光る海で世界は滅ぶ

補色の組み合わせが一番綺麗だと信じていた
はっきり境目が分かる力強さはわたしになかったから
パステルカラーが流行った時代
わたしは補色を愛していた

暖色より寒色の方が好きだった
クールで冷たいそれは子供っぽさを消してくれるような気がして
パーソナルカラーが流行った時代
わたしに似合わない寒色は許されない色だった

ぼんやりと灯る間接照明
シンプルでくすんだクリーム色
全部わたしの好みではないのに
求めても許されないものだったのに

混ざるのが嫌いだった
一緒にいることが苦手だった
明るいものが嫌いだった
わたしの人生はわたしのものじゃなかったから

今は幻でも忘れられない
ぼんやりとした色の温もりも
境目が分からなくなるくらい混ざることの心地よさも 
相反する事象が共存することの美しさも

わたしは知っている
それを求めて良いのか分からないけれど、知っている


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?