アレルギー性鼻結膜炎に対するアルテルナリアSCIT(RCT)

Tabar AI, et al. J Allergy Clin Immunol. 2019

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=30879998

P: 12歳から65歳のアレルギー性鼻結膜炎患者111人

I: Alt a 1皮下投与0.2 μgもしくは0.37 μg

C: プラセボ(ランダム化二重盲検)

O: 治療12ヶ月後にAlt a 1 高容量投与群ではプラセボ群と比較して症状と投薬のスコアが有意に改善

<個人的コメント>

アレルゲン免疫療法にはスギ花粉とダニ、それぞれ標準化抗原を用いたSCITとSLITが保険適用となって多くの方に処方されています。

SLITで製剤化されているのはスギ花粉(世界的にはかわりにイネ科花粉)とダニのみであり、SCITはスギとダニ以外にも真菌や動物抗原などはありますが、標準化されていないこれらの抗原は個人ごとの効果の差異が多く、推奨には至っておりません。

真菌に対するアレルゲン免疫療法の中ではアルテルナリアの有効性に関する研究が比較的に進んでおり(PMID 21055665など)、論文ではアルテルナリアのメイン抗原であるAlt a 1を精製したSCIT製剤の効果を二重盲検RCTでみています。

結果では高容量の群のみが症状・投薬スコアに有意差がついていますが、低容量の群でもプラセボと比較して皮膚反応の減弱、IgEの低下、IgG4の上昇が確認されており、投薬方法や投薬期間(12ヶ月というエンドポイントはアレルゲン免疫療法の試験にとってはやや厳しいか)や患者選択次第で効果を期待することもできるかもしれません。

実薬群とプラセボ群での安全性が同等であったということも、(SLITに比べて副作用の多い)SCITの試験結果としては着目すべき点かと思います。



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