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【SA(ゲージ)のお話】スト6最強のSA2はイウサールかもしれない話


はじめに

皆さんこんにちは格ゲーデータ分析の世界へようこそ。データ世界の住人Geminiです。EDの情報も少しずつ出始め、そろそろ年に一度の大型調整も気になるそんな時期ですが、久しぶりに本格的なデータ分析記事を投稿してみましょう。楽しんでください(JP風)

【前編】1、2、3ラウンドの戦い方を変えるべき理由

導入

さて、プレーヤーの皆さんはスト6ライフをいかがお過ごしですか?
先ずはそんな皆さんに質問です。

皆さんはプレーの際に1R目から3R目までどのような点に意識を置いて戦い方を変えていますか?
1、2Rは相手の飛びが多めだったから上を見る意識配分を高めようとか、起き上がりに暴れ行動多めだからシミー増やすか・・・とか。はたまた詐欺飛びからの択で、さっきは正直なジャンプ打撃択見せたから次は透かし下段行って読み合い回してみるか・・・とか。そんな感じでしょうか?
なるほど、なるほど。

しかし、こうした意識配分の話や読み合いに関してはほぼ哲学論争みたいな領域でデータによる分析が馴染む分野ではなさそうです。裏の裏、いやその裏を読んでみたいな話をデータで明示することはかなり難しいと思われます。

一方で、皆さんお忘れじゃないですか?
このゲームは(一部のキャラのスタック:爆弾とかメダルとかを除いて)全キャラ共通で体力、ドライブゲージ、間合いまでラウンドが終わると基本的にリセットされる訳ですが、唯一システム上リセットされないものがあります。そうですSAゲージです。ラウンド1はゲージ0から始まるものの、2、3R目は前Rのゲージを持ち越す訳ですから自ずと戦い方を変える必要があります。

え!?「そんなの分かってる!そもそも記事のタイトルに書いてあるだろ!」って?ナイスつっこみ!
しかーーし、このSA(ゲージ)を含めた戦いに関して皆さんはどこまで具体的にシステムを理解し、具体的な戦略に落とし込めていますか?

SAゲージ仕様のおさらい

僕のデータ分析は一見マニアックですが、内容自体はそれほど難しい話をしているものはありません。rookieの方、動画勢の方でも十分理解できる内容のものが殆どなので、全スト6ファンの方を対象にしています。

ただし、その内容を理解するためには基本的な仕様を抑えておく必要があるので、今回はSAゲージに関しておさらいをしておこう。
※多少長めの説明が続くので面倒臭い人は太字部分だけ読んでもらえればOKまた、この項目はシステム理解が曖昧な方向けなので、そんなの分かってるよという上級者の方は次の項目まで飛ばしてもらっても大丈夫。

★SAゲージの溜め方
基本的にSAゲージは以下の3つの状況で溜まる仕様になっている。
①相手にダメージを与えた時
②自分がダメージを受けた時
③相手にガード・パリィされた時or自分がガード・パリィした時

次にそれぞれの行動でどれくらいゲージが溜められるかを整理しておこう

★SAゲージの溜まり状況
以下の条件でどれくらいのゲージが溜まるかを検証する。
使用キャラ:ジュリ  相手キャラ:ジェイミー(体力10,000)

同じ技を振り続けて相手をK.O.するまでに溜まるSAゲージ量
ー立大K:約1.2本
ー小P    :約1.0本
ー大昇竜:約0.85~0.9本

ここで整理しておきたいのは以下2点である。
・振る技の強度によってゲージの溜まり効率が違うということ
・とはいえ、相手をKOするまでにはざっくり1ゲージ程度溜まる。つまり相手のMAX体力 ≒ 1ゲージに変換できるということ

次に自分のMAX体力はSAゲージにどれ位変換できるかという点

攻撃側と受け側のSAゲージの関係
ジュリの立大Kを10回HITさせた時
ージュリ(攻撃側)に溜まるゲージ:1本
ージェイミー(受け手側)に溜まるゲージ:0.75本

なので、相手のMAX体力が約SAゲージ1本分に相当する時、自分のMAX体力はSAゲージ ≒ 0.75本分に相当すると言っていいだろう。

最後にガードやパリィのやりとりで生まれるSAゲージを確認しておこう。
先ほどと同じくジュリの立大Kを基準にした時、

ジュリ(攻撃側)にSAゲージが1本溜まるまで
ーHIT時       :10回
ー相手ガード時   :20回
ー相手ジャストパリィ:20回
その際、ジェイミー(受け手側)に溜まるゲージ量
ーHIT時      :0.75本
ーガード時       :0.5本
ージャストパリィ時:0.5本

整理すると各攻防におけるゲージ量の対比は以下となる。
ーHIT時     攻め1:守り0.75
ーガード時   攻め1:守り0.5
ージャスパ時  攻め1:守り0.5

★実践でのイメージ
多少退屈な検証が続いたが、例えば、自分が体力半分残して勝ったラウンドに溜まるSAゲージは

相手のMAX体力分   1.0本
自分の体力50%分   0.375本(=0.75*50%)
ガードやパリィの攻防 +α

で、+α部分の攻防次第ではあるがざっくり1.5〜2.0本位というイメージになる。

いずれにしても以上の検証から得た仕様を基にすれば、1Rで溜まるSAゲージは理論値として大体1.5~2.5本の間になるんじゃないか、という感覚が持てればOK。データを見る際に、ざっくりとした理論値を持っておく事は非常に重要なことなのでこの辺りは抑えておきたい。

データ収集その①

さて、いよいよデータを収集しよう。今回SAにまつわるデータを収集するにあたって一般論に加えて、キャラ差の様なものの検証していきたい。
というわけで、今回は先ず次のようなデータを採ってみた。

取得したデータの条件
【対象】
・Act2のとある時点の以下キャラの最高MRプレーヤー1名ずつ
 (DJ、ルーク、JP、春麗、ラシードの計5人)
・データ収集時点直近ランクマにおける3R決着で勝利したセット*15、負けたセット*15(勝ち負け合計30セット)
【収集データ】
・自キャラ及び相手キャラの各R毎に使用したSA種類、回数
・自キャラ及び相手キャラの各R終了時に残したSAゲージ量 

※データに関して一つお断りしておくと、試合のデータには当然キャラの性能差による特徴とプレーヤーの特徴の双方が影響される。故に、キャラの特徴というためには本来は〇〇使いを3名程度選出して外れ値を除いたり、平均をとったりするのがあるべき姿だが、今回のデータ収集にあたり実に3ヶ月近くを要しており、余りにも負担が大きかった為、今回は最高MRプレーヤー1人でのデータ収集とした。
当然、プレーヤーの属人性の様なものは排除しきれないが、その時点で最もうまくそのキャラを扱うプレーヤーがこのキャラはこの使い方が強い!と考えて試合したデータでもあり、それが現時点でのそのキャラの実践値であると捉え、今回はかなり割り切って分析することとした。

〜収集したデータのイメージはこちら〜

データ検証その①

さて、キャラ差を論ずる前に一般論から整理しておこう。
今回は対戦相手のデータ(30セット*5=150セット)も同じようにとっている。マスターリーグランクマ上位層のキャラには偏りがあるので純粋な全キャラの平均とはいかないが、(準)全キャラ平均ぐらいの扱いはできると思うので、この記事ではこれを(準)全キャラ平均としてデータを見てみよう。


サンプル数=150セット、450R

まず、最初に注目すべきはラウンド毎のSAゲージ使用状況だ。1R目の平均はたったの0.16本。それに対して3R目の平均は1.42本と10倍近い開きがある。
言われてみれば当たり前の事だが、SAゲージがゼロから始まる1R目はその殆どがSAをお互いに”使用しない”戦いである。
冒頭で1R目と2、3R目の戦い方をどのように変えているか?という問いを投げかけさせてもらったが、相手の体力を削り切るプランにどの程度自分のSAを織り込むのかという命題に対して1R目と3R目では全く異なるプランを用意すべきである事は意識しておいて損はなさそうだ。

次に認識しておきたいのは各ラウンド毎に生成できるSAゲージ量
1R目は1.99本。これはSAゲージの仕様の項目で、自分と相手の体力が失われて変換されたSAゲージ量+ガード・パリィの攻防で得られるゲージ量が大凡1.5~2.5本くらいになるだろうと予想した内容と合致する。

しかし、このゲージ生成量は1R>2R>3Rに向けて減少傾向にあり、3R目の平均ゲージ生成量は1.03本となる。

なぜか?
真っ先に思い浮かぶのはゲージの溢れだ。SAゲージを3本抱えた状態ではそれ以上ゲージが生成されないので溢れが発生する。2R目以降はこの前Rのゲージを引き継いでくる関係でこの溢れが発生しやすくなっている。

しかし、実はもう一つ明確に理由がある。
それは、1R目<2R目<3R目の順にお互いのSA使用が多くなるからだ。

SAゲージの仕様の項目では触れなかったが、実はスト6ではSAを使ってダメージを与えた分(またはダメージを被った分)はゲージが得られない仕様となっている。

例えば、コンボ(1,500)+SA3(3,000)で合計4,500のダメージを与えた場合、コンボ部分で相手体力を削った分のSAゲージは生成されるが、SAの3,000部分はゲージが生成されない。因みにダメージを受けている方も同様でSAで受けたダメージ分はゲージが生まれない。
なので、SAを打ち合う3R目は他のRに比べて本来SAゲージに変換される体力が目減りする形となる。尚、自己強化系・設置系のSA2もSA由来のダメージはゲージの生成に繋がらない。

以上の点を踏まえれば、仮に3Rを戦い抜く際には色々と考慮しておくべき課題が浮かび上がる。

①SAの吐きどころをプランニングする
当たり前といえば当たり前だが、データでも示されている通り、3R決着の場合に生成されるゲージ量は平均4.27本程度である。勿論、この後言及するキャラ差や展開次第で上下はするが、3Rの中で使えるゲージ総量についてのざっくりとしたイメージは持っておく必要がある。実際に(準)全キャラ平均のゲージ生成量の分布を見てみるとこんな感じになる。

実際にデータを見てもらえればわかる通り、3Rを通じてゲージが6本以上溜まるケースは全体の8%程度。試合数にして12セットに1回位しかない。
当然これは6ゲージ溜まったというだけの話で実践として全て使い切れるかどうかは別の話だ。こうした状況を踏まえると1セットの中でSA3を打てる回数は1回しかない、と考えてプランニングするのが現実的だったりする。
プレーしていた体感とこのデータとでSAゲージの溜まり具合にズレがある方は、改めてSAゲージの運用について考え直してみてもいいかもしれない。

②ゲージ効率の改善
前述のデータを見てSAゲージって案外溜まらないんだな・・・そう感じた人も居るかもしれない。とすれば、取り組むのはSAゲージの回転率を上げ、溢れゲージを極小化することで使用可能なSAゲージを増やそうというのが真っ先に思いつく戦略だ。
この項目についてはかなりキャラ毎に考え方が変わるところだと思うが、手っ取り早いのはSA2が強力なキャラはSA2を積極的に使っていくこと。これについては【後編】でデータ付きで詳しく触れるとして、個人的にはモダンにその可能性を感じている。例えばMルークなんかは立ち回りから通常の必殺技に近い感覚で相手の弾の差し合いにSA1のヴァルカンブラストを撃っていく位積極的に使ってゲージを回したりしても面白いんじゃないかと思う。こういう妄想も含めてデータを基に戦略を見直してみるのも面白い。

③3R目のゲージ生成量への注意
一方、SAゲージ回転率を上げる運用にも注意が必要だ。
前述した通り、3R目はお互いにSAを打ち合う展開になる為、SAゲージに変換されるお互いの体力が目減りし、SAゲージが溜まりにくい。
データをみれば分かるとおり3R目の平均生成ゲージ量は1.03本とかなり少ない。あくまで理論上の話ではあるが、仮に2R目のリーサルにSA2を撃った場合には3R目にSA3を撃てる可能性はかなり低下する。特にSA3が強いキャラ(問答無用で画面端のマリーザや他キャラより500ダメージの多いリリーなど)はこの選択肢がなくなる可能性も踏まえてラウンド2を闘う必要がある。

余談

本題からはかなり逸れるのだが、私はこれらのデータを通じて、あるキャラのSA3ってめちゃくちゃシステムの噛み合いが悪いと感じてしまったので紹介したい。

そう。「キンバリー」だ。

キンバリーのSA3は自身にダメージUP(111%)と歩行速度UPのバフ効果があり、この効果はラウンドを跨いで持続する。
となれば、SA3を撃つのに一番効果的なのは1R目な訳だが、これは余り現実的ではない。今回収集したデータは合計150セットあり、対戦相手も含めると300R分のラウンド1のサンプルがある中で、ラウンド1でSAゲージが3.0本以上溜まったのは5件/300(1.7%)しか確認できなかった大事なことなのでもう一度言うが、ラウンド1でSA3を撃つのは戦略としては現実的ではない。

しかし、3R目に撃つ場合にはもうこのバフ効果は限定的だ。だって相手の体力はもうかなり削られてるんだから。速度UPはまだしも、今更多少火力がUPしたところで・・・となる。

となると現実的にSAゲージが溜まり、バフ効果を最大限生かせるのはラウンド2でSA3を撃つケースと言える。そうすればラウンド3でバフ効果がマルマル乗った状態で戦える。

しかし、考えてみてほしい。SA3を2ラウンド目に撃った場合のパターンを。

パターン①:既に1ランウンド落としていて、ラウンド2でSA3を使って勝利。ラウンド3はバフが乗った状態をフルに活かせる。但し、前ラウンドでSAゲージを吐き出しているので相手とのSAゲージ差は大きい(可能性が高い)

パターン②:1ラウンド目勝利。2ラウンド目にSA3を使う。3ラウンド目はバフが乗った状態からスタート。ちょっとストップ!て、ことは2ラウンド目負けてない??SA3使ってゲージを吐いた上で負けたからこそ次のラウンドでバフの恩恵が受けられるとは皮肉な話である。因みにラウンド2で勝つならそこで試合終了なのでバフもクソもない。

こんな感じでキンバリーのSA3はそのバフ効果を意識するのであれば、ラウンド2限定スキルの様な制約がかかり、尚且つその恩恵を3R目に享受してるという事はキンバリー自身に何か不都合な要素が起こっている時。というかなりの噛み合わせの悪さとなっている。キンバリーが強いとか弱いとかは一旦置いといてこういうシステムとの噛み合わせが悪い効果やスキルは何となく個人的にむず痒い。この辺りはキンバリー使いの皆さんの意見を聞いてみたい。

【後編】最強SA2を考える話

キャラ別SA運用とその特徴

さて、ここからはもう少し深掘りしてキャラの性能差の話をしていきたい。
その前に今回はデータ分析の対象としてDJ、ルーク、JP、春麗、ラシードの5キャラを選定したが、その理由からご説明しよう。

まず、共通項目としてプロ競技シーンで一定の活躍があること。
そして、それぞれSAの運用に特徴があること。である。
以下、ざっくりとした特徴の整理。

【DJ】
SA1に無敵が無く、バーンアウト時の相手のインパクトの返しに必ずSAゲージが2本以上必要という点は常々大きな弱点として挙げられる。とは言え、競技シーンでの活躍は目覚ましく常にTOPティアに名前が挙がるが、果たして。。。

【ルーク】
SA1、2、3どれも比較的オーソドックスで何れも使い勝手の良いバランスタイプ。今シーズンの注目キャラとしてはケンも挙げられるが、SAの特徴自体はルークと同じ括りに包含できるものとして今回はケンは対象外とした。

【JP】
設置形SA2のラブーシュカが強力だが、SA1とSA3も勿論強力でその辺りのバランスでは全キャラ屈指。今シーズンのスト6を代表するキャラ。

【春麗】
SA2はダメージこそやや抑え目だが、そこから繋がるエリアルコンボも含めてゲージ運用効率が今作屈指でJPやケン、ルークの影に隠れていたものの、ここへ来て隠れOPがバレ始めたTOPティアの一角。

【ラシード】
設置形SA2イウサールの開発が進めば進むほど競技シーンでの存在感増。
どのキャラランクを見てもTOPティアには入らないが、兎に角、実践値で結果を出すキャラとして選定。

さて、以上の特徴を踏まえ、こうした各所で囁かれるキャラの評価がどれだけ実践のデータに表れているかを見てみよう。

各キャラ、ランクマの3R決着となっている勝ちセット15、負けセット15(合計30)のデータを収集

先ず使用SAの状況からDJはSA3メイン。ルークは比較的バランス良く使い分け、JP、春麗、ラシードはSA2がメイン。特にラシードはSA2が大層を占める。
この辺りは普段競技シーンを見ている人なら概ね肌感覚と合うところだろう。

そして、注目したいのが、項目9のセット毎の生成ゲージ量。SA3で立ち回るDJの4.09本に対してSA2メインの春麗、ラシードは5.17本、5.19本と3Rを通じてみればSAゲージ1本以上の差がある事が分かる。

勿論、SAゲージはゲームの展開次第という所もあるので、念の為対戦相手にどれだけ差を付けたか(項目10)も確認してみたが、春麗に関しては相手とのゲージ差0.90本と破格のゲージ差を生み出していることがわかる

この理由はSA2によるゲージ回転効率は勿論のこと、やはりSA2後のエリアルコンボにおける大P×2のターゲットコンボによるゲージ回収がデータにもしっかり表れたと言って良いだろう。

逆にDJは、こちらもまたSA1に無敵がないことが色濃く影響していると言える。

上の表が示す通り、各ラウンドにおけるゲージ生成量の内、ラウンド1に関してはDJの1.91本は他キャラと比較しても遜色ない水準で、ゲージを生成する能力そのものは他キャラ比劣後する訳ではない。しかし、バーンアウト時のお守りとして2ゲージの確保が必要で、ゲージを回転させづらいラウンド2以降は顕著にゲージ生成量が落ちていることは明白。その結果、3Rを通じて使用できるSAゲージ量も春麗やラシードに比べて非常に低調な水準となることがデータ上も確認できたといえる。

ラウンド2におけるリーサル状況でSA使うべきかどうか問題

格ゲープレーヤーなら一度は直面するであろうこの問題。

このコンボをSA〆すれば間違いなくリーサルだ。でも、今は体力差もあるし、ここでリーサルじゃなくても概ねこのラウンドは勝つ確率は高い。むしろここでゲージ吐いて3R目にゲージ差ある方が結局勝率悪いんじゃないか?いや、でもスト6は幾らでも逆転のあるゲームだし、ここは手堅くSAでリーサルしとくべきか?

ってヤツね。
この観点を少しでも可視化できないか?というのが今回の主旨なんだけど、この着想は遡ること昨年の2023SFLプレーオフDFMvs再春館SOLの板ザンVSシュート戦から。

1セットを先取した板ザンの2セット目。
ラウンド1を落とした後のラウンド2で、このラウンドも大幅に体力リードを奪われた展開。が、なんとかジワジワと盛り返し、そこに舞い込んだSA含みでリーサルの状況。漢、板橋。SAリーサルをグッと抑えてもう一度読み合いを選んだわけ。結果、この読み合いを制してR2を取った上でR3はゲージを温存した状態でスタートし、見事にR3を勝ち切ってDFMがグランドファイナル進出を決めたんだよね。

自分はこの胆力にめちゃくちゃ感動したんだけど、しかし、この選択って実際はどうだったんだろう?とずっと疑問に思っていたんだよね。

データ収集その②

それでは、データを集めていこう。
基本的にデータ対象のプレーヤーはデータ収集その①で集めた対象5名と同様。(DJ、ルーク、JP、春麗、ラシード)

【収集データ】
・各プレーヤーのランクマの内、3R決着となった試合200試合×5人
・ラウンド3開幕時に持っていた自分・相手のSAゲージを計測

〜データのイメージはこちら〜

w=WIN、e=Lose  ゲージ量は10倍で入力(例 30=3.0本)

データ分析その②

このデータはR3の開幕時点での相手とのゲージ差状況と勝ち負けが紐ついている為、ゲージ差と勝率との関係が見えてくる。

相手とのゲージ差を以下6区分に分けて集計する
 1:ゲージ差▲3.0〜▲2.1本
 2:ゲージ差▲2.0〜▲1.1本
 3:ゲージ差▲1.0〜▲0.1本
 4:ゲージ差 0〜+1.0本
 5:ゲージ差+1.1〜+2.0本
 6:ゲージ差+2.1〜+3.0本

各区分での勝ち負けのデータを積み重ねていけば、ゲージ状況別の勝ちやすさ負けやすさが判明するってわけ。そして、そこにキャラ差はあるのかどうか?

最初に対戦相手から得られたデータである(準)全キャラ平均を見ておこう
縦軸に勝率、横軸に区分毎のゲージ差で、横軸は右に行けば行くほど開幕のゲージが有利になっている。

サンプル数1,000

これは比較的わかりやすい結果が得られたと言える。
オレンジの線が平均勝率でゲージ差がマイナスの区分1、2では勝率が悪化し、ゲージ差有利の区分5、6となるにつれて勝率が向上。概ねゲージ差と勝率が正の相関関係にあると言えそうだ。
特にゲージ差が▲2.1本以上あるような状況(区分1)とゲージ差が+2.1本以上有利な状況(区分6)とでは勝率が20%近く違うというのをどれ位重く見るかどうか。※注意事項として、当該データは当時のMR最高プレーヤーの対戦相手のものなので、対戦相手側に立てば格上戦の戦績ということには留意

次にDJとルークを一緒に見ていこう

2キャラとも同様にゲージ差と勝率との間に概ね正の相関が見受けられる。
ここで大事なのは勝率の絶対値そのものではなく、傾き(=区分毎の落差)である。DJの方がゲージ不利〜ゲージ有利間の傾きが急であるという事はゲージ差が勝率に与える影響が大きい可能性を示していると言えそうだ。

お次はJPと春麗

正直なところ、これはかなり意外な結果となった。
JPにしても春麗にしても相手とのSAゲージ差が勝率にあまり影響していないかの様な印象を受ける。これはどういう事だろうか?
データをそのまま言葉に直すと、ゲージ差をつけられていてもそれなりに戦えるし、逆にゲージ差を大幅につけていても勝ち切れない事もままある。と言ったところだろうか。

要因として考えられるのはやはりどのSAをメインで使用しているか、という点。
JPや春麗は先述した通りSA2メインで立ち回っている。つまり開幕ゲージ差をつけられていて(こちらのゲージが少ない状況でも)ゲージが2本溜まってしまえば幾らでも闘える。一方で、やはり実ダメージとしての火力はSA3に劣る為、勝ち切る展開にはやや物足りないって事なんだろうか?
春麗のSA2は別としてもJPのSA2が火力として物足りないとは思えないが、まあうまくヒットした時のインパクトが強すぎるものの、実際にはうまく凌がれた時との平均的なダメージは案外低かったりするのかもしれない・・・)

ただ、この考察は自分で言うのもなんだが結構的を射てるんじゃないかとも思っている。と、言うのもDJ、ルーク、JP、春麗のSA3使用割合の順にこのデータを並べると・・・

SA3使用依存度が高ければ高いほど、ゲージ差と勝率の傾きが急になる(正の相関が強くなる)傾向がある、との仮説が成り立つ。

以上を踏まえれば、先に掲げた命題「ラウンド2におけるリーサル状況でSA使うべきかどうか問題」は、

・SA3使用依存度が高いキャラは3R目極力ゲージを残して闘いたい。ラウンド2でリーサルを我慢して負ける確率の上昇幅とゲージを使い切って下がる勝率(最大で30%程度)とを天秤にかける必要あり

・SA2メインで立ち回るキャラは極力、リーサルで手堅く3R目を目指そう。ゲージがなくても戦える!(はず・・・)

って事でどうでしょうか??

注意事項)このロジックを信じて負けても責任はトレマセン


DJの弱点

DJに関してはもう一つ面白いデータがあるので紹介したい。

各キャラサンプル数=200戦

上のグラフは各キャラ使いがR3開幕時点でどれだけゲージを持って開幕したかという目線で集計したもの。流石にどのキャラ使いも最高峰のプレーヤーだけあって、ゲージを温存してラウンド3を迎えているケースが多い訳だが、中でもDJはその数が頭一つ抜けて多い。

DJはSA3依存度が高いので”相手とのゲージ差”による勝率への影響が大きいのではないか?という話はしたが、バーンアウト時のお守りとしてゲージ2本が常に欲しい関係で”相手とのゲージ差”だけでなくそもそもの”自身のゲージの絶対量”が重要であることを示唆している。

この点を更に深掘りすると、ラウンド2で試合を〆られない場合にはかなり早い段階でSAの使用を抑制してそのラウンドを諦め、ラウンド3に備える必要があると読み替える事もできる。実はSAを使えば勝ってる世界線があったかもしれないが、早めに見切ることで落としたラウンド2。みたいなデータに表れづらい負けも相応にあると思われる。
更にラウンド1を落としていた場合、どう転んでもラウンド2で試合は終わらないので1R目を落とした後のラウンド2ではゲージをなるべく使わない闘い方を強いられる点にも言及しておきたい。

DJがSA1に無敵を持っていないことは従来から指摘されてきた弱点だが、その理由は”ゲージがない時に守りが弱い”のではなく、”ゲージを使いづらいが故にゲージ効率が悪く、ゲージを温存する必要性からこのラウンドで勝負するかどうかの見切りをかなり早い段階から行わなくてはいけないから”と理解した方が良いかもしれない。

DJって当初から強キャラの代表格と言われて常にTOPティアかどうかの議論に顔を出すキャラでもあった訳だけど、こうしてデータを取ると改めて弱点がデータに現れるレベルで弱点していて、僕は個人的に最強キャラでは無いなと感じました。
むしろ、強いところは強く確り弱点を曝け出している結構良いキャラなんじゃないかと思いますね。


SA2メインでありながら例外のラシード

ここまで読み進めてくれた貴方。あれ?そう言えばラシードはどこ行った?って思いましたよね?

それでは、相手とのゲージ差と勝率に関するラシードのグラフを見てみましょう。

SA3使用割合6.8%

DJ、ルーク、JP、春麗のデータを踏まえてSA3依存度が高い程、ゲージ差と勝率との間の相関関係は強くなる傾向にあると申し上げました。

嘘でした。

と言うのもラシードはこの5キャラの中でも最もSA3使用割合が低いキャラなんですね。にも関わらず、かなり強めの正の相関を示しています。

つまり、単純にSA3依存かそうじゃないかが問題ではない可能性が出てきました。

ここからはかなりコジツケに近い考察になるが、

SA2と一口に言ってもその目的に違いがあるのではないかと・・・

例えば春麗のSA2鳳翼扇はSAとしてはダメージは低め。但し、その後のコンボでのゲージ回収も含めてゲージ回転効率が破格の性能なので、ダメージを適度に取りつつ、セット跨ぎも含めて試合全体で相手との差を生み出す強みがある

また、JPのSA2ラブーシュカは確かに崩せれば大ダメージを見込むことも出来るが、かなり雑に発動して相手のドライブゲージをとりあえず削る使い方や、画面端からの入れ替え目的、自分のドライブゲージ回復の為の時間稼ぎなど、必ずしもダメージだけを目的としていない使い方が出来るのが強みでもある。

つまり、鳳翼扇もラブーシュカも瞬発的なダメージそのものよりもラウンドもしくは試合全体を通してアドバンテージを得るようなコントロール系の強みを持つSA2と捉えられる。

一方、ラシードのSA2イウサールは一見雑に撃ってるように見えて、効果的に使うには「竜巻込みで画面端まで追い込める状況であること」「発動時の発生Fに割り込まれないよう与ダウン後の起き攻めターンを利用する等」セットアップが必要になる。
極端に言えば、ラブーシュカがJP自身にとって有利な状況を作るor拡大する為に発動するのに対して、イウサールは有利な状況を作ってから発動する違いがある。

そして、発動によって狙う一番の目的はダメージだ

この思想はどちらかと言うとSA3に求めるものに近いと考える。
確かにSA3は相手のドライブゲージを約1.5本削り、自分のドライブゲージが回復するのでドライブゲージに関しては状況有利を作る。然し乍ら、SAゲージが空になる事でSAでの差し替えしの圧力は無くなるし、何より散々DJの弱点として言及してきたように一度SAゲージが空になってしまえばバーンアウト時のドライブインパクトが確定するケースが発生するので、対戦相手にバーンアウトを狙う理由を与えてしまう。SA3を撃った事で得るメリットとデメリットは体力を除いた状況だけで考えた場合トータルで有利になっているかは結構怪しい。
それでも尚、SA3が強力なのはやっぱり実ダメージを取ることにそれだけ価値があるからだろう。やっぱりSA3の真価はダメージにあるんじゃなかろうか。

そんな訳で、イウサールにしてもSA3にしてもそこに求めるのはダメージ!!
だとしたら、有利を広げる為ではなく、そのラウンドの勝利決めにいく目的で放たれるSA2イウサールは実質SA3で、その使用割合が80%近いラシードのグラフがJPや春麗よりもDJに近いものになるってのは結構納得的じゃない????

え?ダメ?強引すぎる???

まーいずれにせよ、(しっかり崩せれば)特大火力をもたらすSAをSAゲージを空にする事なく撃てたり、1ラウンドに2回撃てたりするんだからそれはもうヤバいでしょ。ヤバいよイウサール!!!

今現在、この記事を執筆中もCAPCOMCUPがどんどん進行してる訳ですが、ガチくんにはイウサールを引っ提げて頑張って欲しいですね。
勿論、カワノくんもふ〜どさんもね。


ハイ!
って事で長々とSAの話をしてきましたが、ワタクシGemini、これまでのデータを基にした客観的な分析を踏まえて最強SA2を決定いたしましたので発表します。

最強SA2は「ラブーシュカ」です!
解散!!!!!!


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