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第182回: 売上は知名度を表し、利益は人気度を表す

方々で経営会議に参加をしていると、“売上を上げよう”、“利益を出そう”、と発破をかけるシーンに出くわす機会が多いのですが、こうした表現を聞くに付け、常々どこか違和感がありました。

経営において、利益を創出すべく売上をあげようというモチベーションは極めて健全なのですが、何と言うかこう、売上とか利益というのは、すべきことをした結果もたらされる形があるべき姿であって、自分達の努力であげると言うと、どこか俗っぽく聞こえてしまうきらいがあるからかもしれません。

会計的に言えば、売上を上げるためには原価がかかり、そこから必要経費を差し引いたものが利益になるわけなのですが、その性質と向き合って深く考えてみると、売上はシェア(知名度)を表し、利益は姿勢(こだわり)を表すことが分かります。

売上をあげることは、極論すれば広告連打によりどの事業セクターでも実現可能ですが、利益というのは如何なる業界においても経営の姿勢がダイレクトに反映される総合芸術指数であって、誰もが同じ水準の利益率を狙えるものではありません。

・売上
・原価
・経費
・利益

言うまでも無く売上を上げるには原価と経費が必要で、原価と経費は所与の数値です。突き詰めて考えれば、原価と経費は、経営者にはコントロールが出来ません。

最低賃金も定められており、労働三法が課され、為替の制限も厳しく、その他業界特有の習慣など、平等なガイドラインに従いながら経営を担うのが経営者の役割です。と考えれば、誰がやっても同じ利益に落ち着くように感じますが、なぜ業種業態に応じてこうも利益率が異なるのか。

それは、“工夫”があるからです。

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