VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -010(Case of FEI)

「さて皆さん。一つ、非常に重要なお知らせがあります」

そんなソートの一言に、VALISと俺は視線を向ける。普段の扱いこそ酷いが、真面目な話であればその限りではない。

「我々は様々な場所を渡り歩く集団です。この場所にも長く滞在しています。そろそろ活動拠点を移す頃合いです」

活動拠点を移す.........か。この場所は結構気に入ってたんだけどなぁ。

とはいえ、ソートの言う通りでもある。このサーカステント自体そうだが、VALISは様々な場所を渡り歩いてショウをする「旅するサーカス団」なのだ。                                そして俺はその専属護衛。当然彼女達と共に行動しなければならない。

「新たな世界へと旅立つのです」                     「新たな........世界...........」                      「皆さん、心の準備は良いですね?..........それでは参りましょう、『深脊界市』へ!」

『深脊界市』。

聞き慣れないはずのその言葉が、どうしても心地良い夢のように感じて、

――何故だか、どこか懐かしい気がした。















――さあ来い。此処がお前の死に場所だ。

――哀れなお前に理想を見せてやろう。

――何よりも心地良い絵空事希望を。

――一掴みの現実絶望を振り撒いて、お前に確かな真実を見せてやろう。

――さあ来い。此処がお前の死に場所だ。

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