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私がキタちゃんに惹かれた理由、敗北から始まった「それでも」の物語

キタちゃん、お誕生日おめでとう。元になった競走馬のキタサンブラック号も11歳の誕生日おめでとう。キタちゃんは2つの勝負服とも10連で出てくれているので本当にお財布に優しいし手がかからず感謝している。願わくば次の新衣装でも10連で出てほしいものだ。

今回はキタちゃんに出会ってウマ娘を始めたので、彼女について語ってみる。競走馬のキタサンブラックも好きだけど、今回はウマ娘のキタサンブラック(以下、キタちゃん)について書いてみる。熱く激しくいつも一生懸命で、私にとって最高のウマ娘の一人である彼女について。

流行っても薦められても始めなかったウマ娘

2021年2月24日にウマ娘のアプリはリリースされた。リリースされてからしばらくするとIP(Intellectual Property)が爆発的に伸びているのが至る所で感じられた。自分の周りにはアニメ1期から熱心に追っている人もいたし、それ以前から競馬に関心がある層もいた。アニメオタクじゃない同僚もほとんどがやっていたし、周りの友人たちもほぼ皆やっていた。そう、自分以外は。

当時は周りの皆がウマ娘に夢中になっていても飛び付かなかった。すでに熱心に触っているIPがあったし、自分が流行に飛びつかない性格だったからだ。ただ、別にウマ娘の流行に対して否定的な意見を持っているわけでも、ウマ娘を食わず嫌いしていたわけでもない。周りの友人たちから3Dライブのクオリティがとても高いと評判だったり、なぜウマ娘がここまで流行したのかという理由については好奇心もあった。

しかし他作品への関心が強すぎたのですぐには触ってみようとは思えず、友人からどれだけ薦められても結局触る気にはならなかった。とはいえ可愛いと思うキャラクターが少なくなかったのも事実で、たとえば最初に可愛いと思ったのはダイワスカーレットである。それからゴールドシチーが登場したときもかわいいなと思って眺めていた。

顔がメチャクチャ好みだったメジロドーベルが出た頃は始めてみようと真剣に思ったが、忙しさからか結局うやむやになってしまった。友人と話していると「ウマ娘をやるつもりはないのか」と聞かれる機会も多々あって、その度に「やるつもりはないけど興味はある」と濁す感じで断り続けた。

今ではシチーもベルちゃんも、内面込みで大好きになった

宣言通り1周年目に始めたウマ娘

中には繰り返しウマ娘をとても熱心に薦めてくる人もいたので、そのときダイワスカーレット以外に好きそうなキャラがいないか公式Webページで調べてみた。シチーやベルちゃんも大変よかったのだが、そのなかで一際目を引くウマ娘が一人いた。それがキタちゃんである。

外見がまず好みのど真ん中だった。清潔な黒い髪に赤系の色のパッチリした目、可愛らしい笑顔、真っ直ぐで綺麗な眉毛。紹介文からも明るい雰囲気が伝わってくるし、「まずやってみよう!やってみなきゃ何も始まらないもん!」というセリフも正統派で好印象だった。主役感をもった王道の美少女なのかなという感じ。かっこいい黒をベースに赤を強く印象づける勝負服のデザインも自分好みだった。赤は情熱の色である。

それから声も良かった。明るくハキハキした、元気があって聞き取りやすく快活さが伝わってくる心地よい声質だった。矢野妃菜喜氏については「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」の高咲侑役で知っており、「この人上手いな」と好印象だった。キタちゃんの声でもその印象は変わらず、キタちゃんの明るくて良い子そうな感じが一層伝わってきた。

キタちゃんの存在を知って以降、ウマ娘を熱心に薦めてくる人には「キタサンブラックが育成できるようになったら始めるわ」と返答するようになった。それから月日は流れていき、2022年の2月22日の生放送で育成ウマ娘のキタちゃんの実装が発表された。キリのいい50回目の生徒紹介である。

「いよいよウマ娘を触ってみるか」。アプリがリリースされてから1周年のキャンペーンもあったし良い機会だと思った。「キタサンブラックが実装されたら始める」と周りに公言していたし、何より自分で言い出したことをやらないのは自分に対して格好が悪い。筋を通すためにもやる以外の選択肢はなかった。

ウマ娘をサービス開始1周年で始めたこの時点で、嬉しい大きく2つ誤算があった。1つ目は今ほどウマ娘というIPに時間や資金を割くことになるとは思わなかったこと。まさか声優ライブに足を運んだり、キャンペーン対象のお菓子を頻繁に買ったりするまでになるとは予想していなかった。

そしてもう1つはキタちゃんにここまで入れ込むとは思ってなかったことである。ウマ娘にそれなりに時間とお金を使うようになった要因にキタちゃんの存在は大きく関与している。確かにこの子が実装されたら始めようと思うぐらいには最初見た時から外見は好みだった。

しかし自分が推したいと思うキャラは、外見より重要なものがある。それがなければ、どれだけ外見が良かろうが真の意味で推したいとは思えない。それがキタちゃんにはもしかしたら無い可能性がある、とウマ娘ストーリーを見る前の時点では思っていた。読み始めて数十分後に思い知ることになるが、これは大きな誤算だった。私はキタちゃんを見誤っていたのだ。

予想を大きく裏切られた第1話

いつも明るく元気で誰にでも優しそう、確かに好みのタイプだ。困っている人を助ける、素敵な心がけだ。公式サイトの紹介文から感じたキタちゃんの印象はどれも良かった。でも心の中でどこか、「明るく楽しい元気なストーリーだけが展開されるのではないか」と思っていた。もしそうだったら、私にとって真の意味で応援することは難しいかもしれないと。

負けから始まる物語

しかしそんな杞憂は一瞬で吹き飛んだ。序盤、1話のそれもたった一瞬の表情を見ただけで印象がガラリと変わる。敗北して遠くの空を見る凛々しいカオ。明るく可愛らしい第一印象とはまるで別の表情。「この娘は外見だけじゃなくて中身も本当に好きなキャラかもしれない」と、彼女を見る目が一瞬で変わった。このウマ娘のシナリオには自分が期待するものがきっとあるのだと胸が躍った。

キタちゃんのシナリオは敗北からスタートする物語であり、決して明るく楽しいだけではない始まりだった。最初のスカウトで断るのもポイントが高かった。見ず知らずの相手とすぐに契約はしない硬派な感じも良かった。紆余曲折あってからトレーナーとウマ娘の関係になる、その理由がこれから描かれるのだなという期待があった。

キタちゃんは確かに可愛い系の見た目だが、同時にイケメン要素も兼ね備えている。それは「ハンサムキュート」というファル子の言葉がとても的確に表現していると思う。元になった競走馬のキタサンブラック号は男前と言われているが、ウマ娘のキタちゃんにもその男前要素はしっかり継承されている気がする。キタちゃんは王道美少女の可愛さとイケメン要素的な綺麗さを併せ持つ大変優れた容姿なのだ。

かわいいの才能っ!?より

話をシナリオに戻すと、雪山での修行パートはいたって王道の展開だった。何事にも真面目に取り組む勤勉さは想像通りだったし、強靭なフィジカル・回復力の高さも自分好みだった。肉体的に頑丈なスポーツ選手は魅力的だ。キタちゃんのように頑丈な肉体に自分も憧れる。そして何より、1話でその片鱗を見せた情熱の強さ。キャラ紹介の時点でわかっていたけど、雪山で孤独・かつ肉体的に消耗しているなかでもそれを貫こうとするメンタルからは決して口だけではないキタちゃんの「強さ」を感じることができた。

雪山に一人でウマ娘を放り込むって相当スパルタというかダメだろというツッコミには同意する

雪山の修行までの時点で、キタちゃんのシナリオは良い意味で期待を裏切ってくれた。他人の痛みがわかる父親に憧れるキタちゃんの物語は、やはり明るく楽しいだけのシナリオではなかった。ボロボロになって精神的にも肉体的にも苦悩しながらコツコツと鍛錬を積み重ねていく物語であり、他人の痛みや表に出ない苦労にも寄り添った物語だった。そして感動がクライマックスに達したのが第4話だった。

三度の敗北。それでも、

キタちゃんの育成シナリオ4話では「それでも」という強い意志を2つみることができた。1つ目は、たとえ誰も見てくれなかったとしてもお世話になった、たった1人を笑顔にしたいという気持ち。とても筋の通った生き方で、義理人情に厚い性格がこれでもかと伝わってくる。

そして2つ目は、ほぼ負けを確信した中それでも抗おうとする意志。トレーナーと鍛えた「ぶちかまし先行」でもトウカイテイオーにも歯が立たないことをキタちゃんはレース終盤ではっきりと自覚する。体力は残っているがペース配分を考えればこれ以上スピードを出せない。1話の頃の我流ではなく、適切な指導者のもとで鍛錬を積んだにも関わらず三度敗北する予感が漂う。希望は潰えそうになり、なすすべがなく、万事休す。

それでも。ここで諦めたら、自分が自分らしくなくなってしまう。だからそんなこと(敗北してトレーナーに報いずに終わること)は絶対にさせない、と気持ちを爆発させる。雪山での修行でもそうだが、キタちゃんの不撓不屈の精神は逆境のなかでこそ一層輝くように思う。本物の強さとはきっと、劣勢の時にこそ発揮できるはずだ。キタちゃんには本物の強さがある。自分はこんなに精神が屈強では無いから、キタちゃんのこのメンタルの強さとハートの熱さにはとても惹かれた。

雪山での修行、それ以降の最高強度でのトレーニングを経てめでたく勝利!かと思いきや、またしてもキタちゃんは敗北する。模擬レースでダイヤちゃんに負け、メジロマックイーンにも負け、そしてトウカイテイオーにも負けた。キタちゃんの言う通り、トレーナーは笑顔にならなかった。だがこのレースで得たものはあった。

キタちゃんはトレーナーと出会う前から唯一無二の武器を持っていた。ただ、それの解放の仕方・レースでの力の出し方がわからなかっただけだ。フィジカルのタフさ、素直で真面目な性格はもちろん大きな魅力だ。だがキタちゃんの最大の武器はそこではない。

そう、キタちゃんは初めから持っていたのだ。「自らの意志で他人のために頑張れる」という何ものにも変え難い「熱い心」を。それは生まれ持った素直さ・優しさからくるのかもしれない。しかしどちらかというと、彼女が尊敬する父親とその弟子やダイヤちゃんたちといったこれまで出会った全ての人たちとのつながりの中で後天的に育まれたものだと思う。

ダイヤちゃんの「私はキタちゃんの強さを知ってたよ」みたいな微笑みが本当に好き

トレーナーから技術的な指導を受けてレースに必要な能力を伸ばし、そこに感情を融合・上乗せする方法を無意識に習得していったのだと思う。結果は変わらず負けだったが、トウカイテイオーに一泡吹かせるまでに成長できたのだ。情熱。私が推しを選ぶ際に最も重要だと考えている要素だ。単に外見が良いだけでは決して燃え上がらない。

外見が荒々しくなくても、おとなしい性格だって構わない。そこに「誰にも譲れないもの」があるかどうか。キタちゃんは十分すぎるほどの情熱(それ)を持っていた。人目を憚らずに結果を悔しがって号泣する姿に心を強く打たれた。単に外見が好みなだけだったキャラの内面までも好きになり、推しに変わる瞬間である。敗北から学び、努力して駆け上がる。大切な人のために「ここぞというときに爆発できる強さ」を持ったキタちゃんをこれから先も応援したいと思えるようになった素晴らしい物語だった。

ウマ娘が最も輝くと思う瞬間

最後に、キタちゃん(たち)から教えてもらった「ウマ娘が最も輝くと思う瞬間」について語って締めようと思う。ライブシーン、日常における自然体な姿。どの表情を切り取っても輝いているしベストを選ぶのは難しい。人それぞれ好みはあるだろうしどれも魅力的だと思うが、今回はレース中の表情を特に推してみたい。

ライブシーンで楽しそうに歌って踊っている姿は確かにとても魅力的だ。他IPの不祥事で病んでいた時もキタちゃんの「ユメヲカケル」のMVパートをデバイスの電池が切れるぐらい繰り返し見て元気をもらっていたし、それは十分わかっているつもりだ。キタちゃんに出会ったことでウマ娘を好きになって、今では他にも大好きなウマ娘が増えた。本当に感謝している。

ただ、それ以上にウマ娘における自分の担当ウマ娘を決める際に特に注視しているポイントは、走っている時の表情と特に瞳である。ウイニングライブはもちろんとても重要だが、彼女たちの喜びはやはりレースを楽しむこと・そしてレースに勝つことだと思う。だから走っている時にこそ人間性(ウマ娘性?)が表面化するのではないかと思っている。少なくとも自分が見てきた範囲では、レース中に笑顔で走っているウマ娘はいないように思う。

1着を取った後は満開の笑顔を見せるけど、レース中はどの娘もみんな真剣だ。歯を食いしばって、限界まで心臓を鼓動させながら懸命に走っている。キタちゃんであれば、真剣な眼差しと綺麗なランニングフォームから十分にその一生懸命さを感じることができる。ウイニングライブなどで見せる普段の笑顔とのギャップがたまらない。

バチバチでギラギラの真剣勝負でだけ見ることのできる、まっすぐでひたむきな表情に心打たれてこそ、担当ウマ娘にしたいと思えるのではないだろうか。レース中の真剣な表情は、なかなか他のアイドル系IPではみられないウマ娘の大きな特徴とも感じる。持てる力を全て振り絞って一生懸命に駆ける彼女たちの姿にいつも元気と勇気をもらえるのだ。

ウマ娘ストーリーでキタちゃんに心を鷲掴みにされて以来、少なくない自分の可処分時間をウマ娘に割いてきた。キタちゃんを含めコラボグッズも可能な限り集めたし、よみうりランドや声優ライブなどイベントにも足を運んだ。最初の頃はいつまでゲームへのログインが続くだろうと思っていたが、気づいたら1年以上継続できている。

おそらく今後もウマ娘というIPを触っていくのは間違いないだろう。2023年はキタちゃんが主人公のアニメ3期も始まるし、本当に楽しみである。アニメ2期の最終話は2回見て2回とも号泣してしまうぐらいに感動したので、3期もそれぐらいまではいかずとも楽しめる作品になってくれることを願う。

まさかここまでキタちゃんが自分の中で大きな存在になるとは思ってなかったので、自分でも驚いている。やっぱり人生は予測できないから面白い。キタちゃんにはいつも元気をもらっているので、本当に感謝でいっぱいだ。生まれてきてくれてありがとう、出会ってくれてありがとうといつも思っている。いつか何らかの形でキタちゃんから受けたご恩を返したい。

私は可愛くてかっこよくて美しいキタちゃんが大好きだ。これからも一生懸命な彼女の姿を見守っていきたいと思う。キタちゃんたちの笑顔を見るために、とりあえず去年よりはチャンピオンズミーティングで勝てるように頑張りたい。キタちゃん、改めてお誕生日おめでとう。これからもよろしくお願いします。

本記事で使用されている画像はすべて©︎Cygames,Inc.

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