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2024.6.13 日本版ライドシェア導入2か月

2024年4月に開始された「日本版ライドシェア」ですが、導入可能地域が日本各地に広がっています。

現状、導入が許可される条件が「タクシー不足の地域と時間帯」に限られているので、導入されている地域の多くが都市部となっています。

では、導入2か月の現在、ライドシェアはどうなっているのか???

現役タクシードライバー的に考察してみたいと思います。
(個人的見解になりますので、全ての地域の実情とは乖離しているかも知れません。その点は、読み進める上でご留意ください。)


まず、ライドシェア導入の一番の理由となった「タクシー不足をライドシェアで補えるようになったのか?」という事について。

この点については、全く意味を成していないと思います。

理由の一つは、都市部ではタクシー不足が解消されつつあるという事。
ライドシェア導入の報道と共に、「今はタクシードライバーが不足しているので、タクシードライバーになればある程度稼げる」という事も報じられました。そのため、都市部の大手タクシー会社を中心に、タクシードライバーへの求人応募が増えています。
実際、自動車学校での二種免許養成も前年比2割ほどアップしているそうです。

もう一つは、曜日や時間帯が限定されるライドシェアなので、そもそもライドシェアドライバーが集まっていないという事。
その為、許可されている地域でも、ライドシェア車両を見ることはほとんどありません。

つまり、ライドシェアが導入されたからと言ってタクシー不足が解消されたわけではなく、タクシー稼働台数が増えたため、タクシー不足が解消されつつあります。
反対の側面から見れば、ライドシェアドライバーは仕事が無いので、導入以前には興味を持っていた人が多くいましたが、導入後は広がりを見せていません。


では、利用するお客様側の反応はどうか???

前述のようにライドシェア車両がほとんどない状況ですので報道でもほとんど続報がありませんが、積極的にライドシェア車両を使いたいという人は、ほとんどいないようです。

この点はこれまでも私の記事に書いていますが、日本人の国民性として「見ず知らずの他人」の車両に乗車するということへの抵抗感があると思います。
タクシー会社が管理監督を行っている日本版ライドシェアとはいえ、やはり「一般個人」に「自分」を預けることへの抵抗感。
特に女性などは、「自宅を知られてしまう」ことなどへの抵抗感もあると思いますし、車内という密室で何をされるか分からないという恐怖感もあると思います。

制度上、タクシーと運賃も変わりませんし、それならば「タクシーを使おう」というのが実情でしょう。

これが、「タクシーは1時間待ちで、ライドシェアは5分待ち」となり「タクシーの半額でライドシェアが利用できる」となれば多少変わるかも知れませんが、私はそのような状況になっても日本ではライドシェアは広まらないと予想しています。
ごく一部の人を除いて、「安心感で既存のタクシーを利用する」という今の実情から変化は起きないかと思いますね。

海外でライドシェアを利用した人からも話を聞くことがありますが、そういう地域では「タクシーの方が安心できず、ライドシェアの方が安心して利用できる。」とのこと。
日本でそこまで行くことは現状では考えられませんからね。

この先、タクシー会社以外にライドシェアの管理が認められるようになっても、都市部の若者などごく一部の人を除いて、ライドシェアを積極的に利用する人はいないでしょう。

これは「ウーバーイーツ」などの宅配事業の推移と同じです。
コロナ禍もあって宅配事業が一定程度認知され、ウーバー以外にも多数の事業者が参入しました。
しかし、コロナが落ち着いた今、撤退する事業者がすでに多数あります。
また、都市部以外では需要もほとんどなくなっています。
宅配されなくとも、今はまた自分で外食に出向くことも出来ます。
また、自分でテイクアウトをしに行くことも出来ます。
宅配にすることで割高にもなりますし、そこに意義を認める一部の方を除いて利用者は減少傾向。
むしろ、女性などでは「自宅を知られてしまう」などのマイナス面もあり、やはり日本の国民性とは相容れない部分があるかと思います。

タクシーとライドシェアの関係も同じで、便利さと安心のどちらを取るのか?

タクシードライバーでも人によっては変な人もいます。個人タクシーだと、ライドシェアと同じように不安かも知れません。
でも、日本の多くの地域では個人タクシーも走っておらず、「法人」という安心感で利用しているお客様が大多数です。
ドライバー個人が変な人であっても、法人(会社)に報告すればよい。
これが、タクシー会社以外の管理になったライドシェアはどうなるか?

宅配(ウーバー)で問題になっているように、「個人間契約」なので管理会社は責任を負いませんと言うでしょう。

日本人は、そういう宅配事業のことを先に見てきました。

ですから、ライドシェアが信用を得ることは至難の業だと思いますし、特に都市部以外での未来は、今のところ私には見えないというのが、今の私の率直な見解ですね。

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