第2回内科専門医/第238問(脳神経)/2022

第2回内科専門医試験
2022年度予想

22歳の男性。全身の筋力低下のため搬入された。
現病歴:5日前に下痢と悪心とがあった。昨日の起床時に歯ブラシをしっかり握れず、朝食時には箸を使えなかった。昼には両腕を持ち上げることができなくなり、夕食時には舌がもつれて話しにくく、むせるようになった。今朝は起き上がれず、母親が救急車を要請し、即日入院となった。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:大学4年生。
家族歴:特記すべきことはない。
現 症:意識は清明。身長168cm、体重63kg。体温36.8℃。脈拍64/分、整。血圧150/96mmHg。呼吸数18/分。SpO2 96%(room air)。認知機能に異常を認めない。両眼の睫毛徴候を認め、鼻唇溝は浅く、口笛を吹くまねができない。構音はやや不明瞭で、軽度の嚥下障害を認める。顔面の感覚には異常を認めない。臥位での頭部挙上ができない。徒手筋力テストで上肢は1~2に低下し、下肢も3に低下している。握力は両側0kgである。上下肢とも筋萎縮と感覚障害とを認めない。腱反射は上下肢とも消失し、病的反射を認めない。自力歩行はできない。排尿と排便とに異常を認めない。
検査所見:尿所見と血液所見とに異常を認めない。血液生化学所見:総蛋白7.0g/dL、アルブミン3.9g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、AST 33U/L、ALT 26U/L、CK 86U/L(基準30~140)、尿素窒素18mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖86mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 97mEq/L。CRP 0.8mg/dL。動脈血ガス分析(room air)に異常を認めない。呼吸機能検査:%VC 73.1%、FEV1% 94.5%。心電図と胸部エックス線写真とに異常を認めない。脳脊髄液所見:初圧155mmH2O(基準70~170)、細胞数2/mm3(基準0~2)(単核球100%)、蛋白83mg/dL(基準15~45)、糖69mg/dL(基準50~75)。
この患者の治療として適切なのはどれか。2つ選べ
a. 血漿交換療法
b. 免疫抑制薬内服
c. メロペネム投与
d. 免疫グロブリン大量静注療法
e. 副腎皮質ステロイド大量静注療法

< ここから解答・解説になります >


解答

a、d
Guillain-Barre Syndrome(GBS)

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1,385字

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