VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -036(Case of FEI)

アーロンとの戦闘に決着をつけた日から4日。あれからさらに、10ヵ所ほど公社隊関連の施設を襲撃、破壊とデータの強奪を成功させた。      襲撃する度に警備隊の戦力は増加していったが、人間の構成員が極端に少ないのか全て無人兵器だった為、特に苦労せずに突破出来た。

現在は一度小休止をしているところであり、追ってを撒く為に狭い路地裏を歩いている。                                 公に指名手配されている訳ではないようだが、それでも極力人と関わらないに越したことはない。一応透明人間インビジブルを発動している為姿は見えないが、念には念を入れてのことだ。                       幸い空腹や栄養バランスは偽造生命フェイカーでいくらでも誤魔化せる。

レーダーの反応も無くなり、速度を落として予め幾つか用意していたセーフハウスに向かって大通りに出ると、遠くの方から人影を発見した。

「うーん...........あれぇ............ここどこ?」

視力と聴力を強化し観察すると、この人物はどうやら少女のようだ。それも道に迷っているらしい。                       彼女は一体何者だろうか。正体を探るべく、脳に干渉して記憶を閲覧しようとしたその時、突然少女から数メートル離れた先にあるビルの1つが爆発し、業火に包まれた。

「...........!?な、何.........?」

突如起こった非日常に少女が戸惑っていると、何処からか頭に響くような下品な女の笑い声が聞こえた。

「キャハハハハハハハ!カワイイ雛ちゃん見ーつけた!アタシ今すっごくお腹空いてるの!早く美味しいお肉になってよねぇ!」

ボッ!!!と少女の近くが燃え上がり、人の形を成して鎮火する。炎の中から出てきたのは、白髪の女性。どうやら先ほどの下品な笑い声の主はこいつらしい。

こいつヤバイ。                             謎の女性を見たフェイは、直感的にそう思った。元軍人のアーロンと対峙したからこそ解ったことだが、あの女は間違いなく人を殺してる。それも1人や2人ではない。何十人もの命を奪ってきた人間だ。それも職業柄仕方なく殺した訳ではない。人を殺すことそのものを......。このままでは、あの少女も殺されるかもしれない。

「それじゃあ.........美味しくなってね?」

まずい!そう思う前に、身体はとっくに動いていた。

身体強化フィジカルブースト

瞬時にトップスピードまで加速し、引き絞った拳を全力で女の顔面に突き刺す。                                信じられない速度で錐揉み回転をしながら吹っ飛んだ女は、背後にビルを貫通していった。

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