幻。

かつてないほど、ポケモンgo熱が高まっている。

起きている間、つねにポケモンgoを起動して、
iphoneの画面を見ている時間は、
仕事のPCを見ている時間よりはるかに長い。
どんな(ポケモンが現れる)瞬間も見逃したくないのだ。

先週末、ポケモンgoに「ミュウ」が実装された。

ミュウは他のポケモンと違って、
野生やレイドバトルに現れるわけではなく、
「リサーチ」という新機能をクリアすることでゲットできる。
リサーチというのは、
「でんきタイプのポケモンを5匹ゲットする」とか
「ジムバトルを2回する」とか、
特定のタスクを達成することで先に進めるミッションみたいな感じだ。

「一刻もはやくミュウがほしい」
ぼくの頭のなかは、仕事や将来や、ちょっと気になる女性よりも、
いま、ミュウのことで満たされているような気さえもする。

「一刻もはやくミュウがほしい」
そんな気持ちになったのは、人生で2回目だ。

ぼくが小学生のとき、
みんなが「ポケモン赤・緑」に夢中になっていた。
そして、みんなが、もちろんぼくも
ゲーム中ではゲットできない幻のポケモン、
ミュウがほしくて仕方がなかった。

「バグ技を使えばミュウが出てくるよ」と友達に言われてやってみたけど、
バグ技で現れたミュウは、名前はドットが崩れてグチャグチャになり、
技の名前もなんか変だった。
ぼくがほしいのは、ドットの崩れたニセモノのミュウじゃなくて、
本物のミュウだった。

結局、ぼくは、本物のミュウをゲットすることなく、
ポケモンから離れてしまった。

そして、いま、ぼくは
もう少しで、あといくつかのタスクをクリアすれば
本物の、幻のミュウをゲットすることができる。

思えば、小学生のぼくは、
どうしても欲しいものに向かう気力も、
情報検索力も、覚悟も、時間もお金も(課金はしてないけど)
ぜんぜん足りなかった。
でも今は違う。
作戦を立てて、達成する自分の姿を想像して、
情熱をぶつけることができる。ぶつけ方を知っている。
「小学生の自分、見とけよな」って、思う。

例えば、「やれたかも委員会」は、
やれた夜よりも、やれなかった夜にこそ価値があると言っている。
それも、もちろん一理あるけど、
やっぱり、どうしても逃しちゃいけない時ってあると思うのだ。

思えば、最近のぼくは、けっこう必死になっている。
ミュウが現れる前には別の情熱があって、
ミュウをゲットしたあとも、また次の情熱を燃やすと思う。
もちろん、ミュウをゲットする情熱と
別のなにかに必死になることは共存できる。

今夜は、とりあえずミュウのことを考えて、
明日の作戦をたてて寝ようと思う。
必死になるのが楽しいって、
斜めに構えるのがかっこいいと思ってた昔の自分を超えた
ご褒美みたいなものなんじゃないかな、と思っている。

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