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Phase One XF ピントの憂鬱


これまでの経緯と感想

ラージフォーマットが随分と普及した。
時代とともにミラーレス化されピント精度も簡単に手に入れる事ができる。

ラージフォーマットはミラーレス?
いやラージフォーマットはデジタルバックですよね。
なぬ?

独立した時、プロラボの営業マンに勧められたデジタルバック。
当時は国内のサポートも不完全で、マニュアルも英語。
ファームウェアのアップデートも英語。
よくあるボディ側とバック側のメーカーサポートの違いに苦しめられる。

高額な支払いと撮影スキルは未だに心が休まらない。

あまり知ることのできないデジタルバックの愚痴を綴ろうと思う。

・P-21(Kodak CCD) HASSELBLAD 503CW
初めて手にしたデジタルバック。
おにぎりサイズの本体は一抱えあるハードケースに入って届いた。
とにかくブレる。空撮では1/500でもブレる時がある。
Cレンズでは画質があまいがポートレイトには使える。
本体との接続コードの耐久性がない。年間1本は破損する。
実用 ISO400までが限界。
アキュートマットDが必要。
縦位置はバックを差し替える方式。
バッテリーの持ちが悪い。
バックアップ電池が終了しており、電源を入れると日時がリセットされて驚く。
今でも数回は作品撮りで使っている。

ウエストレベルで撮れる。しかもCCD。

・IQ140 (DALSA CCD)  Phase One 645DF+
ブレは収まったかな。
本体の電源とバックの電源が同期しない時がある。
AF性能が著しく悪い。
ストロボのモデリングでAFは合致しない。
結局すべてMFで撮影した。
修理はデンマーク送りで1ヶ月以上かかった。
修理サポートは万全で販売店より代替機が届いた。
本体のリチウムイオンバッテリーは長持ちする。丸一日のロケでも余裕だった。
実用ISOは1600までは可能。
今もXFの予備機で手元にある。

モニターは随分と良くなった。まだCCD。

・IQ3 100MP Trichr(SONY CMOS) Phase One XF
空撮案件だ。ある物件の劣化が知りたい。
予算はある。とにかく高画質でネジの一本まで確認したい。

この依頼が高画素カメラを導入する理由。
候補は2機種。将来性のある某ミラーレス機と645DF+の継続機であるXF。
とにかく高額な買い物だ。後悔はしたくない。

結果、XFを導入した。理由はレンズの共用もあるが、ファインダーの見え方。航空写真撮影でのファインダーの安定感は譲れなかった。

初のCMOSセンサー。色も問題ない。

Phase One XF 前期型と後期型

新品で購入される方も中古購入される方も注意してほしい。
AFユニットが違う。これは外見で判断できない。

前期型  HAP-1
後期型  HAP-2

HAP-2は低照度でのAF性能が良くなっているらしい。  らしい。
なぜなら私のは前期型だから。

見分け方 about→AF
HAP-1かHAP-2を確認

HAP-1の方。安心してください。
メーカーは、大した差はありません…との事。
どうしてもHAP-2にしたい方は改造可能です。メーカー送りで約1ヶ月。料金は10万超え。

AF性能 ポートレイト実践編(HAP-1)
屋外や明るい室内でのポートレイトでは8割は合致する。
ただ一度迷うとしばらく迷子になる。
設定も大事。

AFはスポット。シャッターはフォーカルプレーン。
アシストライト50%を推奨(メーカーより)

アシストライトは50%でもかなり眩しいので実際ポートレイトでは使えない。
AFが迷うと撮影テンポがずれる。
いいタイミングで切れない。 そして…

21世紀なのにMFである。

645DF+もXFもフォーカシングスクリーンは明るく見やすい。
撮影の最初と最後では眼の疲労が異なるので、休憩ごとに視度補正を再調整する。
ほとんどのポートレイトではカメラ側の眼にピントを合わせると思うが、ピントの位置を前後微妙に変えて3枚ほど撮る。
そうすることによってピントの確率を上げる。

そして、もう一つの方法は…

canonとの夢のコラボ

マグニファイヤー。
純正のアイカップを外しマグニファイヤーをテープで止める。
ファインダー周辺は少々ケラれるがピントは合わせやすい。

私はCanonの物を分解。装着レールを外して使っている。

マグニファイヤーを付けると視度がズレるので再度調整が必要。
ファインダー周囲に違和感を感じるという意見もある。

結論と現状
Phase One XFを導入するきっかけとなった空撮案件はこの機材で無事納品できた。
撮影はすべてAFで行いフォーカスポイントを数か所バラしてレリーズしたのでピントも問題なかった。

ポートレイトでもピントをバラしながら撮影すること。
条件が良ければ積極的にAFを使うこと。
MFは焦らず自分を信用せず、時々背面モニターで確認すること。

これからは中古デジタルバックがマーケットに大量に出回る。
もし興味がある方への参考になればと思う。


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