マガジンのカバー画像

ノーベル賞(自然科学系)解説

17
運営しているクリエイター

#高分子

タンパク質分析の革命 ~不可能を可能にした分析技術の発明と開発~

2002年のノーベル化学賞は「生体高分子の分析手法と構造解析の開発」に贈られました。 受賞したのは日本の田中耕一氏、アメリカのジョン・ベネット・フェン 博士、スイスのクルト・ビュートリッヒ博士の3名でした。 分野は分析化学ですね。 そして、関連の強い1991年のノーベル化学賞も合わせて解説します(こちらは後半でご紹介します)。 田中耕一(Wikipedia)、現在は株式会社島津製作所シニアフェロー、田中耕一記念質量分析研究所所長、田中最先端研究所所長などを務めています。

高分子化学の父 シュタウディンガー

1953年のノーベル化学賞は、ドイツの化学者 ヘルマン・シュタウディンガーに贈られました。 受賞対象となったテーマは「鎖状高分子化合物の研究 」です。 「高分子の発見」と言い換えても間違いではないでしょう。 分子が数千~数百万繋がった高分子は、プラスチック(樹脂)製品やゼリーなどのゲル、天然ゴムや植物・動物の細胞など、あらゆるところに存在し、私たちの生活を支えています。 20世紀初頭、分子の沢山つながった高分子という考え方は存在しませんでした。 その頃は、ようやく分子の考え