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東大寺二月堂の「お水取り」

奈良の東大寺に修二会(しゅにえ)という行がある。

国宝「二月堂」で毎年3月1日から14日間行われ、「お水取り」とも呼ばれる修二会は、大仏開眼供養の年である天平勝宝4年(西暦752年)に実忠和尚によって創始され、以来二度の伽藍消失の時も、第二次大戦中や敗戦の中でも、一度も絶やされることなく今日まで続けられ、「不退の行法」と称され、令和5年(2023年)年には1272回目を数える。
 

実忠和尚は、東大寺を開山した良弁僧正の弟子で、『二月堂縁起絵巻』によると、笠置山で修行中に竜穴を見つけて入り、天界の一つ兜率天に至り、天人たちが十一面観音の悔過を行ずるのを見て、これを下界でも行いたいと願い、修二会を開始したと伝わる。兜率天の一日は人間界の四百年にあたり到底追いつかないと言われ、少しでも兜率天のペースに合わせようと走って行を行うのだという。

修二会の正式名称は「十一面悔過(じゅういちめんけか)法要」と言い、
われわれが日常に犯しているさまざまな過ちを二月堂の御本尊である十一面観世音菩薩の前で懺悔(さんげ)することを意味する。懺悔と同時に、世の平和と人々の幸せ(鎮護国家、天下泰安、風雨順時、五穀豊穣、万民快楽)を願うものでもある。

「修二会」自体は東大寺だけのものではなく、他の寺院でも行われている。

東大寺二月堂の「修二会」は、元来、旧暦の2月1日から行われ、二月に修する法会、という意味で「修二会」と呼ばれるが、現在は本行は3月1日から14日間行われる。3月13日の午前1時半頃(12日の夜)に若狭井(わかさい)という二月堂の下にある井戸から観音様にお供えする「お香水(おこうずい)」を汲み上げる儀式が行われることから「お水取り」とも呼ばれる。

 この行を勤める練行衆(れんぎょうしゅう)の道明かりとして、夜毎、大きな松明(たいまつ)に火がともされる。

 良弁僧正の命日である12月16日に練行衆と呼ばれる11名の僧侶が発表され、明けて2月20日より別火(べっか)と呼ばれる前行が始まり、3月1日から14日までの本行が勤められる。

 毎夕二月堂に上がる練行衆一人一人の先に松明を担いだ童子が歩き、その道を照らす。11人のうち「処世界」という役は準備のために先に上堂しているので通常は10本、12日はすべての練行衆が一度に上堂するので11本の「お松明」があげられ、14日間で141本の松明を要する。お水取りの日である12日に使う松明はひと際大きく「籠松明」と呼ばれる。


 奈良の歴史を象徴する修二会の中にあっても竹は重要の役目を果たしているのだが、私はそのことを知らず、修二会も見たこともないまま、奈良の竹を切っていた。
 ある時、日本の文化や伝統の中での竹の意味を知ろうと習い始めたお茶の先生から庭師の棟梁を紹介され、この方から「お水取り」の竹探しを手伝ってほしいと言われた。


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