最近聞いた話

こんばんわ。
最近見ているユーチューブのとあるチャンネルで聞いた話が面白かったので書きます。
AIと精神についての話です。

昔アランチューリングという人がいて、人工知能が「人間的かどうか」を試験するテストを考えました。
まあざっくり言うと壁越しに人間とAIが会話して(テキストでも可)、
被験者の人間に会話の相手が「人間だ」と一定以上の確率で思わせられれば合格~みたいな、
当たり前っちゃあ当たり前の試験なんですが、
(これをチューリングテストという)

そもそも何でこんなこと考えてたかというと、
大元には「人工知能は精神を持ちうるか」みたいな疑問があったわけですよ。

この疑問に関して昔からみんな、
充分に知能が発達すれば持ちうるとか、
いやそれでも持たないとか言ってたわけなんですが、
チューリングさんの画期的だった点は
そのAIが「実際に精神を持っているか」という
証明困難かあるいは不可能な疑問は一旦置いておいて、
「客観的に持っていると思われるかどうか」というシンプルな基準にしてしまったところだと。
人間にとって精神アリ、人間と喋ってるみたいだと思われるのであれば、
内面どうであれそれはもう精神アリと考えて問題ないでしょうよ、と。

かなり竹を割ったような考えなんで当時から今まで様々な批判もあったぽいんですが、最近また新たにチューリングテストの別の問題点が浮上してきたのではないか、というのが今回の趣旨です。

まず、 皆様にも直感的に受け入れてもらえる話かと思うのですが、
AIが精神を持つには「知能の発達」が不可欠という考えは昔から、
多くの人の共通認識だったわけです。
問題はどこまで複雑化すれば精神が生じるのか、
あるいは生じないのかだよねって。

しかしこの「知能」っていうのがどういうものかって考えた時に、
人間は知能とは「人間的なもの」と考えがちだったのです。
だって今まで人間より高度な知能を見た事なかったからね。
だから知能が高まったものはとりあえず人間みたいに考えるんじゃねって思っちゃう。
人間以上の知能はそりゃ知らないけど、人間と同じくらい賢いものは人間みたく考えるでしょうって。

でもここのところの現実的なAI技術の発展から、
実は知能の性質はもっと多様なんじゃないかという考えが生じている、と。
これは科学者の間で広く共有されている考えなのか、
私が見た動画の方が個人的にそう思ったのか忘れましたが、
ま、そういう考え方がある。

つまりAIはある点では完全に人間を凌駕するが、同時的にある点では全く話にならない低知能だったりするわけですよ。
高度な数学の問題を解けるのに、「9.12と9.9どっちが大きいか?」と聞くと「小数点以下を比べた時12と9では12の方が大きいので9.12>9.9である」とかぬけぬけ言うと。(現在は修正されたとか?)

こういうのって人間的な考え方、人間的な学習、人間的な知能だと起こらないミスじゃないですか基本的に。
少数の読み方知らずに高度な数学を解くなんて普通ありえない。
これは人間とはちょっと違う学習や違うアルゴリズムで出力してるから起こることであって、
知能が高いことは間違いないんだが、根本的に人間とはちょっと違うもの、
つまり「人間的じゃない知能」なわけですよ。
賢いけど人間っぽくない。

じゃあ、じゃあですよ。
その非人間的知能がさらに高まっていった時…
そこに宿るかもしれない精神ははたして人間的なものなんでしょうか?
もしかしたら知能と同じように
精神の性質というのも人間が考えるよりも多様なのではないか。
人間とは違った精神というものが存在しうるのではないか。
だとするとそれは…一体どういう構造の精神なのか?
それは我々人間にはどう映るのか?
全くの未知である。

という視座において、チューリングテストは「人間的な」精神があるように見えるかどうか、ということしか試験できないという不備がある、と今は言えるのではないか、というお話でした。

精神の性質、非人間的知性に宿る非人間的精神というものを考えたこともなかったので、とても刺激的でした。

非人間的な、という言葉遣いだけ考えると、
犬猫や霊長類なんかは精神があるように振舞うし、
そもそも人間の精神構造だって極めて個性的で一様ではなく、
「非人間的」と評される行いを平気でする人間だって存在するだろう。
考えてみれば人間は犬のような嗅覚はないし、くまの様に冬眠することもない。
彼らの精神というのも、人間とはかなり違ったものにはなっているはずである。
しかし彼らは同じ祖先から分化してきたという共通点がある。
畢竟、我々は「生き物」なのだ。

しかし人工知能は違う。出自というか、カテゴリーが違う。
そういう意味で根本的に共有できるものがないと言ってもいいかもしれない。
(この文章が将来的に私に「人工知能差別主義者」の烙印を押させない事を祈る)
そこに生じる精神とはいかようか…
興味が尽きない気もするし、なんだか怖いような気もする。
まあ、もちろん結果的に生じた精神はほとんど人間みたいだな、みたいなことも全然ありうるとも思いますが。

以上です。

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