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ノーベル賞(自然科学系)解説

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#ノーベル化学賞

2024年ノーベル化学賞 ~コンピューターを用いたタンパク質の設計と構造予測~

2024年のノーベル化学賞は、デイビッド・ベイカー教授(ワシントン大学)とデミス・ハサビス氏、ジョン・ジャンパー氏(共にGoogle DeepMind)に授与されました。3人の研究は、計算によるタンパク質設計とAIを用いたタンパク質構造予測に関するもので、生物学や医薬品開発の分野に大きな影響を与えると期待されています。 デイビッド・ベイカー教授は、コンピュータープログラム「Rosetta」を用いて新しいタンパク質を設計する技術を開発しました。彼の研究は、アミノ酸の配列から新

2023年ノーベル化学賞 「量子ドットの発見と開発」

2023年のノーベル化学賞は「量子ドットの発見と開発」に贈られました(タイトル画像はノーベル賞公式サイトより引用)。 受賞したのは、マサチューセッツ工科大のムンジ・バウェンディ氏、コロンビア大のルイス・ブルース氏、米民間企業のアレクセイ・エキモフ氏です。 量子ドットとは、もの凄く簡単に言うと「とても小さな半導体結晶や金属の粒子」のことです。 量子ドットはその大きさによって色が異なるという特徴を持っています(物質がナノのサイズになると、量子現象が起きるため)。 今回の受賞者は

¥500

2022年ノーベル化学賞 ~クリックケミストリーの開発~

2022年のノーベル化学賞は「クリックケミストリーの開発」に対して贈られました。 受賞したのはスタンフォード大学のキャロライン・ベルトッツィ氏、コペンハーゲン大のモーテン・メルダル氏、米スクリプス研究所のバリー・シャープレス氏です。 バリー・シャープレス氏は2001年の「不斉酸化触媒の開発」に続く、2度目のノーベル化学賞受賞です。 ノーベル化学賞を2度受賞したのは史上二人目となります。 クリックケミストリーとは、簡単かつ安定な化学反応で複雑な分子を作る手法のことです。

¥400

化学ニュースピックアップ vol.14 ~2021年ノーベル化学賞の深堀~

今回は、先日ご紹介したノーベル化学賞をより詳しく解説します。 多少、誤字脱字やおかしな表現がありましたが、後で修正しています(^^;) 化学式を省略した内容にしたので、今回は化学式も交えて解説します。 加えて、関連する2001年のノーベル化学賞についても触れます。 不斉合成 従来は金属と酵素だけだった化学反応の触媒に、新たに有機触媒を加えたのが今回の受賞者の功績です。 シンプルかつ安価、重金属よりも環境に悪影響を与えない、しかも反応効率に優れているという夢のような触媒で

¥200

2021年ノーベル化学賞 ~有機触媒反応の開発~

2021年のノーベル化学賞は「分子を作るための新しいツール=有機触媒反応の開発」に贈られました。 受賞したのはドイツのベンジャミン・リスト氏(ケルン大学名誉教授、北海道大学 化学反応創成研究拠点  主任研究者)とアメリカのデイヴィッド・マクミラン氏(プリンストン大学教授)です。 向かって左から、ベンジャミン・リスト氏、デイヴィッド・マクミラン氏 (ノーベル賞公式サイトより) 今回は化学の王様「有機合成化学」分野からの受賞です。 有機合成化学は久しぶりで、2010年のクロス

人名反応とクロスカップリング

化学反応には人名がついているものが数多くあります。 日本の高校化学までで登場するのはごく僅かですが、大学以降ではこれでもかと言うほど沢山の人名反応が出てきます。 特に有機合成化学を仕事にしている人は、膨大な数の人名反応を扱うことが多いと思います。 僕も一時期、有機合成化学を仕事でやっていましたが、あまりにも多くの反応を扱うため、新たに有機合成反応や人名反応の本(分厚いです...)を購入して勉強しました。有機合成は専門外でしたが、そんなことは言い訳になりませんw 反応の開発

2020年ノーベル化学賞(ゲノム編集法の開発)

今年のノーベル化学賞は「ゲノム編集法の開発」に贈られました。 受賞したのはドイツのマックス・プランク感染生物学研究所のエマニュエル・シャルパンティエ氏、アメリカのカリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ氏の二人です。 向かって左がエマニュエル・シャルパンティエ氏、右がジェニファー・ダウドナ氏(ノーベル賞公式サイトより) *女性として史上6人目と7人目のノーベル化学賞受賞者になりました。 ゲノム編集による革命 2012年、生命科学に革命を起こしたゲノム編集は、

タンパク質分析の革命 ~不可能を可能にした分析技術の発明と開発~

2002年のノーベル化学賞は「生体高分子の分析手法と構造解析の開発」に贈られました。 受賞したのは日本の田中耕一氏、アメリカのジョン・ベネット・フェン 博士、スイスのクルト・ビュートリッヒ博士の3名でした。 分野は分析化学ですね。 そして、関連の強い1991年のノーベル化学賞も合わせて解説します(こちらは後半でご紹介します)。 田中耕一(Wikipedia)、現在は株式会社島津製作所シニアフェロー、田中耕一記念質量分析研究所所長、田中最先端研究所所長などを務めています。

フラーレンとサッカーボール ~炭素ボールの予測と発見~

その構造を見ただけで興味が出てくる不思議な物質。 1996年のノーベル化学賞は「フラーレンの発見」に贈られました。 受賞したのはアメリカとイギリスの3人の化学・物理学者。 リチャード・スモーレーとハロルド・クロトー、ロバート・カールの3氏です。 ハロルド・クロトー(Wikipedia) ロバート・カール(Wikipedia) リチャード・スモーレー(Wikipedia) 炭素にはグラファイトとダイヤモンドという同素体が存在します。 同素体は、同じ元素から構成される物質

準結晶とダン・シェヒトマン ~第3の固体とアラベスク~

2011年のノーベル化学賞は、多くの化学者を驚かせました。 受賞したのはイスラエルの物理学者ダン・シェヒトマン。 受賞理由は「準結晶の発見」 単独受賞でした。 内容は化学というより物理学。シェヒトマン自身も物理学者です。 ダン・シェヒトマン(2011年ノーベル化学賞受賞のプレスカンファレンスにて Wikipedia) 実用化された研究が選ばれることの多い化学賞ですが、準結晶の発見という基礎研究に対して贈られるのは珍しいことです(基礎研究を確立した人と、応用した人のセットが

2019年 ノーベル化学賞

今年のノーベル化学賞は「リチウムイオン電池の開発」 リチウムイオン電池の正極材料を開発したジョン・グッドイナフ氏。 電極材料に初めてリチウムを用い、リチウムイオン電池の仕組みを確立したスタンリー・ウィッティンガム氏。 その2氏の研究成果を活用・発展させ、市販のリチウムイオン電池を開発した吉野 彰氏。 以上の3氏に贈られました。 向かって左からジョン・グッドイナフ氏、スタンリー・ウィッティンガム氏、吉野彰氏(公式HPより引用 https://www.nobelprize.or

高分子化学の父 シュタウディンガー

1953年のノーベル化学賞は、ドイツの化学者 ヘルマン・シュタウディンガーに贈られました。 受賞対象となったテーマは「鎖状高分子化合物の研究 」です。 「高分子の発見」と言い換えても間違いではないでしょう。 分子が数千~数百万繋がった高分子は、プラスチック(樹脂)製品やゼリーなどのゲル、天然ゴムや植物・動物の細胞など、あらゆるところに存在し、私たちの生活を支えています。 20世紀初頭、分子の沢山つながった高分子という考え方は存在しませんでした。 その頃は、ようやく分子の考え