最短で積分を極めるロードマップ #1(数Ⅱ復習〜数Ⅲ微分)
この記事は「最短で積分を極めるロードマップ」の1記事目です。数Ⅱ範囲の復習から数Ⅲの微分まで取り上げています。
2記事目以降については随時更新し、以下に追記します。
数Ⅱ範囲の復習と数Ⅲの微分 → このページ
数Ⅲの積分基礎 → Coming Soon
積分応用(微分系接触など置換の目指す形、気持ち) → Coming Soon
積分応用Ⅱ(ワイエルシュトラス置換、双曲線関数の利用、King Property) → Coming Soon
完全趣味積分(逆三角関数の積分など) → Coming Soon
難問積分の探し方と演習 → Coming Soon
はじめに
このような動画を見たことがあるでしょうか?
僕は文系で、学校の授業では数Ⅱ範囲の積分までしか学んでいないのですが、この動画を見て「自分もこんな積分ができるようになりたい!」と思いました。
積分を学べるWebサイトは「高校数学の美しい物語」さんや「おいしい数学」さん、そして「受験の月」さんなどたくさんあります。上記の動画でコラボしているヨビノリさんもそうです。
求めている情報が明らかなとき、検索した際上の方に出てくるこれらのサイトは非常に有用です。しかし、カジュアルに、そして体系的に学ぶには少々難があるような気がします。
そこでこの記事では、これらのサイトを横断的に活用しつつ、最短で積分を学ぶためのロードマップを提案します。
このシリーズのメインは応用の部分です。どのように難しい積分の問題を見つけ、演習していくか。
もはや大学受験の範囲から外れ、趣味で積分をしたい という方をサポート出来たらと思います。一緒に楽しみましょう。
また本シリーズでは、微分について積分に必要な範囲のみ記述します。もう少し抽象的に書くと、最低限の知識で最大限積分を楽しめるようになることを目標としています。
加えて、今のところ体積や面積等の問題について取り上げる予定はありません。複雑な関数を積分する喜びを手にしたい方のためのシリーズとなっています。
なお、数Ⅱの微積分まで履修していることを前提とします。
1-1 三角関数の復習
「加法定理」はもちろん、「2倍角の公式」や「半角の公式」、そして「和積(積和)の公式」は数Ⅲの積分を学ぶ上で必須です。忘れている人は復習必須です。
覚えている/問題なく導出できる 人は飛ばして構いません。
まず加法定理は必ず覚え、その他の公式は加法定理から導出できるようになりましょう。全部完全に暗記している必要はありません。
どの記事でも言われていることと思いますが、加法定理から導けることが最重要です。
1-1.1 加法定理
必ず覚えてください。というかもう覚えてますよね?
1-1.2 2倍角の公式、半角の公式
例えば2倍角の公式は
$$
\begin{aligned}\int \dfrac{\sin 2x}{\sin x}dx&=\int \dfrac{2\sin x\cos x}{\sin x}dx\\ &=2\int \cos x dx\end{aligned}
$$
このように使えます($${\cos x}$$の積分は後述するので、このあとの処理は省略しました)。
三角関数の中身は揃っていると嬉しいことが多いです。
1-1.3 和積の公式、積和の公式
慣れれば1分程度で導けるので、無理に覚えようとしなくて良いと思います。
積→和の変形は例えば以下のように活用します。
$$
\begin{aligned}\int \sin 10x\cos 3x dx=\dfrac{1}{2}\int (\sin 7x+\sin 13x) dx\end{aligned}
$$
数Ⅱで
$${{\int \left( x+1\right) \left( x+2\right) dx}}$$
このような積分は展開してから計算したように、和の形になっていると計算しやすいことが多いです。
逆に和→積の変形はあまり見かけません。
1-2. 数Ⅲの微分
本題です。
1-2.1 積の微分、商の微分
証明の概要も把握することをおすすめします(発想が必要なため)。
積の微分は和の形なので どんな順番でもいいじゃん!と思いがちですが、$${f(x)}$$の微分が先、微分が両端に来ると覚えておけば、商の微分をする際に+を-にするだけでいいので、覚えやすくなると思います。
商の微分は一番間違えるような気がします。「分子が$${f(x)}$$、これの微分が一番最初」です。
なお商の微分では、「分母をそのまま2乗する」ことを忘れないでください!
1-2.2 合成関数の微分
例えば$${y=x^2+1}$$を微分したとき、
$${y'=2x+1}$$のように ' ←プライム(ダッシュ)を使って書く場合が多いと思いますが、これは以下のように書くことも出来ます。
$$
\frac{dy}{dx}=2x+1
$$
$${y}$$を$${x}$$で微分したときの値は$${2x+1}$$ということを表します。
そしてこの記号は、(厳密には分数ではないのですが)分数のように扱えます。
以下の関数を微分することを考えましょう。
$$
y=(2x+3)^2
$$
まずは$${t=(2x+3)}$$とします。すると与式はこうなります。
$$
y=t^2
$$
ここで、
$$
\frac{dy}{dx}=\frac{dy}{dt}\frac{dt}{dx}
$$
が成り立ちます。分数のように扱えるため、右辺において「約分」のようなことができるからですね。
したがって、$${y}$$を$${x}$$で微分した値は、「$${y}$$を$${t}$$で微分したものと、$${t}$$を$${x}$$で微分したものの積」であることがわかります。
$$
\begin{aligned}
&\frac{dy}{dt}=(t^2)'=2t ,\\
&\frac{dt}{dx}=(2x+3)'=2
\end{aligned}
$$
ですから、
$$
\frac{dy}{dx}=2t×2=4t=4(2x+3)
$$
となります。
1-2.3 三角関数の微分
$${\sin x}$$を微分すると$${\cos x}$$、$${\cos x}$$を微分すると$${-\sin x}$$です。
もちろん証明も理解したほうが良いですが、一旦覚えることに集中しても構わない気がします。
1-2.4 無理関数の微分
$${\sqrt x}$$は$${x^{\frac{1}{2}}}$$と考えることで、問題なく基本的な微分の公式(いわゆる「肩を下ろして1を引く」)が利用できます。3乗根でも100乗根でも同様です。
上記リンク先でも書かれている通り、平方根の場合は覚えておいたほうが良いと思います。
1-2.5 対数関数の微分と自然対数の底
新たな概念「自然対数の底(ネイピア数$${e}$$)」が登場しました。円周率πと同じ超越数(代数方程式の解にならない数)で、2.71…と無限に続く数です。しかし、別にここの概念を理解していなくても、計算方法さえわかっていれば大半の積分は解けます。
eの概念について詳しく知りたい方にはこの動画がおすすめです。
なお、単に$${\log x}$$と書くと$${\log_e x}$$を表します。これを自然対数と呼びます。
稀にそうでないこともありますが、少なくともこの記事中では全て$${e}$$が底です。
$$
(a^x)'=a^x\log a \\
(\log_a x)'=\frac{1}{x \log a}
$$
も確かに覚えるべきなのですが、一旦
$$
(e^x)'=e^x \\
(\log x)'=\frac{1}{x}
$$
の2つは必ず覚えてください。これはすなわち
$${e^x}$$は微分しても積分しても$${e^x}$$のまま
$${\frac{1}{x}}$$を積分すると$${\log |x|}$$になる
(xが負の場合も考えられるときは、真数条件から絶対値が必要)
といえるということです。超重要です。
1-2.6 補足とまとめ
陰関数の微分や対数微分法、接線の方程式などの「積分するときにあまり必要とされない知識」の多くを省略しています。
最重要なのは三角関数の微分、指数・対数関数の微分あたりでしょうか。これらは積分する際にも必要です。
ここで商の微分と三角関数の微分の復習を兼ねて、一問だけ微分しましょう。
$${(\tan x)'}$$を求めよ。
<解答↓>
おわりに
この記事がNoteへの初投稿です。読みやすさはどうでしょうか。
冒頭にも書きましたが、僕が書く文章よりもわかりやすく解説しているWebサイトはこの世にあふれているので、それらにスムーズにたどり着くことが出来ればいいなという思いで書いています。
そのため、「わかりやすいサイト」を先に提示し、必要に応じてその後に少し補足する という形を取りました。
これを書いている僕自身も文系で趣味積分をしている身なので、間違っているところ等については指摘していただけると嬉しいです。
LaTeX記法を手探りで学んでいる状態なので、結構つらいです。調子に乗って冒頭で6記事を予定してしまいましたが、書ける自信はあまりありません。もうすぐ受験生だし(2024/01)。
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