あおい空
部屋の片隅に、息子が書いた書き初めがある。
昨日から、これが目に入る度に少し反省してる。
書き初めは冬休みの唯一の宿題で、書いたのは昨日。
昨日は午後から出掛ける用事があったため「出掛ける前には書き初め終わらせようね」ってことになっていて、で午前中、予定通り書き初めを始めようとしたところまではいいのだけど。
始めようとしたところで息子が「あれ、半紙がない...」と言い出した。宿題用の半紙は学校から二枚支給されていて、家には間違いなく持って帰ってきていると言う。
「ランドセルに入れといたんだけど...ない」
はあぁぁぁ、またか。
入れといたんならあるはずでしょー!と大きい声で言いたいのを抑えて、でも普通の声量で落ち着いて言いましたよ「入れといたんならあるはずでしょ?」
自分の身の回りの物の管理が私が何も言わなくてもできるような年齢だとも思わないんだけど、片付けもだいぶ上手になってきたとは思うんだけど、でもやっぱり「◯◯がない」と言って何かを探している時がちょくちょくあって。またか、と思ってしまう。
そういう時に一生懸命探すのなら手伝ってあげようかとも思えるんだけど、なんだかイマイチ危機感がないというか、◯◯がない、どうしよう、から進まないというか。
そして「探したけどない」とか言いやがる。私が見ている限りではそんなの全然「探した」って言わないよっていう程度で。机の近辺をほぼ目視で終了、みたいな。
ノートの間に挟まってないかとか、プリント類のどこかに紛れ込んでないかとか、年末の大掃除で間違ってゴミに入れちゃってないかとか(紙類は資源回収なのでまだ捨てずに家に保管してあった)、そういうのぜーーーんぶ確認してから「探したけどない」って言えよ!と心の内で叫ぶ。
完全に私はイライラしてしまった。
イライラしたモード全開で、息子に当て付けるように、ランドセルをひっくり返し、教科書やノート類を全部パラパラめくり、連絡袋の中、書道セットの中、紙ゴミをまとめた紙袋の中、などあちこちを探した。
そんな私を見て息子も机の近辺を細かく探しはじめる。で。
最終的に、年末に息子と片付けした際に「しばらく学校に持っていかないノート類はこっちに入れてね」とまとめた箱のファイルの間から半紙が見つかった。
ほれみたことか!!(何が?笑)
なんか言いたいことはいっぱいあったけど、その時にはもう息子も気を落とした様子だったので色々言うのはやめて「見つかってよかったね」とだけ言った。
そんなことがあってやっと書き初めの準備を始めた息子。
いつも学校でやっている書道の時より半紙のサイズが大きいため少しやりにくそう。新聞紙の敷き方やすずりを置く位置、書き終えた半紙はどこに置くつもりか、いろいろ口出ししそうになってでもさっきまでのイライラが私の中に残り続けていたので「見ない、気にしない、口出ししない」と自分に言い聞かせ、私は私でメモ帳に愚痴を書き出す作業をしていた。
しかし。
あまりにも、すずりの位置がおかしいだろうと思ったので、(縦に長い半紙の右下の外れ、縦書きで文を書いた際の句読点を書く位置と言えばいいでしょうか、そこにすずりを置いていた)つい、
「ひとつだけ言っていい?すずりの位置そこで大丈夫?」
口から出てしまった。ここでやめ、と思いつつも、
「床に墨を垂らさないでよ」
ああ。はい、ここでやめ!口出しすなー!と自分に対して思ったけど、結局そのままずるずると新聞紙の置き方とか書く姿勢とか書いた半紙はをどこに置くつもりなのかとか、彼が書き始める前にいろいろ言ってしまった。ちょっとキツイ口調で。
なんかなぁ、ほんと、今思いだしつつこれを書いてて、あの時の私、いやーな態度だったな... と思うのです。
もうすでに時遅しだったかもしれないけど、それでもこれ以上は...とぐぅーーーっと我慢、息子が字を書き始めてからは口は出さなかったのだけど、
一枚目を書き終えて二枚目を書いている途中で「あっ」と小さく声を出し、「あおい」まで書いた半紙を見てため息をつく息子。どうしたのかと思ったら、
「半紙の表裏を間違えた...」
宿題は二枚書いたうちの良く書けた方の一枚を提出すればよくて、なので一枚失敗しても問題はないのだけど、彼が字を書き始める前に私がかなり不細工な態度をとってしまったから落ち着いて集中して書き初めできなかっただろうことは間違いなく。
半紙が見つかって「よかったね」となった時点で、私が気持ちを切り替えて息子に接してあげられたらと思うと、なんだか申し訳なくなるのでした。
今思えば、「半紙がない」というだけであんなにイラつくのもおかしくて、きっと、冬休みで自分の時間が思うようにとれずにいたこと、やりたいことがいつものように進められないこと、が少しずつ少しずつ積もっていたんだろうと思う。
それを思うと、余計に息子に申し訳なく思ってしまってね。
昨日から、部屋の片隅にある「あおい空」が目に入るたび、息子よごめん、と思ってしまうのでした。
そんな年明け。
皆さま、明けましておめでとうございます。
初詣でのおみくじは小吉でした。
「失物 必ず出る 物の間」!
他の言葉はへぇ、ほぉ、で終わりだけど「雑念が多すぎる」には真っ正面からパンチくらった感、笑。未熟な自分を目の当たりにした年明けでしたが、今年は、丁寧に日々をこの身に染み込ませていくような生活をしていくこと、を一年の目標にしてみようと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。