噎せ返る砂糖
わたしが何度も泣いて何度も苦しんで
閉じた世界でやっと見つけた生き方は
小さい頃から大切に育ててきた生温い夢の正反対だった
何不自由ない幼少期だったけど
本当に欲しかったものは手に入らなかったから
せめてあの夢くらいは叶えてあげたかったのに
ごめんね、小さなわたし
どうやらわたしは大人になってしまったみたいだ
幼子との約束を破った最低な大人は
普遍的なハッピーエンドしか認めないアンチの絶好の餌食だ
真夜中に鮮やかな水色のネイルを塗る
締め切った部屋にツンとした匂いが充満する
何かで誤魔化さなければすぐにでも消えてしまいそうだった
求めていたものが手に入らないだけで
人はこんなに絶望できる
夢は単なる幻想で、叶ったなんていう奴は幻覚を見せられている
人間の本質だけが抜けきった体で
あの人はどうして生きていられるんだろう
ねぇ、小さいわたし
そんなこと、どうか言わないであげて
枯れた泉が潤ってしまうから
悔しさに飲み込まれてしまうから
幻覚を見ている人たちへの嫉妬に狂ってしまうから
くそ真面目に生きてる自分がバカらしくなってしまうから
この街は明るくて賑やかで
でもくれたものは全部薄っぺらかった
この人たちならくれそうだと
ホイホイついて行ったわたしがバカだった
その人からくれたものでさえもう覚えていない
でもそれでいいんだ
今見ている世界が今までで一番色付いている
いつの間にかコーヒーはブラックしか飲んでいない
書いた日:2020年7月27日夕方
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