日本版ライドシェアが始まって半年・・・
2024年4月に始まった「日本版ライドシェア」。
およそ半年たって、現役タクシードライバー的にどう考えているのかを書いていきます。
※私の営業地域ではライドシェアは解禁されていません。様々な報道や私がお乗せするお客様の声、実際にライドシェアをやっている会社の幹部さんに聞いたお話などから考察します。
まずは、各種報道について。
ライドシェア解禁日には、それぞれの地域でテレビや新聞で大々的に報道されました。
ライドシェアの使い方、ライドシェアドライバーになるための方法、ライドシェア出発式など、皆さんも目にしたのではないでしょうか?
しかし、その後の報道は、国会議員さんの「賛成だ」「反対だ」ということは有りますが、実際の現場の報道はほとんどありません。
では、実際のライドシェアの現場はどうなっているのか???
これは、先日ライドシェアをやっている某社の方とお話をしたので、それをそのまま書いていきます。(地域によって実態は違うと思いますので、ある地域での実態となります。)
まず、ライドシェアドライバーについてですが、開始前後には多くの問い合わせがありましたが、実際に説明会に来て内容を聞いて断念する人が多数だったそうです。
今の日本版ライドシェアは、曜日や時間帯が限定的で、かつアプリでの配車しか受けられない訳で、ウーバーイーツのように簡単に参入して簡単に稼げるシステムではありませんからね。
自分の車両を使うリスクなど、冷静に考えて断念する人が多かったそうです。
そして現在では、応募もほとんどなくなっているとのことです。
一方でお客様側ですが、これもアプリでライドシェア配車を選ぶ人はほとんどいないという事です。
現状のシステムでは、ライドシェアを選んでもタクシーを選んでも同じ運賃だという事も一つの理由だと思いますが、それよりも「安全・安心」でタクシーを選んでいるとのこと。
そして、タクシー会社側としてですが、経営的には全くの赤字だそうです。
国の方策であり、運輸局の手前参入してるけど、実際はやりたくないという本音をお聞きしました。
これらのことから、世間に広まっていなければ報道もされませんし、タクシー会社もメリットが無ければ積極的な宣伝も求人もしないというのが、半年たっての現状なのかと思いますね。
実際、私がお乗せするお客様からの声も「安心や安全を買っているからタクシーに乗るのに、お金を払ってまで一般人の車に乗りたくない」という方が圧倒的多数です。
別記事でも書いていますが、海外でライドシェアが発展しているのは、そもそも「タクシーが安心安全ではない地域」です。
そういう地域では、タクシーよりもライドシェアアプリでの配車の方が安心や安全が担保されるという事情があります。
事情や国民性が違うのに、単に海外の真似をしてライドシェアを推し進めても、国民にとって有益なものにはならないでしょう。
かつての郵政民営化で過疎部の郵便局が減っていき、今となっては都市部でも配達が休みの曜日も出来るようになったことの二の舞を、タクシーで繰り返してはいけません。
現役タクシードライバーとして、タクシー業界へのお金の使い方は「タクシードライバーの育成」へと、早急に舵を切っていただきたいと考えています。