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【尾原 x シバタ】State of AI Reportを読み解く会

対談動画:

尾原和啓さん(以下、敬称略で尾原): こんにちは。『ITビジネスの原理実践編』と、シバタナオキさんの『生成AI事例集』のサービスローンチを記念しまして、ちょうど先月の中旬に『State of AI』という、全部で160ページぐらいの、現状のAIに関して1スライド1チャートでまとまった非常に良いものがあったので、お互いに勉強になったスライドを解説し合おうかということを話して開催するということになったわけですけれども。では、シバタさんのほうから少し補足をいただけますか。

State of AI Report 2023:

 
 
シバタナオキ(以下、シバタ):そうですね。この『State of AI』というのはかなり研究されていて、リサーチの人たちから、インダストリの人たちから、政治なども含めて、かなりしっかりしたレポートです。ただ、量があまりにも多過ぎることもあり、ぜひ一度、尾原さんにも「ここはどう思いますか」と聞いてみたかったということもありまして、今日はこういう会をセットしていただいたという次第です。
 
尾原: そうですね。これをつくったAir Street Capital自体はそこまでメジャーなVCというわけではありませんが、これをまとめたNathanはAIバックグラウンドがしっかりされていらっしゃる方で、ライフサイエンスとAIをずっとやっていましたし、London.AIという、ロンドンのAIディスカッションコミュニティを立ち上げたり、わりと昔からしっかりAIをウォッチされていらっしゃる方だということもあり、非常に1枚1枚まとまっています。

また、この160枚のレポート自体が、いわゆる論文の研究と呼ばれている部分のリサーチワークをまとめたものと、あとはインダストリアルレポートですね、生成AIが産業にどういうインパクトを与えるのだろうといった産業レポート辺りをまとめています。あともう1つはポリティクスとセーフティです。やはり政治学的なところで非常に大事になってきますし、セキュリティとコンプライアンスを含めた安全性のところも大事になってきますので、ネガティブサイドもしっかり押さえつつ、最後にプレディクションとして、このあとの生成AIのインパクトがどうなるのかというところをまとめています。

リサーチ、インダストリ、ポリティクス、セーフティ、プレディクションズという5つをカバーした非常に便利なレポートになっていますので、すでに読んだ人も多いのではないのかな。どうなのでしょうね。
 
シバタ: 本当ですか。みんな読んでいるのでしょうか。こんなのを読んでいたらすごいですよね。
 
尾原: でも、1個1個はそこまで情報量が多いわけではありませんから。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: 僕がお勧めする習慣としては、この手のものは全部読まなければいけない症候群にならないほうがいいなと思っています。とにかくこういったものがシェアされたときにパラパラパラパラと全部見てみて、心の印象に残ったところはそのとき読むし、あと、自分が引っ掛かったときに辞書代わりにするというのが根本です。
 
シバタ: いいですね。では、僕は事前にいくつかスライドを選んであって、尾原さんもいくつかスライドを選んでいただいていて、どういう感じでいきましょうか。まずは尾原さんのものからいきましょうか。

 

生成AIサービスのリテンションレート、DAU/MAUはどれぐらい?

尾原: では、それぞれからいきますかね。僕の、そうだな、1枚目に良いスライドとしてシェアするとしたら、こういう事実もきちんと見ておいたほうがいいよというデータとして好きだなと思ったのがこれですね。

要は「ChatGPTの衝撃」みたいなことを言われるときに必ず言われるのが「たった3日間で1,000万ユーザー超えて、2カ月で1億ユーザーを超えた、衝撃的に使われているサービスだ」というものですが、「では、実際に1カ月後にどれだけの人がリテンションしているのか」ということのほうが本当はサービスとして日常の中に使われているのかという観点では大事なわけですよね。
 
シバタ: はい。
 
尾原: そういう意味で、例えばYouTubeのようなサービスに関して言えば、使った人が翌月も使っているというOne Month Retentionに関しては8割以上のユーザーが使いますし、TikTokも7割ぐらい使っていますし、Tinderが54%使っているというのは、これはいいことなのかというふうな。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: 逆にすごいのですが、Tinderのようなサービスは、本当はパートナーが見つかったらすべからく離れるべきサービスだろうとこちらについては思うのですけれども。

というので比べてみたときに、実はChatGPTが1カ月経ってリテンションしているレートは56%でTinderと同じぐらいのパーセンテージということで、それって高いの?低いの?ということです。ましてやRunwayやLensaなどこの辺りの応用系のものは、確かに1回使うと「wow!すごい!AI」と思いますが、「2回使う?1カ月の中に日常的に使う?というところで言うとそこまでは高くない」というところをきちんと分かっておかないと、バブルが過ぎるのではないかなと思います。

あともう1つ、そのときに使う指標として大事なのがこのDAU/MAUですね。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: やはり毎日使う人と毎月使っているユーザーが近ければ近いほど、ほぼ毎日使うフリークエントツールになっているという話です。WhatsAppはコミュニケーションツールですからほぼ毎日使っているわけですよね。それに対してInstagramやYouTubeになってくると、やはり日々使うというよりは2~3日に1回使うぐらいの指標になっていて、これがChatGPTになるとわずか14%しかありません。ものすごく乱暴に言ってしまうと1週間に1回使うぐらいの感覚です。
 
シバタ: そうですね。いや、これは、例えばLINEはWhatsAppにかなり近いので、DAU/MAUがおそらく7割8割になるとは思いますが、メッセージングのアプリと比べるのも逆に可哀想かなという気もしています。
 
尾原: 可哀想は可哀想ですよ。
 
シバタ: はい。ですから、「ChatGPTは、何もない、何の色気もないのにDAU/MAUが14%ある」というのを高いと見るか低いと見るかですよね。
 
尾原: そうですね。ただ、世間では「日々の仕事を置き換えられる、wow!」といったことを言っているのであれば、「日々の仕事を置き換えられる、wow!だったら、毎日、少なくとも7日中平日5日間はアクセスされていないとおかしいですよね」という話なので。
 
シバタ: そうですね。確かに僕も。
 
尾原: そこら辺はやはり理想と現実のギャップのところをきちんと数字で検証し続ける癖をつけないと、wow effectからのバブルにやられやすくなります。
 
シバタ: 確かに僕も毎日は使っていないですね。1週間に何日ぐらいだろう、2日か3日は使っているとは思いますが、そうですね、毎日は使っていないですね。何だろう…。
 
尾原: 僕はほぼ毎日使っています。(笑)
 
シバタ: ほぼ毎日使っていますか。(笑)いいですね。
 
尾原: 基本的には今も使っているのですが、こういう2人の会話をWhisperでChatGPTに流していて、「今のところを解説して」とやると裏解説してくれるので。
 
シバタ: いいですね。
 
尾原: 僕からすると、もうB面実況中継が常にされているというのが基本になっているわけです。その辺は、結局ユースケースとして日常に溶け込むレベルになっているんでしたっけという話と、もう1つは、僕は変態ユーザーだからいろいろな工夫をしてUXを自分でつくりますが、日常に溶け込むユースケースに対してフリクションレスなUXにまで昇華しているのですかという、この2つが揃って初めて日常のツールになりますので。
 
シバタ: そうですね。僕は一番足りないなと思っているのが、「このタスクを継続的におこなう」というボタンが欲しいです。
 
尾原: そうですね。本当にそう思いますね。
 
シバタ: 調査したりするのは、ZapierやIFTTTのように繰り返し毎日実行してほしい、毎週実行してほしいということがありますよね。そういうのがChatGPT本体に組み込まれると、もっと利用率は上がるなと思います。
 
尾原: そうですね。だから、僕はZapierのほうを、APIのほう、Google Appsから叩きにいくように設定されていて、毎日、基本的に日本とアメリカでlistedされた資料に関して要約を送ってくれというメールサービスを自分でつくっています。
 
シバタ: すごいですね。
 
尾原: 毎朝起きたら、listed companyに関する要約が来るという。シバタさんのメルマガをChatGPTで。
 
シバタ: 自動化するのですか?
 
尾原: 簡易バージョンでやってしまっています。ごめんなさい…という話になったりはするのですけれどもね。(笑)
 
シバタ: いえいえ。(笑)いいですね。
 
尾原: おそらくそれはハイパーユーザー向けだから、それが一般の方でも使えるUXに馴染ませたものが、逆に言うと勝つとも言えます。


ChatGPTが教育系とソースコード系に与えた影響

シバタ: 今の話に関連して僕のほうから少し補足と言いますか、面白かったなというのが88ページ、89ページです。ChatGPTが来ることによっていろいろ変わるのではないかと言われていまして、Cheggというのはいわゆる教育系のサービス、学習系のサービスですが、当然ChatGPTが出た瞬間にドカンと株価が落ちたりして大変でした。
 
尾原: 株価が半分になってしまったんですよね。
 
シバタ: はい。
 
尾原: しかも、IRでCheggの人が「ChatGPTで少しユーザーが減っているような気がします」というようなことを言ってしまったから、それで株価が半分になるという、本当に可哀想なシチュエーションでしたよね。
 
シバタ: そうですね。でも、実際ふたを開けてみたら、別にCheggのサービスには今のところダメージはないという結果が出ていて、これは結構面白いなと思いました。みんな教育系は一瞬で置き換えられるのではないかと言っていましたが、今の時点では意外と置き換えられなかったというのはあって。もちろん彼ら自身がAIをどんどん入れていくというのはあると思いますが、意外と革命のようなことが起こっているかと言うと起こっていないというのが教育系です。

シバタ: 一方でソースコード系ですね。GitHubのCopilotが出たあとを見てください。
 
尾原: これは大きいですよね。
 
シバタ: はい。一番割を食っているのがStack OverflowといういわゆるコーディングのQ&Aのサイトです。これはもうトラフィックがガツンと落ちていて、おそらくGitHub CopilotもStack Overflowのデータを使って学習している気が相当するのですが、これはStack Overflow的にはたまらないなという状態になっています。ですから、教育系はまだそこまで大きく動いていませんが、ソースコード系は動いた、そういう傾向です。

 

GitHub CoPilot は開発者の生産性を大幅に向上させる

尾原: そうですね。僕もたまたまその次のページの90ページを選んでいました。これは、逆にStack Overflowに対してユーザーをガツンと増やしたのがGitHubです。GitHubはMicrosoftがOpenAIの以前に最も買収金額で高かった開発コミュニティになっていまして、基本的にはオープンソース開発コミュニティとして自分たちがつくった開発ライブラリをどんどん上げていって、みんなでチェックできるだけではなくて、会費を払えばクローズドな開発に関してもGitHubがバージョンアップ管理をしてくれて、これはどれだけのバージョンをされていて、ほかの人が「これは少し間違いがあるから、こういうふうに修正したほうがいいのではないか」と課題を上げると、それに対して承認者が承認するとアップデートがされていくかたちの開発コミュニティです。ここがMicrosoftに買収されて、かつ、開発とGPTはものすごく相性がいいので、当然のようにGitHub Copilotというかたちでどんどん開発支援の機能が入っていったわけです。

結局、100万人ぐらいのユーザーがGitHub上でCopilotを使いまくっています。しかも、当たり前ですが生産性が3割ぐらい上がると言われていますので、プロダクティビティが3割上がるのだったら使わない手はないよねという話になっていますので、Stack Overflowはそういう機能があまりまだ実装されていませんので、如実に影響が来ますよね。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: これを邪推して考えると、ネットワークエフェクトの基本の所作の中にツール→コミュニティというのがあるのですよね。要は、最初はツールとしてプロダクティビティにものすごく貢献して、結果としてツールの成果として上げられるプログラムの開発がコミュニティとしてのネットワーク外部性を持つので、勝者がより強くなるというものです。これの典型例がInstagramです。InstagramというのはもともとFacebookやTwitterに写真をアップするときに軽くかっこよくつくるフィルターツールというところで始まりましたが、結局、写真をたくさんアップしたいというネットワークコミュニティの中のインフルエンサー、ハードサイドの人たちにものすごく選ばれて、それだったら自分の近しい人にだけ写真を共有するコミュニティにしたほうがいいのではないかというのでコミュニティに変わっていったというのがツール→コミュニティというネットワークエフェクトの1つのベーシックプリンシプルなのですが、このGitHub Copilotに関しては、まさにプロダクティビティに貢献するツールから生成されたものがコミュニティとしてみんなの共有物としてどんどん溜まっていくので、データネットワークエフェクトが効くというところの教科書のような話なのかなと思っています。
 
シバタ: そうですね。やはり今までは、みんなソースコードを書いているときに分からないことがあるとGoogleで調べるわけです。そうすると、Stack Overflowのページが出てきて、そこのコードをコピペして、自分のコードエディタにコピペしてデバックするようなことをしていましたが。
 
尾原: そうですよね。わりとSEOが強かったですよね、Stack Overflowは。
 
シバタ: はい、そうです。だったら、もう今はそれをせずに、CopilotのプラグインをIDにインストールしておけば、その場で全部ソースコードを自動補完してくれますので、要はGoogleにソースコードに関する質問をする機会が相当減っていると思います。これは月20ドルですよね。確かそのぐらいだったと思います。
 
尾原: はい、そうです。
 
シバタ: 32%のプロダクティビティ・ゲインというのは相当すごくて、仮に給料が月に30万のエンジニアの人がいたとして、その30万の人の30%は金額換算すると10万円ぐらいですから。
 
尾原: はい。
 
シバタ: それが20ドルで買えると思ったら、企業側から見たら投資しない理由はないと思います。
 
尾原: まさにまさに。
 
シバタ: 皆さん、セキュリティの話などいろいろあるのは分かりますが、エンジニアの方にCopilotを使わせてない方はかなり損している可能性があります。
 
尾原: セキュリティの問題に関して逆の観点で言えば、Microsoft様のクラウドで管理されているので、課金をしてプロジェクトとして扱っているものは、当たり前ですがAIのトレーニング対象にならないし、当たり前ですがほかのユーザーが触れるということはないわけです。
一方、オープンなエリアに関しては今までどおりGitHubとしてオープンソースのマネジメントでやっているので、クリエイティブコモンズ(CC)の基準に合わせて活用がされていっていて、言い方は悪いですが、GenAI(生成AI)が始まってからの著作権侵害うんぬんの話よりも、クリエイティブコモンズにおいてどのように権利を扱っていくかのほうが15年先に進んでいる話なので、そこに関してはそこまで皆さん心配する必要性はないのかなと個人的には思いますが、もちろん最終的には1人1人その方々の判断なので、自己判断でおこなってくださいという話ですよね。
 
シバタ: そうですね。


生成AIと相性抜群の「ツール→ネットワーク」

尾原:少し参考に、先ほどのツール→ネットワークは本当に大事な概念ですので、これは日本語訳もされていまして、Andreessen Horowitz(a16z)のAndrew Chenですね、彼の『ネットワークエフェクト』、英語名は確か『The Cold Start Problem』かな。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: 『The Cold Start Problem』という名前で英語で出た本が、日本語だと『ネットワークエフェクト』という、そのままのタイトルで本になっていて、その中にもきちんと書かれている話です。最初はツールとして入って、ネットワークの力を得ると、価値とユーザーの増加がどんどん自走しますよと。

尾原: ツール→ネットワークというのは4種類あって、何かをクリエイトしたものを他人にケアするということで、クリエイトするツールで入って、ほかの人にシェアするというところでコミュニティになってネットワークエフェクトを効かせましょう、これがInstagramやYouTubeです。

自分のために何かをオーガナイズ、まとめ直しましょうという、まとめるためのツールがそのままほかの人とコラボレーションしましょうというのが、これは例えばPinterestは写真を自分のためにコレクションボードをつくるみたいなところから始まりましたし、Asanaは自分のためのToDoのマネジメントがほかの人やプロジェクトとのToDoのマネジメントというネットワークエフェクトを効かせますよねという話です。

在庫の確認というレコードを記録する場所を自分のためのツールとして使っていると、結果的にほかの人がそこの予定をアップデートできるところでネットワークエフェクトを取れますねというのが、レストランを予約するOpenTableです。

最後が、自分のためにまとめている備忘録がほかの人に貢献しますよというパターンで、これがZillowやGlassdoor、Yelpのように、不動産だったり、就職だったり、お店探しのときに自分があそこの会社はこういう印象だったよといったことがまとめていると、ほかの人にも役に立つよねという話です。これら全員、生成AIとツール→ネットワークは非常に相性が良いので、ツール→ネットワークはもっと脚光を浴びてもいいのではないかなと個人的に思っています。
 
シバタ: そうですね。すごくツールっぽい入り方をして、いつの間にかネットワークができるというのは、本当におそらくエンジニアがつくるサービスとしてはつくりやすいとも思いますので、ぜひもっとそういうのが出てくるといいのかなと思います。
 
尾原: はい。そして、おそらくシバタさんの生成AI事例集にお金を払っている人たちってバーティカル系でSaaSの脅威を感じながら、SaaSはGenAIというアクセルでものすごい加速をしてくるからどうしようと考えていらっしゃるお客様が多いと思います。ですから、SaaS系、バーティカル系とツール→ネットワークは非常に相性が良いので見ておいたほうがいいと思います。
 
シバタ: そうですね。いろいろなツールがあって、いろいろなのがこれからも出てくると思います。 


GPUの保有状況とTeslaの独自戦略

シバタ: 次に、少しGPUの話をしたいなと思います。
 
尾原: そうですね。
 
シバタ: Teslaの話にいきたいのですが、その前にNVIDIAがつくっているGPUの1つ前の世代の一番大きいものがA100というものなのですが、これを見るとMetaが一番持っています。acebook、Tesla、Stabilityという感じでしょうか。上からたくさん持っている人の順でいきますと。
 
尾原: そうですね。

シバタ: 最新のH100というのは、みんなが欲しくて今買えないものですね。
 
尾原: これは買えなくて、みんな行列中ですね。
 
シバタ: 行列中のもので見ると、Google Cloud、Inflection、Oracle Cloud、Teslaという感じです。少しTeslaの話をしたあとでももちろんいいのですが、Amazonがここに入ってきていないのは大丈夫かなと、正直言うと僕は心配です。Google、Facebookが入ってくるのは当然だと思いますが、Amazonはここにいないのですよね。
 
尾原: そうですね。
 
シバタ: 彼らは乗り遅れたのではないかという説があります。 

シバタ: 一方で、Teslaは、Dojoという、いわゆる自分たちのコンピュータのGPUのクラスターをつくると、GPUの設計から自分たちでおこなうという話が出たりもしていて、この辺はだいぶ。Teslaは、僕も一応自分で乗っていますが、自動運転のための計算機の学習にはやはり相当コンピューティングパワーが必要で、そのためのGPUが必要だというのはもちろんありますので、Teslaが、世界最大までいかなくても、最大級のGPUクラスターを持つというのは、僕的に考えるとすごく自然なイメージです。

これに関しては、イーロン・マスクも言っていましたが、もしもNVIDIAがH100を欲しいだけきちんと売ってくれるのだったら、自分たちでこんなものをつくらないと。でも、今この状況で、とてもじゃないけどH100が買えないので、もう仕方がないから、自分たちで自分たちに一番合うように設計をしてつくるという話をしていて、そうだよねという感じでした。この辺についてはどうですか。
 
尾原: もう、ここに関して言えば、あと1年半はもうどうしようもないですね、NVIDIA様の天下は、もちろんArmもです。正確に言うと、NVIDIAがというよりかは、InfinityBandのところがボトルネックになるというのは、製造的に間に合わないのは仕方がありません。IntelもArmもいろいろなアプローチで解決するものを出そうとしていますし、IBMに関してはニューラルチップだったりし、次のアーキテクチャーをという話をしています。あと、その手の話で、AIネイティブなチップに関して言えば、今年おそらく民政解放していくのは、GoogleのTPUがもう1段階スケール持って公開をしてくのではないかなと個人的に思っています。とはいえ、それが動き出すのに半年ぐらいはかかります。

先ほど話に出たAmazonがそこに対して遅れているという状況がありますが、GoogleのTPUがAmazonで使われるわけは絶対にないので、そういう意味ではちょっとAmazon Cloudに関してはビハインドです。

一応、コミュニティのHugging Faceが、今のところ一番AIのモデルのデータセットが交流される場所になっているコミュニティです。Hugging Face は初期の頃にはAmazonとすごく距離が近かったのですが、そういうこともあってか、最近、MicrosoftのほうがHugging Faceと仲良しな感じになってきているので、ちょっとAmazon頑張れやという状況は変わらないと思いますね。
 
シバタ: そうですね。AWSでGPUが足りなくなったらAWSはかなり困ると思うのですよね。でも、先ほどおっしゃっていた、GoogleがTPUをオープンにしていくというのはすごく面白いですね。
 
尾原: そろそろやはり競争戦略上やるのではないのかなと思うのですけれども。
 
シバタ: はい。FacebookとMetaがLLaMAをオープンソースにしたのとか、それこそGoogleがAndroidのときにやったことと似ていると思いますが、その取り方は正しいですよね。チップの設計を押さえつつオープンソースにしてマーケットシェアを獲るというのは正しいですよね。
 
尾原: そう思います。というのは、結局なぜモバイルの世界においてArmがあれだけのシェアを獲っているかと言うと、Armのせいというよりかは、Armをベースにしてミドルウエアなり、その上のアプリケーションレイヤーを最適化して開発ツール群ができているので、Armからずらすと開発の仕方がすごく面倒くさいのです。
 
シバタ: 結局、あれはAndroidのおかげですよね。
 
尾原: そうです、そうです。
 
シバタ: そういうことを言っているとArmの人に失礼かもしれないですけれども。
 
尾原: だから、AndroidアーキテクチャーがArmアーキテクチャーを前提につくっているのですよね、単純に言えば。
 
シバタ: はい。チップの設計というのは僕も自分でしたことがないので分かりませんが、結構面白いなと思っていて、Teslaが今回このDojoでクラウドのデータセンターにおける画像や映像の機械学習をするために最適化したチップをつくって設計するのですが、Teslaはもう1つエッジコンピューティング用に車の中に入れるGPUチップも自分たちで設計してつくっています。僕がかつてTeslaを買ったときは、ハードウエア2.5と呼ばれるもので、GPUだけが古いものでした。でも、ある日、Teslaのお兄さんが家にきて、助手席のところを開けてGPUを入れ替えてくれて、それでハードウエアが3.0になったのですが、やはり全然スピードが違うわけです。車の中からビジョンが見えないと自動運転できませんので。そういうのを考えると、チップというのはそれぞれの用途に最適化してつくれるのだなと思ったのと、これからはGoogleがそこの中心になると言いますか、Androidでおこなったときのように、そういうのは結構面白いなという気もしますよね。
 
尾原: そうですね。だから、特に現状のTeslaにおいては、今のOculus Questにしても、AppleのVision Proにしても、LiDARと呼ばれる超音波を出すものがあって、それで奥行きを取っていたりするのですが、TeslaはもうLiDARをやめたのです。それはなぜかと言いますと、車の衝突を管理するのは、車は基本的に慣性の法則で動いているので、奥行き判定を画像認識でおこなったほうが結果的につくりが一元化できる、LiDARから送られてくるデータと、ミ画像認識からの処理で出てくるデータのタイムスケールのずれのようなものを調整しながらリアルタイム管理するより、もう画像処理だけで自動運転を管理したほうがいいという決断を3年前にTeslaはしていて、そうすると、画像認識に対してリアルタイムで自動処理していくところと、スケーリングダウンやエッジコンピューティングの相性を考えると、実は今現行のTeslaの自動制御の多くはGPTと同じトランスフォーマーモデルのアルゴリズムを使っていて。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: その辺の相性の良さもあって、たまたまA100を非常に多く使っているということなのですが。ただ、考えなければいけないのは、結局、これはすべてのIoT系の話に通じる話ですが、人間がスマホを持つ量よりも、マシンの中にAIが組み込まれていく量のほうが10倍20倍の世界になっていきますので、AIのインダストリ、特にハードウエアのインダストリを考えたときに、ヒューマンtoヒューマン市場よりも、マシンtoマシン市場のほうが明らかにインダストリとしては中長期的に考えると大きくなるのですよね。

 

Teslaのゲームチェンジは始まっている

尾原: さらに、もっと面倒くさいことに、Teslaはもう明らかにビジネスモデルのゲームチェンジを始めています。SmileカーブとFrownカーブというのは、この手のメーカービジネスの基本中の基本の事業原理なのですが、要はテクノロジー自体がまだコモディティ化されていないときというのは、どのテクノロジーがボトルネックになるか分からないから、アグリゲーションをするところに付加価値が集まって、R&Dそのものがそこまで付加価値取れないし、後ろのマーケティングでもそんなに付加価値が取れないというのが基本原則です。

実際、Teslaは自分でリチウムバッテリーをそんなにつくっているわけでもないし、自分たちでGPUをつくっているわけでもないけれども、アグリゲーションのところで付加価値が出ていたわけです。ただ、EVはもう明らかに去年からコモディティに入ったので、もうTeslaは次のビジネスモデルに転換しようとしています。つまり、メーカーとしてのアグリゲーションというよりは、テクノロジーそのものを外に出していったり、もっと言うと後ろですね、要は自動運転のOSやEVのチャージバッテリーのチャージインフラというようにネットワークのほうでお金が取れるビジネスに移ろうとしています。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: 単純に言うと、Teslaの自動運転がうまくいけば事故率が普通の車よりも10分の1になりますので、世界で一番儲かる自動車保険を提供できるのはTeslaという状況になって、実際にイーロンは「5年後に4分の1の収益はTesla製の自動車保険からもたらされるようになるだろう」といったことも言っていたりするわけですね。

そういうゲームチェンジがAIの性能が飛躍的に上がることによって起きているというビジネスモデルのゲームチェンジのほうをきちんと見ておかないと、単純に生成AIだけの変化ではなくて、生成AIが劇的に進化するので、そもそもメーカーがどこで儲けるのでしょうというものが、FrownカーブからSmileカーブに変わって、Smileカーブに変わると基本的には後ろのSaaSやフィンテックで儲かるから、究極で言うと端末代は無料でいいというモデルのほうに向かっていくということです。
 
シバタ: そうですね。これはAIの話と関係なくなるかもしれないですが、今までのTeslaは、売上というか、利益のそれなりの部分がいわゆるCO2の排出権のような感覚のクレジットでして。
 
尾原: そうですね。
 
シバタ: 要は、カリフォルニアは全部の車メーカーがある一定の数、一定の割合以上EVを売らなければいけないというルールになっています。その数のEVを売れないとペナルティを払わなければいけないのです。そのペナルティはTeslaのようにEVをたくさん売っている人にお金が回るという、要は自分の競合会社にお金を払わなければいけないという、すごいルールになっていまして、Teslaはそれで結構儲かっていたのです。彼らはEVしか売っていませんので。

今、アメリカで結構すごいことが起きていて、バイデン政権がかなりEVをプッシュしています。「充電ネットワークを整備しなさい」という話をすごく強烈にプッシュをして、補助金も出していて、メーカーにもプッシュしているのですが、これで何が起こっているかと言いますと、普通に「補助金を出します。この地図上のこの辺の場所に充電器をつくりましょう」と言って入札をすると、Teslaがコストが3分の1ぐらいらしいのです、今までたくさんつくっていますので。
 
尾原: 結局そうなのです。
 
シバタ: はい。それで、ほかの人たちは全然太刀打ちできないらしいです。
 
尾原: 太刀打ちできません、残念ながら。
 
シバタ: そうなると、世の中Teslaのスーパーチャージャーだらけになりますよね。困るからと言って、主要な車メーカーはほぼすべてTeslaの充電器と相互性を持たせるということをしています。ですから、来年、再来年に発売される車はそういうのがどんどんついてきますよね。Teslaではない車もTeslaのスーパーチャージャーで充電できるようになると、まさに尾原さんがおっしゃった通り、Teslaの充電ネットワークの売上がこれからすごく増えると思います。すごいことになりますよね。
 
尾原: はい。少し余談ですけれども、しかも、イーロンは「エネルギーチャージャーは僕らにとってはプロモーションツールだからね」と言っています。それの秘訣は何かと言いますと、結局、充電性能がTeslaのバッテリーを入れたほうが早いのです。Teslaのほうがいろいろな工夫をしていますから。そうすると、GMが先に充電しているのに、あとからTeslaが来て先に出ていくことになったときに、GMのオーナーが「次はTeslaを買おう」と勝手に思ってくれるよねと言っていて、「そんなの最初から計画していることだよ。アハハ…」と、イーロンはもう雄たけびを今上げているという。
 
シバタ: おっしゃる通りですね。
 
尾原: ソフトウエアサービスをやらせるとそうですけれども、本当にシンプルなハードウエアサービスをさせたときは、もう本当にファーストプリンシプルな男ですから、すごいですね。
 
シバタ: すごいですよね。もう、ジャイアン感と言いますか、できればけんかしたくないなという感じの人ですよね、本当に。
 
尾原: でも、逆に言いますと、やはりハードウエアがすべてソフトウエアで性能が決まっていき、ソフトウエアの多くがAIで性能が決まっていくというゲームチェンジが一番ラディカルに表れるのがEVという話であって、それは全職種きちんと考えたほうがいいよという話だとは個人的に思っています。
 
シバタ: はい。なので、Teslaはしばらく安泰だということですよね。
 
尾原: いや、本当に困ったものです。

 

ShutterstockがOpenAIに学習用データを提供

シバタ: では、最後のスライドに。
 
尾原: そろそろお互い最後のスライドに。
 
シバタ: これですかね。
 
尾原: そうですね。やはりセンスが一緒ですね。(笑)
 
シバタ: (笑)
 
尾原: これは大事、ものすごく大事です。
 
シバタ: そうですね。これはどうですか、6年も契約したのですよね。
 
尾原: ね。大胆です。
 
シバタ: 大胆ですよね。Shutterstockは、いわゆる画像のストック写真がたくさんあるところなのですが、その人たちがOpenAIに対して学習用にデータを全部提供するとのことですが、これはどう見るのでしょうね。難しいですね。
 
尾原: 1つおそらくAI初学者の方々が知っておいたほうがいい言葉は「corpus」という言葉です。昔からAIをしている人にはものすごい馴染みある言葉なのですが、逆に生成AIから入った人はあまり知らない言葉なので、「corpus」という言葉は知っておいたほうがいいと思います。これは何かと言うと、何かを学習するときに、参考にするための英文と日本語が両方並んでいますとか、これを学習するためにラベルはこうですという、ラベルがきちんと正確についているデータ群のことをcorpusと言います。

なんとなくGPTが教師あり自己学習というかたちで言われたので、勝手に学習できているというふうに勘違いする人が多いのですが、AIは基本的に教師がないと学習できなくて、特に画像系に関して言えば、その画像が何を示しているものなのかという画像とラベルというもののセットになるcorpusというものが、きれいなものがなければきれいな絵をつくれないわけです。

それでたまたまStable DiffusionやMidjourneyになると、ユーザーが俺の嫁を正確に妄想したいから、「これは○○ちゃんだ」「これは○○ふうだ」というタグを死ぬほど正確に勝手にユーザーが入れてくださるので、勝手にcorpusができているのですが、バーティカルに使用できるようなラベリングを正確に提供するのは意外と苦行なので、そういったことをきちんとしてくれるところはあまりないわけですよ。

そういうことを考えたときに、やはりShutterstockは、もともとみんなが自分が撮った写真をアップして、それが使われるとお金がチャリンチャリン入るという場所なので、写真をアップする人たちが正確なタグを入れておいたほうが自分の写真が正確に使われて、結果的に自分が儲かるから、Shutterstock自体がタグを入れるインセンティブがきちっとできたコミュニティなのですよね。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: そう考えると、このディールというのは著作権をきれいにしたということもあるのですが、やはりAIに正確にトレーニングをさせるというインセンティブを写真をアップする人にきちんと持たせることによってきれいなエコシステムができるのではないかと僕は見ています。
 
シバタ: そうですね。おっしゃる通りです。でも、Shutterstockは、どちらかと言うとこの生成AIにやられる側の立場なわけですよね。その状態でこれだけ早くOpenAIやMetaと組むことができたのはすごいなと思う半面、それでもこのあとどうするのだろうというのは少し思ってしまうところがあります。
 
尾原: そうですね。でも、放っておいてもGetty ImagesがどんどんShutterstockより強くなっていましたから、2番手の破壊的戦略としては正しいのかなとは思いますね。やはりShutterstockには報道写真の部分がありますから、やはり合成で欲しい写真と本当にライブでファクトとして欲しい報道写真というのは両方ありますよね。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: ですから、後者の強みはAIに置き換わりにくいので、後者の価値で生き残りながら、前者のストック的な使いまわしがいい写真というのはAIのほうにスライドしていくという二面作戦なのかなと勝手に思っています。
 
シバタ: そうですね。ありがとうございます。

 

AP通信もOpenAIにデータを提供

シバタ: では、あとはこれですかね。
 
尾原: そうですね。今度は逆にこちらですね。
 
シバタ: なるほど。AP(Associated Press)というかなり老舗のメディア会社、これがまたOpenAIにデータを提供すると。これもなかなか強烈ですよね。
 
尾原: そうですね。でも、このリリースにあるように、逆にAIをどのように活用していくことがいいことなのかというところの専門的なバックアップをAPは得られるという話ですよね。
 
シバタ: はい。
 
尾原: そうすることによって、APに加盟している記者の方々は記事をすごく速く書きやすくなるし、良質な引用がしやすくなるというディールでもあるわけですよね。
 
シバタ: はい。でも、こういうのを見ていると、先ほどのShutterstockにしても、APにしても、このタイミングでこういう経営判断、意思決定ができるのはすごいなと。
 
尾原:できるというのはすごいと思います。
 
シバタ: すごいですよね。
 
尾原: 本当にすごいと思います。
 
シバタ: いや、すごく興奮します。日本の会社でもAIによってやられそうだという人はいると思うのですが、こういう意思決定ができる経営者の人がどのぐらいいるのかなと思ってしまいますね。
 
尾原: そうですね。だから、個人的に思うのは、やはりアジアの経営者と日本の経営者と話をしていて、やはり日本の経営者が恵まれているなと思うのは、競争にさらされていないのですよね。だから、やはりアジアの経営者、特に東南アジアだと国の距離も近いので、マレーシアのライバルはマレーシアの中だけではなくてタイですし、タイとかフィリピンだと英語人口が多いから、常にアメリカのサービスに負けてしまうかもみたいなことできているので、やはり競争領域と非競争領域を明確に経営者が解像度として持っているということだと僕は思います。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: それで、APの競争領域は何かと言うと報道ですから、報道というのはライブなので、要は0次情報、1次情報ですよね。1次情報って何をしたってAIに置き換えられないので。一方で非競争領域の話としては、APももちろん各社にニュースを供給しているので、各社にニュースを供給しているものがコピーされて無駄に安く使われたり、不正にコピーされたものが出回って自分たちにお金が入ってこないというのは困る話なので、どちらかと言うとペイウォール問題ですよね。いわゆるお金を払った人だけ見える領域と、お金を払っていない人だけ見えるチラ見せをきちんと分けようねという話で、これは生成AIの前からある議論です。ペイウォールの向こう側にいるものをトレーニング対象として使うのか使わないのかという話と、トレーニングしたアウトプットをユーザーに見せるのか見せないのかという話だから。
 
シバタ: そうですね。
 
尾原: だから、ペイウォール問題が解決していない間にこういう契約をきちんと裏側でできるということが、ペイウォールは絶対に争い続けなければいけない問題だから、ペイウォールの向こう側をトレーニングして、勝手に要約とかただで出したらやっつけるぞという領域だけど、自分たちの報道というデータは常に新しいデータをもたらすから、AIからすると最新の時事問題をきっちり学べる、トレーニングできるってすごくコアなことだし。
 
シバタ: そうですね。それにやはりAPのような会社が、すごく古い会社ですよね。
 
尾原: そうですね。
 
シバタ: はい。だから、すごいなと思います。
 
尾原: それがこういう意思決定ができるというのは本当に素晴らしいことだなと思います。だから、いかに自分の競争領域と非競争領域に対して解像度を上げていると、AIが、ここは味方だよねという部分と、ここはむしろ先に組んでおいたほうが自分の競争領域がAIによって磨かれるのだから、むしろ組まないとAIでブーストして他社に負けるかもしれないと思う部分と、そういうところをしっかり考えられていらっしゃると思います。こういう議論が、やはり日本は競争が少ないから、あまり聞こえてこないし、こういったいエッジな踏み込んだ事例もなかなかないのは寂しいです。だからこそ、APのすごさがひきたつわけですが。
 
シバタ: はい。すごいなと思いましたね。
 
尾原: はい。そう思います。僕もやはりこれを挙げました。この2つは本当に素晴らしいと思います。
 
シバタ: そうですね。見ていてすごいなという感じでしたね。

 

『生成AI事例集』のご紹介

尾原: というところでちょうどあと10分切りましたので、ぜひシバタさんのサービスが実際始まったわけなので、僕のサロンのメンバーが録画を見ていたりもするので、ぜひ、今どんな感じなのかを可能な範囲でシェアしてもらえますか。
 
シバタ: ありがとうございます。『生成AI事例集』というのをつくっていまして、基本的にはnoteでコンテンツを書いています。 

記事にいくと、だいたい1週間に2つずつ出していまして、例えば教育関連の生成AIスタートアップがあったり。
 
尾原: 教育も熱いですよね。
 
シバタ: はい。あとは営業メールというのがあったりして、あとは作曲などいろいろなのがあります。

シバタ: 法人版の方には、ここにあるように。
 
尾原: まとめてね。
 
シバタ: はい。Googleシートにはこのような企業一覧やカテゴリ一覧があります。
 
尾原: CrunchBaseなどデータベース系へのURLも直接貼ってあるから、詳細を調べたければすぐ見れるよということですね。
 
シバタ: そうですね。

シバタ: あとは解説のスライドが入っています。これは教育分野の生成AIスタートアップの例なのですが、だいたい1社あたり3~4スライドぐらいで、こんな感じでスライドが入っています。法人版の方はこちらにアクセスできます。
 
尾原: そうですね。企業の中で資料として自社の参考にすべきものは、このスライドをそのまま引用すれば使えますよということですね。
 
シバタ: そうですね。やはりスライドが欲しいという人が多いので、一応、GoogleシートとGoogleスライドを法人版の方には準備しています。 

シバタ: これはまだ始まって1カ月で、一応スライド4つ入っていますが、カテゴリでいくと100ぐらいカテゴリがあります。これを今、1個ずつ面白そうなのから作成していっています。

なので、このようにGoogleシートで緑になっているところは、もうすでにお客さんに公開しているものです。中では実はもう少しできているのですが、これを先ほど申し上げた通り1週間に2つ分ぐらいずつ毎週出しているという、こんな感じですね。
 
尾原: 素晴らしいですね。

https://note.com/gen_ai/n/n8c95d5856d82

 

オンライン私塾『ITビジネスの原理実践編』のご紹介

シバタ: われわれのほうも『生成AI事例集』のメンバーシップで個人の方と法人の方と両方いて、結構1カ月目で思ったよりもたくさん入ってくださいましたので、尾原さんのサロンのご紹介もできればなと思います。
 
尾原: ありがとうございます。では、それを引き受けまして僕のほうの紹介をさせていただきます。どちらかと言うと、僕は事例というよりは、今日もお話したように、例えばTeslaってもうすでにメーカーというものからインフラ事業に変わっていて、その場合、経営戦略的に考えるとFrownカーブからSmileカーブを考えるべきですよねみたいなお話や、生成AIとツール→ネットワークと呼ばれるネットワークエフェクトの中の戦略として勝ち続けられるパターンというものが限られているので、じゃあ、今テクノロジーとして起きている現象をきちんとビジネスとして勝ち続けるための原理原則に昇華していくとどういうふうにフレームワークで考えられるのですかという話をさせていただいています。DXやメタバース、Web3など、やはりここ1年で言うとAIの戦略に関するフレームワーキングの話が多いですねというのは1つです。

あともう1つが、それに関して実践的に取り組まれていらっしゃる方とのゲスト対談があって、例えば東芝の島田社長とは「デジタルツインの社会というものがどういうふうにあるのでしょうか」という話、冨山和彦さんとは「DXの組織論はどうなのでしょう」という話、國光さんとは「メタバースとWeb3はどんな感じでやっていますか」という話をずっとやっているかたちで、この『ITビジネスの原理実践編』ということでさせていただいています。

尾原: シバタさんも2回来ていただいて講義をやっていますが、お陰様でもう講義が5年になるので、今年の、これが全部講義なのですが、今年の12月に対談、僕の講義が150本、対談による講義が250本を超えたので、合計で400本を超えます。(笑)
 
シバタ: すごい!
 
尾原: こういう少し頭のおかしいことになっていて。AIに関して言えば清水亮さんや、もともと一番最初にやったのは去年の10月にLINE AIのトップの砂金さんに来ていただいたり、あと、楽天AIトップの北川拓也さんと話したり、博報堂GアイレップのCTOの柴山さんと話したり、あまりごにょごにょ言えないですが村上さんと話したり、そういうかたちで各専門家でお話したり、AIに関して言えば、本当に技術的な原理から、DXに落とすところから、スタートアップとして軽く逃げ切るのだったらこういうほうがいいのではないかということでYコンの分析をしたり、いろいろなことをしているという感じです。
 
シバタ: ありがとうございます。ご興味がある方は、以下のURLから尾原さんのオンライン私塾『ITビジネスの原理実践編』に参加できます。

https://community.camp-fire.jp/projects/view/67985

シバタ: はい。では、今日もありがとうございました。またいつか、近いうちにご一緒できればうれしいです。
 
尾原: そうですね、ぜひぜひ。ありがとうございます。では、皆さん良い昼休みであったことを。ではでは、失礼します。
 
シバタ: ありがとうございます。失礼いたします。
 
(対談終了)

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