エニアグラム

「エニアグラム」は使えるか?


「教えない」というのがブームになっている。アクティブラーニングとか反転授業とかが話題になっているが、その先にありそうなのが「教えない」というスタイルの肯定だ。本当に教えなくていいのだろうか?

下記のような記事がタイムラインに上がってきた。

先生が「教えない」ほうが学力は伸びる
奈良市立一条高校 藤原和博校長×都立両国高校 山本崇雄教諭

藤原和博校長は次のように語っている。

『インプットを多量にしていくとアウトプットがひとりでに出るということは絶対にない。僕はそのアウトプット重視の教育メソッドが必要だと思った。』

全く同感。ここでの「教えない」というのはつまり「インプット一辺倒ではまずい」ということが言いたいのだ。インプットばかりしていると答えを知りたい人を増やすことになる。でも人生はクイズではなく創作だ。答えなんて無い。

だから新しい答えを作りたくなる人を増やすのが良いと思う。答えを知りたいから教えて欲しいという受け身の状態から、答えを作りたいからどうしたら答えを作ることができるのかやり方を教えてほしいという自発的な学びの状態が生まれる。

前者はティーチング、後者はコーチングと考えられそうだ。

コーチングで私が思い出すのが「エニアグラム」。性格を9通りに分類してコーチングに活かそうというアイデアだ。私も時々はエニアグラムのことを思い出して、周りの学生やスタッフに自己診断をしてもらう。下記のようなサイトに行くと、10分も掛からずに自分がどのような性格なのかがわかる。

エニアグラム無料診断
自分が20歳以下だったときにどうだったか考えるようにしてください。

20歳以下がその人の本質だからです。自分は「こうありたい」、「ねばならない」ではなく、20歳の自分を想定して直感でチェックしてください。自分に当てはまるもの、思い当たるもの、そして賛同できるもの、すべてにチェックを入れて下さい。

診断後、1から1までのタイプ別に数値がでますので、一番多いところのタイプをクリックしてください。問題は全部で90問あります。

それではスタートしてみましょう!

私の経験ではエニアグラムをして相手の性格を教えてもらったからといって、それがすぐ翌日からのコミュニケーションで役立ったということはあまりない。むしろ本人が自分の性格とどのように向き合ったら良いかという自己判断の材料になるようだ。エニアグラムで自分の性格をズバッと分類されると、それが価値判断やコミニュケーションにおける自分の“癖”や“傾向”を客観視する起点になるのだろう。ある種の気付きが得られる効果がある。

答えを作ろうとする人はやはり自分の性格と向き合って、自分に向いた答えの作り方を見出していった方が、自分の使い方としては効果が期待できると思う。反対に、世の中で活躍しているように見える人物や、身近にいる誰かを真似ようとしても、そのやり方が自分の性格に合っていないと答えを作り出すのには役立たないということもある。

ちなみに私がエニアグラムをすると「成果主義者・達成者・達成する人」に分類される。

「達成者」のところにはこんなアドバイスが書いてある。

「達成者」のあなたはご都合主義となり、他者を成功の為の飛び石としたり、道具のように扱ったりすることがあります。地位や名声を気にかけるがゆえ、実際より自分をよく見せようとします。......自分を周囲に印象付けようと、うわべを誇張します。

なんだか最低な人間な気がする。ご都合主義で、他人を道具のように扱って、自分をより良く見せようとして、うわべを誇張する。なんだよ自分。人としてどうなんだろうか。自己診断って、凹むなぁ。

この最低な「達成者」の上手な扱い方はこうだ。

「達成者」の特徴について褒める。成功したことについて賞賛する。人前で褒める。......褒めていたら勝手に働くタイプなので良い部分をどんどん褒める。

なんて情けないタイプなんだろう。褒められると勝手に動くタイプ。図星だ。

そして思い当たるのが私のコミュニケーションの仕方の“癖”だ。とにかく人を褒めたくなる。それは相手への信頼や期待を表そうとしていたつもりだった。でも、よくよく考えると自分が褒めてほしいから相手を褒めているという情けない図式なのかもしれないとはたと気づいた。

なんだかコーチングは闇だ。「教えない」方法を実践しようとしてエニアグラムをすると、自分に対してのみ効果的なコーチングが身について、違う性格の相手にはかえって逆効果かもしれないのだ。かと言って9種類もの性格に対して、それぞれ違うコーチングなんてできそうもない。

こういう先々の失敗の可能性まで考えると、下手に気取ったコーチングなんかを目指すよりも、いろいろな知識を自分の頭脳にインプットしてもらい、その中から答えを探してもらった方が、大きな成功はないかもしれないけれど、大きな失敗もしないだろうという打算的な教え方に戻ることになるのかもしれない。

駄目じゃん。(笑)




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