切手のない贈りもの
演奏が変わったのか、CDの性能なのか、とにかく音粒のひとつひとつが、とてもやさしく感じられました。「マイルド」ではなく「ジェントル」……『モルト・カンタービレ』以後の山中さんのマイルストーンが、またひとつ完成したのではないかしら。
〆の曲でその考えが確信に変わりましたよ。☺️
円熟味が増したというのか、どこか飄々とした、いっそ軽やかな演奏に騙されてはいけないのだ。真綿にくるまれた剥き身の日本刀のような、凄絶さと妖艶さが背後に潜んでいる。油断してるとバッサリやられる。このアルバムで初めて山中さんに触れる人は、大やけどするかもしれない。