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生成AIと相性が良い産業・悪い産業(前半: シバタ講演部分)

本記事は、株式会社ユニコーンファーム 代表取締役CEO 田所雅之さんとのウェビナー「未来を創る生成AIと新規事業戦略~生成AIと相性が良い産業・悪い産業~」の書き起こし記事です。

https://unicornfarm.jp/seminar-2692

 

シバタナオキ(以下、シバタ):はじめましての方もたくさんいらっしゃると思いますが、シバタナオキと言います。今日はこんな素晴らしいタイトルを付けていただいて、「未来を創る生成AIと新規事業戦略」ということで、田所さん、そしてユニコーンファームの皆さん、ありがとうございます。
たまたま最近見たもので「本当に生成AIはこれからも来るのですか?」ということをよく聞かれるのですが、Sapphire Venturesというところは一応ビリオンダラーコミットメントするという話をしています。これはSapphire Venturesだけではなくて、ほかにもいろいろなところがしていると思います。

田所雅之さん(以下、敬称略): Sapphire VenturesというのはSAPのCVCですよね?

シバタ: はい。彼らはVCもしていますし、VCに投資するLPもしていますし、いろいろなことをしていますが、この段落にあるように「生成AIは明日急になくなることはなくて、これが10年ぐらいかかるだろう」と言っています。これからいろいろなことが起こると思います。これまでもいろいろなことが起こったと思いますが、過去1~2年の間に、先月のOpenAIの人事の話も含めてですが、これからもいろいろなことが起こると思いますので、そういう話をできればなと思っています。

 

自己紹介

シバタ: 今日は「未来を創る生成AIと新規事業戦略」の話をしますが、まずは自己紹介をします。はじめましての方もいらっしゃるかと思いますので。私はもともと日本生まれ日本育ちなのですが、スタンフォード大学に2年間研究員として留学しまして、そのあと本当は日本に帰らなければいけなかったのですが、アメリカで会社を始めました。事業を1つ売って、1つ閉じて、今年はほぼ無職です。日本の方には、「決算が読めるようになるノート」や何冊か本を書いているので、そちらでもしかしたら知ってくださっている方もいらっしゃるかなと思います。

 シバタ: 生成AIを語るのに、「おまえは本当に語る資格はあるのか」と言われると困りますが、一応私はスタンフォードにいたときはコンピュータサイエンス系にいました。当時はまだディープラーニングも、当然、生成AIも何もなかったのですが、機械学習やそういうところは学術的な意味もちゃんと分かっているはずです。また、ビジネス系では「決算が読めるようになるノート」というのを書いてまして、この事業自体はもう譲渡してしまって、今、私は何もしていないのですが、ビジネス系の決算やファイナンスを読むのもすごく好きです。今年無職になって何をしているかと言うと、ひたすらエンジェル投資をしていまして、そこそこ良い会社に投資ができるようになってきたかなというところです。

田所: これも余談の余談になりますが、2~3年前ですとソフトバンク・ビジョン・ファンドがあって、AIという名が付いたら片っ端からいきなり1ビリオンにバリュエーションをレイズするようなことがありましたが、今はそういうのはあまり起きてない感じですか。
 
シバタ: 今は、ソフトバンク・ビジョン・ファンドもかなり投資を抑えていると思いますし。
 
田所: 抑えていますね。
 
シバタ: ほかのVCもそうで、シリコンバレーでは資金調達のディマンドに対してどれぐらいサプライがあるかという指標がありまして、お金がダブついているときというのは1を切るわけですね、サプライのほうが多いので1を切るのですが、今はおそらく1.5ぐらいになっていて、要はディマンドのほうが1.5倍多いということですね。資金調達をしたいスタートアップのほうがサプライより1.5倍多いという状態ですので、さらにみんな資金調達に苦労しています。

アーリーステージからシード、僕はシードか、たまにシリーズAぐらいに入れてもらうことが多いのですが、今の感覚ですとバリュエーションなども相当下がってきていて、もちろんものによりますが、2021年の一番ピークだったときと比べて半分、下手すると3分の1というのもあるかなというぐらいアメリカは資金調達環境は悪いです。ですから、そういうタイミングもあって私に案件が回ってくるというのもあると思います。これは大きいファンドがみんな全部獲ってしまっているような状況だと私には回ってこないと思いますが、今、投資案件をいろいろ回してもらえているという状況ですね。


生成AIの重要性と事例調査におけるペインポイント

シバタ: 今日は皆さん、ChatGPTの話を期待されている方が多いと思いますが、ChatGPTというのはもちろん生成AIのアプリケーションの1つではありますし、最も成功しているサービスでもありますが、いわゆるChatGPT=生成AIだと思い込んでいる人があまりにも多いので、それは違いますという話をしたいなと思います。ですから、どちらかと言うとChatGPT以外にどういうものがあり得るのかという話をしたいなと思います。
私も最初は生成AI、実はあまりポジティブではなかったのですが、やはりChatGPTやLLMが得意な仕事というのは、よく私も言うのですが、私立文系の仕事はすごく得意です。私文の人ができる仕事はすごくできるのですが、いわゆる理系っぽい仕事というのはまったくできなくて、複雑な論理思考を扱ったり、推論をしたりというのはあまりできないのです。ですから、そんなことはできなくて、どこまで行くのだろうと思っていたのですが、「私立文系」っぽい仕事も世の中にはもちろんたくさんあるわけで、それがChatというもの以外に応用されるとどういう世界になるのかという話を今日したいなと思います。

シバタ: 過去のウェビナーやほかのところで見ていただいた方は、もうこの話はしたかもしれませんが、これはマッキンゼーが出しているレポートです。「生成AIはどれぐらい経済インパクトがあるか」という話です。左側の小さいほうの濃い丸のところは、既存産業に応用されるとこのぐらいインパクトがあります。右側の水色の大きい丸は生産性向上するとこのぐらい経済インパクトが入ります。たまに「生成AIから新しいサービスや産業は生まれないですよ」と言う人がすごくたくさんいて、実は日本の人は特に多い気がしますが、その人たちはどこを見て言っているかと言うと、左側に細くて薄い三日月がありますよね。そこの部分を見て、この三日月は小さいから大したことはないという話をするのです。でも、そうではなくて、本当に見なければいけないのは、この濃い青い丸の部分と水色の部分の大きさを見てほしいという話をします。

 シバタ: 既存産業への応用でどれぐらい経済インパクトがあるかと言うと、$2.6~4.4Tです。これはだいたいイギリスのGDPぐらいあります。イギリスの国1個分ぐらいの経済効果になります。生産性向上のほうは$6.1~7.9Tですから、日本GDP1.5個分ぐらいの経済インパクトがあるということです。これは僕が言っているのではなくて、マッキンゼーが試算して言っていることです。

 シバタ: 実際に「具体的に既存産業への応用や生産性向上というのは何をするのですか」という話がよく出るのですよね。当然、僕もよく聞かれます。無職で暇ですから、日本の企業の人からミーティングを頼まれたら基本的に断らずに受けていますが、だいたい毎回同じ話になります。当然、皆さんのやりたいことは、「生産性向上したいです」とか、右上の「既存ビジネスへの応用をしたいです」とか、あとは左下、これはよく社長さんと話をするとこの話になるのですが、「自社のビジネスに潜在的な脅威があるかもしれなくて、それがあるのなら早く知りたい」とか、あとは右下にあるように「新規事業を創出したいです」とか、こういう話が出てきます。

 シバタ: ただ、実際に生成AIの事例調査をすると、事例数が膨大で事例の分類が困難だったりします。皆さん、それで、「どうなっているか教えてください」ということをミーティング中にいきなり僕に言うわけです。毎回同じ話をされていて非常にだるいので、取りあえず生成AI事例集というサービスをつくってサービスを買ってもらうことにしましたという話です。今日はその中身を一部お見せしたいなと思います。

https://note.com/gen_ai/n/n8c95d5856d82

 

生成AI関連ビジネスをカテゴリーへ分類すると…

シバタ: まず、生成AIの関連ビジネスはすごくたくさんあると思うので、どんなものがあるかというのをまず自分の中で全体像を整理するために分類しています。実はカテゴリーがすごくたくさんあるのですが、大きく3つに分けています。1つ目がいわゆる汎用型で、どんな業界でも使えるようなもの、2つ目が業界特化型、3つ目がインフラ・ツールというふうに僕は分けています。

 シバタ: 汎用型は、このスライド(※)にあるように、一番左がいわゆる画像系です。真ん中が文書系と音声や音楽などの音系で、右側はソースコードやインターフェースになります。それ以外にもプライバシーや位置情報、ビジネスインテリジェンス、ヒューマノイドなどいろいろあります。これがいわゆる汎用型です。

※生成AIカテゴリー一覧は「生成AI事例集」を購入いただくとご覧いただけます。

シバタ: 業界特化型は、実はいろいろな業界に生成AIが使われ始めようとしています。例えばゲームもそうですし、いわゆる医療系ですね、ヘルスケア、ライフサイエンスもそうですし、小売や教育、法律(リーガル)、ファイナンス、あとは工業系で製造業、自動車、マテリアル、右にいくとエネルギー、ファッションと、このようにいろいろな業界でいろいろな応用例が出てきています。

シバタ: インフラ系は基盤モデルからベクトルデータベースなど、これはいわゆるどちらかと言うとエンジニア向けのバックエンドの超ゴリゴリサイエンスの話も含めて出てくるということで、だいたい私の手元には90ぐらいのカテゴリーがあります。その90の中でそれぞれ対象になるスタートアップの事例を調査して、皆さんにお届けするということをしています。

 シバタ: では、皆さんは日本の企業の方が多いと思いますが、具体的に何をすればいいかという話になると思いますが、基本的に汎用型はおそらく皆さんの生産性向上に役立つのではないかなと思います。ここはもちろん自社サービスを開発するというのもなくはないと思いますが、どちらかと言うと、もうすでにChatGPTも含めて既存ツールを使い倒すということです。付加価値の低い作業を可能な限り自動化するというのがいいと思います。
一方で、この業界特化型というのは、皆さんご自身の産業がおありだと思いますので、そこに応用していくということです。やり方としては、自社のコアビジネスとの深いインテグレーションというやり方もあると思いますし、あるいはそういうスタートアップに投資をするというやり方もあると思いますし、生成AIでできることとできないことをはっきり見定めた上で、自社の競争戦略をきちんとつくり直すということが重要ではないかという話を僕はさせてもらっています。

 

「生産性向上カテゴリー」の事例

シバタ: まず、左側の生産性向上の話をしたいですね。カテゴリーはたくさんありますので、全部を説明すると何時間あっても終わりませんので、我々が調査した中から、今日はこの「文書要約>顧客フィードバック」の事例をいくつかお見せしたいと思います。

全部お見せすると時間がなくなってしまうと思いますので、顧客フィードバックでどういう会社があるかという話を少ししたいなと思います。ここで事例を紹介しますが、ここで紹介する事例も、今、シリコンバレーではもう本当に多産多死状態で、いろいろなスタートアップが生まれて、いろいろなスタートアップが試行錯誤して、おそらく大半の会社は死んでいくという運命にありますので、この会社が特別素晴らしいという、もちろんダメな会社は入れてないつもりですが、この会社が未来永劫残るかどうかは私にも分かりません。ただ、こういう考え方でこういうサービスがあるというところの考え方や着目点を皆さんに一緒に見ていただければと思います。

1つ目はViableという会社です。顧客フィードバックの自動分析プラットフォームです。口コミの要約や口コミをもとにした質問回答ができるようになっています。いろいろなチャネルから口コミ・レビューを集めて、それを要約して社内で生かしたり、あるいはQ&Aでユーザーに提供したりということをしています。$10.9M調達している、そこそこ大きな会社です。これが1つ目です。

2つ目はThematicという会社です。口コミから得られる示唆の自動分析をおこなっている会社です。これはどちらかと言うと、社内のプロダクトチームやCxOに対して、今、自社のプロダクトの評価がどうなっているかをレポートするときに使いやすいものです。プロダクトのいろいろな機能に対して、顧客がどのように感じているかというのをサマリーしてくれる分析プラットフォームになっています。ここはYCombinatorの会社ですが、いわゆるレビューをサマリーしてくれる、かつそれが経営陣に分かりやすく伝わるという感じです。このような感じで事例がたくさんありますが、時間がないのでこの辺でやめておきます。

生成AIと相性が良い産業

シバタ: では、生成AIとどんな産業が相性がいいかという話を少ししたいなと思います。これもマッキンゼーが出しているものですが、左側に産業の一覧があって、赤枠のところは産業の市場規模が非常に大きくて生成AIの影響を受けやすい産業です。このスライドですと、銀行や教育系は比較的産業が大きくて生成AIの影響を受けやすいです。黒枠のところは産業サイズが大きくて生成AIの影響をそこそこ受けるところです。例えば、セミコンダクター(半導体)や、少し難しめの製造業、コンシューマーパッケージグッズというところです。

 シバタ: もう少し見ていくと、赤枠でいくと例えばヘルスケアやハイテク、薬系、薬品系はかなり影響を受けやすいです。黒枠でいくとエネルギーや小売系、旅行、ロジスティクスはかなり影響を受けやすいとなっています。

シバタ: まとめるとこういう感じです。左側は産業のサイズが大きくて生成AIの影響も大きいと思われるところ、金融機関系や教育、ヘルスケア・医療、ハイテク、製薬・医療機器、こんな感じです。右側は産業が非常に大きくて生成AIの影響が中くらいのところ、電子機器・半導体、製造業、消費者向け商品、エネルギー、小売、旅行・ロジスティクス、こんな感じです。

田所: ちなみに、この半導体で言うと、サプライヤーとしての影響が大きいという意味でしょうか。要するに、エヌビディアのH100など、あの辺りが今出荷待ちになっていて受注できないという感じだと思いますが、そういう意味でしょうか。それとも、半導体の体制をつくるなど、そういうプロセスにおいてディスラプトさせられるという意味でしょうか。 

シバタ: それはこの右側の表にありまして、この青色が濃いところは影響が大きいところです。Advanced electronics and semiconductorsは上から2つ目のところです。一番影響が大きいのはProduct R&Dのところですから、半導体や設計の辺りです。

田所: そちらもということですね。

シバタ: はい、そちらが影響を受けるということです。見ていただくと分かる通り、一番左の列のMarketing and Salesというところは全部の産業で影響が大きいですよね。Marketing and Salesというのは先ほどの私立文系ではないですが、ここは実は生成AIとかなり相性が良いところで、ほぼどの産業においてもかなり影響を受けるのではないかというところです。
実際に新しい薬をつくる製薬のプロセスもそうですが、半導体の新しいところの設計は実は生成AIとかなり相性が良くて、今まで人間が思いつきでいろいろおこなっていたところがかなり自動化されるのではないかと思います。


生成AIと相性が良い職種・機能

シバタ: では、職種で見るとどういう職種が生成AIと相性が良いかと言うと、皆さん、先ほどの冒頭のアイスブレイクのときにもありましたが、ソフトウエアエンジニアはかなり生成AIと相性が良いです。ほかにはカスタマーサービス、プロダクトR&D、マーケティング、営業となっています。ですから、ここに入っているような職種の人はおそらくChatGPTやGitHubのCopilotをバリバリ使っていらっしゃると思いますが、そういうところをどんどん使い倒すと、もっと生産性が上がって、もっと給料が上がるはずだという職種が右上です。

一方で、左下のところはまだそこまでではないかなというところです。ただ、縦軸は実際の金額の大きさで、横軸はどのぐらいAIの影響を受けるかというパーセンテージですので、実際に縦軸の上か下かというよりは、横軸の左か右かというふうに見たほうが良いと思いますが、こういう感じでどんどんいろいろな職種に浸食してくるわけです。

今まさに現在進行形で起こっているのが、生成AIに相性が良い産業×職種・機能の模索で、いろいろなスタートアップが全力で模索中です。そこに対して新しい会社ができて、サービスができて、それが本当にうまくいくかどうかを社会実験しているというのが今の2023年という状態かなと思います。

 

「業界特化型」生成AIの事例

シバタ: では、業界特化型の生成AIはどのようなイメージなのかというのを、少し触りだけお見せしたいなと思います。実際に既存産業に生成AIを応用するとどうなるのかというところで、先ほどお見せしたカテゴリー一覧の中にビル設計というのがありますが、ビルの設計というのは実は生成AIとかなり相性が良くて、どのようなイメージかというのを少しお話したいなと思います。ビルの設計ですね。これも全部見ていくと事例が大変ですので2つほど紹介します。

1つ目がAugmentaという会社です。これはビルの設計の中でも電気配線図のデザインをしてくれるサービスです。予算や材料をある程度指定すると、電気配線図をこのように配線したほうがいいですよというのをシミュレーションして実際につくってくれる、図面まで書いてくれるサービスです。もちろんこれも人間が図面を書こうと思えば当然できるわけですが、人間がするのは大変ですので、かなり自動化できているところです。資金調達も$15.6Mも調達していますので、かなり大きいところになっています。材料費を20%削減できるというのもありますが、どちらかと言うと、人間がしていた電気配線図のデザインの仕事を70%ぐらい削減できるということで、人件費削減やリードタイムの短縮化の話のほうが大きいかなという感じです。

田所: 今、デモを見ていたのですが、人件費だけでなくて実際の材料のコストも出てきますので、こういうのはすごく制約があって、当然材料費を増やしてロバストにしていくと耐久性は上がりますが原価は高くなります。その中でも最適な材料を選ぶというところでもいろいろ幅を出してくれるといったところですよね。
 
シバタ: そうですね。まさにおっしゃる通りです。ですから、相当いろいろと効率化されそうだなというイメージが、おそらく生成AIを触っていらっしゃる方なら分かると思います。
 
2つ目が、Archistar.aiという会社です。周辺地域の分析や、建築物の簡易デザインができるという、なかなか興味深いサービスです。これは、情報を知りたい土地の住所を入れて、例えばデザインシミュレーションを選択すると、実際に洪水や山火事のリスクを自動で出してくれたり、その上でそこの住所にもし何か建物を建てるとすればこういうデザインはどうですかというのをシミュレーション的に出してくれるサービスです。

田所: ランドスケープ・アーキテクチャーですね。
 
シバタ: そうなのですよ。もちろん簡易的なデザインのあとにその他いろいろ自分の好きなように変えられるようにはなっていますが、このような形で建築デザインシミュレーションを行うということで、今までだとおそらくこれも建築士に電話をして、「どのようになるのでしょうか」というのをうだうだしながら進めていたのが、全部一気通貫でこれでできてしまいますので、かなり破壊的かなと思います。
こういう感じで、ほかにもいくつかありますが、建築系は実は相当生成AIと相性が良いですよという感じです。今はビルの設計だけの話をしましたが、今紹介した2社以外にももっと事例はありますが、それ以外にもこういういろいろなカテゴリーの事例を調べてつくっています。
 
 

「生成AI事例集」のご紹介

 シバタ: 生成AI事例集をつくるにあたってこういうふうにしようと思ってつくっていますという話ですが、厳選して、皆さんの時間を取って見るに値するものをなるべく入れたいなと思っています。CrunchBaseやCB Insightに特集されているものや、Y Combinatorで選ばれているもの、そういうかたちでフィルターをしています。ここでは50と書いてありますが、実はカテゴリーが増えまして約90になっています。約90のカテゴリーに分類して、個々の会社を見るというよりは、カテゴリーの中でどういう会社があるかを網羅的に見ていただくというかたちにしています。あとは、今見ていただいた通り、1事例あたり3~4スライドぐらいなので、3分ぐらいで理解できるようになるべく簡潔にまとめています。

シバタ: 少し宣伝にはなってしまいますが、皆さん、生成AIで何かしなければいけないと思っていらっしゃったり、上司に何かしなさいと言われていたりすると思いますが、とにかく事例調査だけでも時間がありませんので、事例調査の部分だけわれわれに外注していただくようなイメージで使っていただければと思っています。

シバタ: 個人向けと法人向けがありまして、個人向けのほうは基本的にnoteの記事で出しています。法人向けのほうはGoogleシート、Googleスライドで先ほどお見せしたようなものをお付けして出しているというかたちです。
noteの記事は個人向けで、カテゴリーごとにだいたい1つか、数が多かったら2つの記事にする感じで、カテゴリー単位で記事を出しています。今はだいたい週に2本ぐらい記事を出していると思います。
法人の場合はそれにプラスしてGoogleシートとGoogleスライドの閲覧権があるというかたちです。

田所: CrunchBaseやPitchBook、YCombinatorからも一応データが出ているのがありますが、やはり投資している側面だと、僕も投資家をしていてよく分かるのですが、一番良いインプットはシリーズAの投資家からPitchを受けることなのです。彼らも本気でやはり何億円の調達をしようとしていて、すごく凝縮された情報を毎日聞いているところがあって、その中でも自分が何千万や何百万の投資をするとなったら相当考えると思います。ですから、やはりインサイダー情報と言いますか、シリコンバレーはなかなか先ほどのようなティア1のVCとアグリゲートしたり、YCombinatorのところに対して投資したりすることは難しいのですが、おそらくここの領域は、先ほど多産多死という話がありましたが、カンブリア爆発が起きていて、本当にAWSとスマホが一緒にきたぐらいのインパクトがありますし、30年前にインターネットが来て、いろいろ立ち上がっては潰れて、最終的にAmazonやeBayが残ったように、今出ている会社のおそらく90何%がつぶれてしまうと思います。とは言っても、それが本当に何年後かには何千万円になる可能性も結構あったりします。投資という観点だけではなく、領域としてもですが、この辺はやはりタイムマシーン的なところもあるのかなと思っています。

日本が遅れている領域、逆に日本が進んでいる領域もあると思いますが、特に汎用的なところで言うと、アメリカは、おそらくシバタさんの肌感もあると思いますが、この前も経済学者の話を聞いたのですが、アメリカは人が全然足りないのです。やはり日本も2024年問題で物流が減ってきます、コンストラクションが減ってきますという問題があります。アメリカでは、カリフォルニアでもそうだと思いますが、人をすぐクビにできるのですよね。クビにできるので人の流動性が高まるので、例えば看護師の方やプラマーの方ですね、いわゆるうちの配管が詰まったので直してくださいという人がものすごく減ってきていて、逆に、そこはおそらく先ほどのきちんと配線工事をしたり、きちんと配管工事したりするような設計というのは今後できていくと思いますが、工事するとなった場合、その辺りはまだまだすごくロングテール的な市場ですので、人がせざるを得ないという感じになっていると思うのですよね。その辺りも値段が上がっていたり、逆に、設計をきちんとできるからメンテナンスが安くなるようなことが今後行われるのかなと思っています。

逆に、その辺はアメリカで今、職人的な仕事というのはアメリカにそんなに憧れもなくて、やはりブリック&モルタルと言われるように、その辺りはすごくイノベーションが起きてきて、まさに生成AIの相性が良いところが増えてきて、その辺りが今後3~5年で日本に入ってくるかなと思いますので、今回ご紹介いただいた生成AI事例集のようなレポートでまさに見取り図、ランドスケープを持つのはすごく良いのかなと思いました。ご興味がある方は、シバタさんと1-on-1もできるということですので、ぜひ検討いただければなと思っています。

シバタ: ありがとうございます。そうですね。おっしゃる通りで、まだ本当に始まったばかりだなという感じがしています。

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以上が本ウェビナーの前半部分です。後半部分は、田所さんとシバタの対談をお届けします。生成AIの注目のユースケースもお話していますので、乞うご期待ください。

PR: シードファンドANOBAKAの「Generative AI特化創業支援ファンド」のアドバイザーをしています。生成AI分野の起業家の方、生成AI分野で投資をしたい企業の方は、ぜひANOBAKAまでご連絡ください。https://anobaka.jp/contact/

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