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エヴァンゲリオン愛を語る~ヘンダーソン子安・前編~

今年、完結を迎えたアニメ「エヴァンゲリオン(文中ではエヴァと称します)」。社会現象にまでなったそのアニメには様々な要素が詰まっており、このアニメに魅了された人々は、その要素をなんとか解読、理解しようとしてきました。
ヘンダーソン・子安もそんなひとり。ということで、彼の“エヴァ”愛、逃げずに語っていただきます。

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 1995年に放送が始まったんですけど、たまたま夕方にやってたのを見て、初めはかっこええなと思ってたくらいやったんです。で、その2年後の年末年始くらいに深夜に一挙放送するってのを知って……まぁその頃には大人を中心に社会現象にもなっていたので、そういう放送になったと思うんですけど。

当時、高校へ行くために受験勉強をしていた僕は、夜中まで勉強しながら、その放送をVHSテープで録画して、空いた時間に見ていました。正直、まだ子どもなんで意味なんて全くわかってなかったですね。周りの子どもたちとは違う、大人が好きなアニメを“好き”と言ってる自分が“好き”というか、いわゆる自己満足のために見てたというか、そんな感じでエヴァに触れていました。

あと、僕を魅了したもう一つの理由が、お色気シーンでした。今だといろいろ言われると思うんですが、意外とエッチなんです。それをアニメという大義名分の中で見ることができていました。親も、いちいちこのアニメはダメとか言わないですからね。その思春期の中にいる自分がエヴァの“そういう”ところを楽しむ感じも好きでした。

特に(葛城)ミサトさんというキャラクターが好きでしたね。実は初恋です! めっちゃキモい話ですけど、ほんまに好きでした、今も好きです(笑)。

アニメでは修正されているはずなんですけど、漫画では主人公の(碇)シンジに最初「家に来て下さい」みたいな内容の手紙を送ってくるんですよ。その中にミサトさんが自分の写真を同封してるんですけど、それがタンクトップを着て、屈んでる写真なんです。で、“ここに注目”って矢印を自分で書いてるんですけど、屈んだ時にチラッと見えている乳首を指してるんですよ! それ見て、“うわ、乳首見えてるやん!”……で、めっちゃ好きになりました(笑)。そんなもん思春期真っ只中の男子にはたまりませんよ。

“わ、エロ~”みたいな。ちゃんと興奮してました。それと、同年代のシンジにも妙に女の顔を見せる振る舞いや、元カレが登場したらそっちについ行ってしまうなんていうエピソードを見たら、子ども心に女性ってムズイなって思いました。

ミサトさんの設定は28歳なんですけど、すごい大人なんやって思ってましたね。で、自分が28歳になった時に、ミサトさんみたいなあんな大人じゃないやん、まだ全然子どもやんと! めっちゃしょうもない人間になってるやん!ってがっかり、愕然としました。

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いまもミサトさんは好きなんですけど、中学を卒業して陸上自衛隊少年工科学校に入って自衛隊の階級を知るんですが、ミサトさんの階級はものすごく高いんですよ。28歳の女性で、こんな高い!?って。だいぶん上の方の幹部なんです。

実際の自衛隊では、その歳では、まずなれない階級です。しかものちに大尉とかになっていくんですよ! 新しい劇場版になるとさらに高い階級に修正されて、周りの人は気づいているのかなと思いながら映画館で見てたんですけど、おいおい階級また上がってるでって(笑)。

あと、自衛隊にいたお陰で、それぞれの階級の給料が大体わかるので、ミサトさん、まぁまぁもらってんなぁ、そら子どもをふたり住ませることできるなとか、ペンギン飼えるわなぁとか思ってました(笑)。

すっかりエヴァとミサトさんにハマってしまった子安だが、エヴァ空白期間が訪れる。高校から自衛隊育成の学校へと進んだ期間だ。日々勉強と訓練に勤しんでいた彼は……。

学校の寮に住んでいました。なのでエヴァを見る機会は少なかったんですけど、同級生に「なんかオススメのアニメある?」って聞かれた時は「エヴァンゲリオン、めちゃめちゃ面白いよ」って漫画やビデオを見せて、何が面白いかをアピールして洗脳してました。でも正直、まだ子どもですからあんまり内容の意味はまだよくわからなかったんですけど……。ま、どっちかというと先にも言ったエッチなシーンとかを探して勧めてたりしてましたね(笑)。

後は、外出がなかなかできなかったので、ひたすらエヴァやミサトさんのことをあれこれ考えたり妄想してました。妄想しすぎて、秘密裏になんかエヴァに登場するような兵器を自衛隊が作ってくれてないかなって本気で思ってたり、九州にあるでかい山が割れて、どでかい大砲が出てくるらしいって自衛隊内の都市伝説を、これまた本気にして、エヴァならその大砲をどう使うかと作戦考えていたり……今考えるとロマンありますよね(笑)。

陸上自衛隊少年工科学校卒業して自衛隊に入り、3年8ヶ月ほどいました。そして自分の気持ちに正直になって自衛隊を辞め、芸人になったんですけど、それと同時に再びエヴァにのめりこみました。

空白のエヴァ時代を取り戻すかのように、エヴァへの欲望が一気に開花した彼は、新しいエヴァの楽しみ方を見つける。

エヴァの新劇場版が公開されたのが、たしか僕がNSCを卒業して1年目だったと思います。もちろん映画自体はものすごく話題にはなってたんですけど、公開してる劇場が梅田のスカイビルにあるミニシアター「シネ・リーブル梅田」しかなかったんです。

初日、午前中に足を運んだら、すでに最終回分しか席が残っておらず、それでも見たいのでチケットを購入し入場しました。テレビで放送された映像を綺麗にした感じだなという印象でしたが、改めて見直してその面白さに唸りました。そこで完全にエヴァへの気持ちが再燃しました。そして初めてアニメ全体が、何を描こうと、何をしようとしているのかを理解しようと意識しだしました。

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当時は今みたいにYouTubeで考察や分析なんてのはなかったので、とにかく本を読んだり、ネットで軽く調べるくらいしかできなかったんですけど、それでもこういうことをしようとしてたのか!なんて二十歳くらいにしてやっと咀嚼できたというか……。とにかく自分の中でエヴァはリニューアルし、もう一度の青春が始まった感じでした。

それと同時にミサトさん的な人を探している自分にも気づきました。それはキモいですけど今でもあります。
現在、ミサトさんの歳を随分と超えてみてわかったんですけど、彼女は普段、とてもしっかりしてるのに、男性に対してあっちへ行ったり、こっちへ行ったりしていろんなところにいい顔してるのを見てると、個人的な見解ですけど女性ってそうなんかなって……。

僕は結構、女性に対して、完全な清純さを求めていたんですが、それは諦めました。これも個人的な見解ですので怒らないでください(笑)。まぁそんなことを言いながら、結局はミサトingなんですけど……。

もう展示は終わったんですが、新宿にある日本酒・獺祭のフラッグショップで、葛城ミサトの部屋というものが再現されたんですよ。なぜかというと、獺祭とエビスビールが流行る前からミサトさんはそれらを飲んではったんです。当時、それを描いていた庵野秀明監督ってすげーなって評価されてたんですけど……。で、その関係で部屋をリアル再現してたんです。

それを心から見に行きたいと思っていたんですけど、東京だしどうしようかなって思ってたら、普段入らないような東京でのロケが入って……。正直、仕事が入ったことよりもミサトさんの部屋を見に行けることの方が嬉しくて、ロケが終わって速攻見に行きました!

アニメの中と同じ、見事なまでに部屋が散らかり、飲み干した獺祭の酒瓶やエビスビールや空き缶が散らかっていて……。キモいのは自分でも重々わかっているんですけど、この人を世話してあげなくちゃって思ってしまいました(笑)。反面、ミサトさんはやっぱりこういうやさぐれた部屋に住んでなくっちゃとも思いました。
で、椅子に座ってよかったんで、ミサトさんの向かいに座らせていただきました。ただただ感無量でした……。

エヴァへの愛というよりも葛城ミサトへの愛に変わってきた前編。
後編は子安のエヴァへの愛はどこに向かっていくのか?
読むのを逃げちゃダメだ!

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■ヘンダーソン プロフィール
子安裕樹中村フーのコンビ。
子安の趣味はサッカー、アニメ。特技は自衛隊体操、ホフク前進、自衛隊都市伝説。
中村の趣味は絵、お酒、パチンコ、スロット、カラオケ、ファッション。特技は歌、 人差し指でボール以外なんでも回せる、ネガティブ。

ヘンダーソンINFO

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取材・構成/仲谷暢之
写真/月刊芸人編集部

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