行為である。一番気になる子どものもとに一目散に行って個別指導することではない。机間指導は、教室全体のすべての子どもを対象にしている教授行為だ。机間指導は、鉛筆・ノートの登場によって機能が変容した概念である。すなわち、机間指導は、教師が与えた課題を子どもたちができたかどうかといった管理機能ではなく、ノートに鉛筆で書かれる子どもの記述によって、どこにつまずきがあるのか、どうしてつまずいたのかといった子どもの思考過程や学習過程をみる教授機能が発揮できるようになったものである。多くの教師は、机間指導を日常的に行っている。机間指導は、現場教師の経験によって形成されてきた授業の指導技術であり、本書も浦元さんの経験に基づくものである。机間指導は、それなくして授業が成立しないという指導技術でないため、実践の理論化も実践研究もほとんど行われていない。今日、「自由進度学習」といった子どもに学びを任せる学習方法が実践されている。子どもの学びを任せているときの教師の役割は、机間指導である。本書はこうした文脈の中で出版されている。机間指導は、指導的評価活動や子どもの応答予想などと連動した行為であり、教師に対する授業改善を促す概念として捉え直してみたいと思えた。

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