VALIS二次小説 理想が欲しくて 深脊界市編Main Story -018(Case of FEI)

中華料理店で頼んだ料理が運ばれてきた時、フェイは護衛の仕事をこなす為に、料理を“視る”ことで毒物の有無を確認すると同時に、店内の生物の監視、偽造生命フェイカーで生み出した警備用の生物達の視覚情報にアクセスして暗殺を警戒していた。

すると、運ばれてきた料理のいくつかに遅効性の猛毒が仕込まれていることが分かった。その料理を作った人物を調べると、店長の沐宸ムーチェンが犯人だと判明した。

毒物が仕込まれていた料理だけを食べて能力で分解して皆を護ると、閉店したところを見計らって沐宸ムーチェンを尋問することにした。                   そして現在、口を割った沐宸ムーチェンによって目下調査中の組織、“S”が絡んでいることを知った。

(チッ、アイツ等か。二度もちょっかい出すとは良い度胸してんな)            「その“S”って奴等は何者だ」                     「知らない!何も知らないんだ!そんなマークを見たってだけで、名前を言われた訳じゃないんだよ!」

名乗ることすらしないとは、余程正体を知られたくないらしい。

「人質がいると言ったな?つまり、オマエの意志じゃねぇんだな?」          「そうだ!なあ頼む、私はどうなっても良い。だが妻と娘だけは助けてくれ!」

...............こいつはシロだ。尋問と同時にポリグラフ検査をしていたが、不審な点は見当たらなかった。こんな一般人がしっかり対策しているとは思えない。信用しても良いだろう。

「............今回は見逃してやる。だが次はねぇ。またあいつ等に何かしてみろ。そん時はどんな理由だろうが............ッ!」

俺はあくまでVALISの護衛だ。少しだけとはいえ関わった存流あるならともかく、一切知らない人間。それも無関係な存流あるも巻き添えにしてVALISの命を狙った奴まで護ってやる義理は無い。そう告げようとして、何かが降ってくる気配を感じ取り咄嗟に回避する。                      降ってきたのは、4本脚に球形のボディを持つ蜘蛛のような見た目をした機械だった。                               その機械は球形のボディからアームを展開すると沐宸ムーチェンを掴み上げ、高いような低いような不思議な音声でこう告げた。

《ターゲット回収。敵性要員補足、速やかに排除し帰還する》

PARTS_CAST WINGS

するとどんな仕組みか、ボディの下から一門のガトリングが組み立てられ、給弾も無しに銃身が回転した。                    すぐさま翼を生やし防ぐが、当然銃弾は簡単に貫通する。                羽が舞い、鮮血が飛び散る。神経が繋がっている為凄まじい激痛が走るが、痛覚を遮断して翼の再生に努める。

(?)

そこでふと、翼の隙間から機械の脚が目に入った。その脚にはとても見覚えのある文字が刻まれていた。

(“S”!?チッ何かと思えば、まさか口封じでもしに来やがったのか。...........だが丁度良い。此処で潰してその正体を暴いてやる)

PARTS_CAST TENTACLE

腰から無数の硬質な触手を生やし、沐宸ムーチェンに当たらないようにだけ気を付けて機械に触手のラッシュを叩き込むも、思ったよりも装甲が硬く表面を凹ませるに留まってしまう。                        新たな一手を打とうとするも、機械はボディを沈ませると、アームで沐宸ムーチェンを掴んだまま空高く飛び上がった。

「逃がすか!」

漸く見つけた手掛かりだ。ここで仕留めると翼で大気を叩きつけ追跡しようとするが、今度はガトリングが畳まれ数十発のミサイルが撃ち出される。

電磁支配エレクトリック放電スパーク

ミサイルを防ぐ為に放電する。青白い電気と接触したミサイルが凄まじい轟音を鳴らす。音が止んだ頃には、既に機械は姿を消していた。

「クソが!次はねぇぞ“S”...........!!!」

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