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美肌マニアという化粧品成分解析サイト終了を知ったことに伴う所感

みなさんは美肌マニアという成分解析サイトをご存知でしょうか?僕自身は、非常に思い入れがあるサイトというか、よく見ていたサイトだったのでいつの間にか終了していたのを知り、すごく気になってしまいました。サービスが終了したので、言いたいことも言えるだろうと思い雑記します

#美肌マニア #化粧品成分解析



そもそも美肌マニアとは

美肌マニアは僕の記憶では、確か1人の人が始めた化粧品成分の解析サイトで個人が約3年かけて3万点の美容成分情報を登録した当時は画期的なデータベースだったと思います。サービス開始が2010年7月のようだったので、終了が2020年12月だったようで、約10年ほど運用されていたサービスです。

仕組みはすごくシンプルで、各商品の化粧品の全成分をデータベース化し、それに対して、成分ごとの評価を独自評価し、最終的にこの商品の点数付けをしていたサイトになります。成分の評価は化粧品毒性事典という本を使い、どちらかというとナチュラル系思想のものとして評価されていたサイトだと思います


僕と美肌マニアの関係性

僕は美肌マニアは切っても切れないというか、オーガニック系のコスメで処方開発していたため、自分たちが作った商品がよくこのサイトで評価されていました。僕自身も最初はこのサイトを全く知らなかったのですが、製品を検索すると必ずと言っていいほど、このサイトがヒットしていましたし、とにかくお客様からの問い合わせで、このサイトでこう書かれているんですけど?どうなんですか?的な質問がすごく来るので、それで初めてこのサイトを知るという感じで、とにかく切っても切れない関係性でした。

とにかくこのサイトの認知度やアクティブユーザー数は相当高かったのだろうなと想像します

このサイトの良いところ、悪いところ

このサイトの良いところは、おそらく化粧品の全成分をデータベース化し、可視化して、検索しやすくして、さらには主に石油由来の原料を低評価、植物由来の原料を高評価し、点数付けすることによって、特定の消費者さんに対して商品を選ぶ時の価値基準を分かりやすくしていたことだと思います。この点数付けには賛否両論あるにしろ、肌荒れ経験がある方や化粧品の成分でナチュラル思考の方などは、かなり重宝していたサイトのように思います。

しかし、化粧品全成分からは業界にいる人はよく分かっているのですが、全成分から分かることは全てではありません。これは僕のYoutubeでも解説していますし、twitterで何度も発信している通りです。

僕はこのサイトを初めて見た時、すぐに化粧品の成分に詳しくない人が解析しているなと思いましたし、また評価基準もかなり偏った思想だなと感じました。細かく書くと長くなるので、簡単に言いますと

化粧品全成分=原料ではないこと
配合量は全く加味されていないこと
化粧品毒性事典という謎の評価本を参考に点数付けしていたこと
安全性は個人によって変わるので、点数付けはできないこと

が主な理由です



このサイトの評価は業界の人たちには多分低かったと思う

あくまで個人的意見ですし、サービスが終了したので、色々言いますが、おそらくこのサイトの評価は化粧品業界の人たちにとってはすごく低かったように思います。理由は上記で書いたように化粧品全成分からでは、分かることが限られているということを知らずに運営されていたことが何よりですが、僕個人的な思いは安全性の評価はメーカーは法的にできないため、問い合わせされても一切答えられなかったことでした。

結構このサイトは、オーガニックやナチュラル推しの思想を持ったサイトでしたが、実際オーガニック系のメーカーに勤めていた時の感じとしては、このサイトで間違った評価に伴う問い合わせですごい時間を取られたこと、実際は植物由来の原料を使っていたのに、全成分表示だけで評価され、石油由来の原料として認定され、評価を落とされ、良い思いをしなかったものもたくさんあり、デメリットが大きかったように思います。ただ、今となっては良い思い出となっておりますが、働いていた当時は良い思いを抱くサイトではなかったと思います

おそらく、ケミカル系のコスメメーカーさんはさらに苦労されたのだろうなと思いますし、コスメ開発者さんは法的にも会社規定でも言いたいことが言えないために、反論できず、我慢していた方も多かったように想像します

業界ルールを知らないからこその強みと弱み

僕がこの終了のことを知って思っていることは、業界人はルールや慣習をしっているからこその強みもあれば、弱みもあることです。逆もしかりです。おそらく業界のことをよく知っていたら、このようなサービスを作れなかったとも思います。それは上記であげた理由が分かっているだけに、化粧品全成分から成分解析サイトを作るという発想は、できなかったように思います。

でも、様々な業界での革新はこのルールや慣習をぶっ壊してこそ、新たなプロダクト、新たな価値観、新たなビジネスが生まれる気がしています。それが良い、悪いはできた時には正当な評価ができず、長年経ってから振り返った時に初めて価値があったのかを評価できるのではないかと考えています

僕が、日本一の請求書サービスMisocaを作ったとよしさんと話していてすごく好きな話が、最初請求書サービスをオンラインでやるなんて非常識、ありえない、顧客データや見積書データ、請求書データをクラウドのサーバーに置くなんて考えられないと制作当時は色々な会社に言われたそうです。でも今やほぼどの会社の会計データもクラウドに置かれています。

業界の人はルールや慣習に囚われて、様々なことに意外にチャレンジしません。それをぶっ壊して、新たな価値観を生むのは、外の人間であるような気もしています。しかし、その時に抑えておきたいというのが、なぜできていないのかという視点の調査ではないかということです。

美肌マニアというサイトはここの調査を少し怠っていたのではないかというのが、僕の評価です。サービスが大きくなるにつれてここの軌道修正さえしっかりしてれば、また違う結果が生まれていたような気がしてなりません。

頑張れ開発者

この美肌マニアを運営されていた方を僕は知りません。ひとつ思うのは、賛否両論あったサイトにしろ、ここまでのデータベースを作り、認知させたこと、また化粧品全成分に対する消費者の興味や化粧品の安全性に関する不安感の需要があることを見つけたことは単純にものすごく評価しています。そして、このサイトが提供していた価値はマイナス面だけではなく、プラス面もたくさんあったように思います。何より並大抵の努力では、10年続けれないし、ここまで認知度のあるサイトにならないと思います。

運営の方がサイトのデータを売却したのか、もしくはこのサイトのデータを元に新たなプロダクトを作るのかは分かりませんが、今までの運営の知識とともに再度新しい何かが出てくるのを素直に応援したいと思っています



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