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ノーベル賞(自然科学系)解説

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#ノーベル賞

2022年ノーベル化学賞 ~クリックケミストリーの開発~

2022年のノーベル化学賞は「クリックケミストリーの開発」に対して贈られました。 受賞したのはスタンフォード大学のキャロライン・ベルトッツィ氏、コペンハーゲン大のモーテン・メルダル氏、米スクリプス研究所のバリー・シャープレス氏です。 バリー・シャープレス氏は2001年の「不斉酸化触媒の開発」に続く、2度目のノーベル化学賞受賞です。 ノーベル化学賞を2度受賞したのは史上二人目となります。 クリックケミストリーとは、簡単かつ安定な化学反応で複雑な分子を作る手法のことです。

¥400

2021年ノーベル物理学賞 ~気候や複雑な現象に隠されたルールの発見~

2021年のノーベル物理学賞は、「複雑系の理解への画期的な貢献」に対して授与されました。 受賞したのはアメリカの真鍋淑郎氏(Shukuro Manabe)、ドイツのクラウス・ハッセルマン氏、イタリアのジョルジョ・パリシ氏の三名です。 向かって左から真鍋淑郎氏、クラウス・ハッセルマン氏、ジョルジョ・パリシ氏(ノーベル賞公式サイトより:https://www.nobelprize.org/) 今回のテーマはかなり分り難いので、具体的な受賞理由を見てみましょう。 真鍋淑郎、クラ

2021年ノーベル医学・生理学賞 ~温度と触覚の受容体の発見~

2021年のノーベル賞は「温度と触覚の受容体の発見」に対して贈られました。 とても身近なテーマですね。 受賞したのは、アメリカのデビッド・ジュリアス氏、同じくアメリカのアーデム・パタポーティアン氏です。 2人ともカリフォルニア工科大学です。 デビッド・ジュリアス氏(向かって左)、アーデム・パタポーティアン氏(ノーベル賞公式サイトより:https://www.nobelprize.org/) 熱さや冷たさ、風が体にあたる感覚、痛みの感覚。 これらは、私たちが普段感じている当

体内時計(概日リズム)の秘密

生命の多くは、地球の自転に合わせて規則正しく活動します。 そして、そのための体内時計を持っています。 体内時計の存在は以前から知られていましたが、どのように機能しているのかは謎でした。 この謎に挑戦した ジェフリー・ホール、マイケル・ロスバッシュ、マイケル・ヤングの3人(米国)は、体内時計(概日リズム)のメカニズムを解明し、2017年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。 受賞理由は「概日リズム(がいじつリズム)を制御する分子メカニズムの発見」です。 この発見により、動植

2020年ノーベル生理学・医学賞(C型肝炎ウイルスの発見)

今年のノーベル生理学・医学賞は、米英の3氏に贈られました。 受賞理由は「C型肝炎ウイルスの発見」です。 米国立衛生研究所(NIH)のハーベイ・オルター名誉研究員、米ロックフェラー大学のチャールズ・ライス教授、カナダ・アルバータ大学のマイケル・ホートン教授の3氏です。 ノーベル賞公式サイトより(https://www.nobelprize.org/) *タイトル画像も公式サイトから引用(Illustrations: © The Nobel Committee for Phy

2019年 ノーベル化学賞

今年のノーベル化学賞は「リチウムイオン電池の開発」 リチウムイオン電池の正極材料を開発したジョン・グッドイナフ氏。 電極材料に初めてリチウムを用い、リチウムイオン電池の仕組みを確立したスタンリー・ウィッティンガム氏。 その2氏の研究成果を活用・発展させ、市販のリチウムイオン電池を開発した吉野 彰氏。 以上の3氏に贈られました。 向かって左からジョン・グッドイナフ氏、スタンリー・ウィッティンガム氏、吉野彰氏(公式HPより引用 https://www.nobelprize.or