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羽虫

蛍光灯のなかで羽虫の死んでいるのが不思議でならなかった。そんな隙間もなかろうに。子どもの頃は、「幼虫の頃に迷い込み、そのまま成長して死んでいったのだろうか」などと思ったりもした。もしそんな生なら、その生は、最も純粋な生なのかもしれない。だって意味にも目的にも汚されていない、ただただ生きて死ぬだけの生だ。

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