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マンゲキ芸人見聞録~マイ七味を作る・後編~

人は凝り固まるとロクなことがない。
だからいつも好奇心とフロンティア・スピリットは併せ持っていたい。
芸人ならなおさら。ということで己の好奇心を満たし、自身のアップデートをさせるためにマンゲキ芸人さんに自分磨きの見聞を広めてもらおうというのがこのコーナー。

向井珍味堂の七味エキスパートの松村進一さんのレクチャー、そして基本の七味を試臭、試食を経て、それぞれの七味を作った、なにわスワンキーズ・こじまラテ、紅しょうが・熊元プロレス、からし蓮根・伊織の3人。

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やはり、人の作った七味は気になるものなのでお互いにテイスティングをば。

まずは伊織の七味をこじまと熊元が食す。

こじま:擦り具合の加減か、胡麻の味が際立ってるね。こんなに擦ることで風味が変わるんやなぁ

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熊元:辛さがちょうどいい! 好きな味。多分ラテさんが言うように胡麻の風味が強いけどそれが辛さをマイルドにしてるかもしれない。

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続いて熊元プロレスの七味をこじまと伊織が食す。

伊織:唐辛子少し多めで辛めですけど、癖になりますね。後から旨みが広がる!

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こじま:うまい! 個人的に好きな味かも。焙煎した唐辛子の存在がいい!

そしてこじまラテの七味を熊元プロレスと伊織が食す。

熊元:ラテさんのも結構胡麻の主張が激しいですね。

伊織:ラテさんのこだわりが感じられる七味!

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そして今度はそれぞれが自慢の料理を持参し、七味をかけて試食タイム。

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こじまラテは豚の角煮をすき焼き風にリメイクしたものを。
熊元プロレスは、普段からシェアハウスメンバーにふるまっているというおでん。
伊織は、スイーツ好きならではの手作りのチョコムースケーキを。

ちなみに伊織のお菓子好きを知る上に最適なページを。

まずはおでんから、熊元の七味をかけて食べてみる。

熊元:料理研究家のリュウジさんのレシピ見ながら作ったんですけど、我ながら美味しいです。で、七味かけたら柚子の香味がおでんの出汁の美味しさを格段にアップさせてるように思います。

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こじま:確かに、温かい出汁に柚子の香りがふわっと広がって、そこに胡麻の香りもあるし、焙煎した唐辛子がコクを出してるように感じる!

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伊織:あと、青海苔もやっぱりアクセントとしてありですね。辛さは思ったほど感じない。いろんな香りでおでんがグレードアップしてます。お店で食べてるようなおでんになってる!

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こじま:それは同じ。おでんのステージが上がるな。結果として作った七味、めっちゃおでんにぴったりなんちゃう? これ、普通に鍋とかにも使ったらすごい高級鍋になりそう。

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熊元:そうですね、これから冬場鍋することが多いので、これガンガン使いますわ!

続いてこじまラテの豚の角煮のすき焼き風にこじま七味を。ちゃんと玉子も添えての試食。

こじま:玉子を溶いてそこにかけてほしいなぁって。

伊織:(食べてみて)ラテさん、僕は別の方がいいなと思いますというか、角煮の方にかけて食べたい。その方が香りが立ちますよ。

熊元:玉子にかけると若干、香り殺してるような(笑)。

こじま:
そうなん!? 確かにちょっと玉子の風味が勝つな。

伊織:甘辛のタレと肉のこってり感にすごい七味が合いますよ!

熊元:
玉子は七味をかけないときに食べるのがいいかも。後、最後ご飯にタレや玉子をかけてそこに七味かけて食べたい!

こじま:丼にした方が、三位一体になっていいかもしれへんな!

伊織:
でもこの料理自体美味しい! もっと大量に食べたい!

最後はデザートに伊織七味ということで、チョコレートムースケーキを。

熊元:スイーツに七味ってちょっと抵抗あるわぁ。

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伊織:でも最近はスパイスを使ったスイーツも流行ってるので、七味をかけても意外と合うかもと。チョコレートでもブラックペッパーやピンクペッパー使ったりしてるし。

熊元:(食べてみる)うまい! 何これ!? 甘さが引き立ってる!

伊織:
めっちゃいい! 山椒の香りがチョコレートと合ってますね! 甘さがスッキリする! ちょっと山椒を多くしてよかったなぁ。

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こじま:合う! 合う! 合う! これうまいわぁ。コラボして売り出してほしいくらい! お酒とも合いそう。

熊元:
麻の実がナッツの風味で、ムースのしっとり感の中にプチプチとまた食感の面白さが混ざって香ばしさもあるし。びっくりした。スパイスとケーキって合うね。クッキーとかアイスクリームとか色々試したい!

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3人の持参してくれた料理とスイーツでそれぞれの作った七味の良さを知り、マリアージュの楽しさも知ったよう。

伊織:初めて七味を作りましたけど、もっとお菓子とかに応用してみたいですね。

熊元:日本独特の香辛料の面白さに触れて、作りたての美味しさにもびっくりしました。

小島:七味の奥深さを知ることできたので、もっと料理に活用していきたいです。

そして最後に松村さんがこれを味わってみてほしいと、ブート・ジョロキアとカロライナリーパーという2種類の唐辛子を3人の前に。
前記したのは2007年にギネス世界記録でハバネロよりも世界一辛いと認定された唐辛子、そして後記したのは2013年にギネス世界記録で世界一
辛いと認定された、とりあえずどちらもとんでもない唐辛子。

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ニコニコと、「これ良かったら作られた七味にカスタマイズしてください。その前に味見してみませんか?」と松村さん。
ギネスレコード認定の二大巨頭、当然のごとく3人とも拒否。とはいえ、せっかく持ってきていただいたし、滅多に体験できるような唐辛子ではないということで、仕方なくじゃんけんで順番にテイスティングする人を決めることに。

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まずは伊織が勝ち抜け、ブートジョロキアをチョイス。
ほんの少しを舌に乗せる伊織。

伊織:うわ、うわ! キター! これはやばいです。本当に、本当に少しだけなのに! 痛い! 痛い!

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その姿を見て、元々辛いものがそれほど得意ではない熊元はビビリまくるも、覚悟を決めてカロライナリーパーをほんの少し口の中へ。

熊元:あ、あ、うん? 最初はまだ……あ! きましたきました! 辛い! 後から辛さが! 、これ、すご……すごい……うわ、涙出てきた。

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悶絶する熊元、そしてまだ辛さに苦悶の表情を浮かべている伊織の二人を見つつ、不安ながらも一番負けた小島は両方を食することに。

こじま:先にブートジョロキアを……あれ!? 自分は大丈夫かも……あ! 辛い! でも、好きかも。辛いのが結構好きなので。カロライナリーパーも……お、これは辛い! じわじわと、あ、グワっとくる辛さ! これも辛いなぁ。でも、嫌いではないです。両方とも全然いけます。でも今日作った七味にはカスタマイズはせずに別添えにしますわ。

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第2回目・マンゲキ芸人による七味作り開拓、無事に終了。

■なにわスワンキーズ プロフィール
こじまラテ、仲西隼平、前田龍二のトリオ。
平成29年度 第40回今宮戎神社 こどもえびす 第38回 マンザイ新人コンクール 新人漫才奨励賞
■紅しょうが プロフィール
熊元プロレス(左)、稲田美紀(右)のコンビ。
2014年結成。熊元プロレスの趣味はキス、パチンコ。稲田の特技はおじさんとすぐ仲良くなれる。
2020年 NTV「女芸人No.1決定戦 THE W 2020」準優勝
■からし蓮根 プロフィール
高校の同級生の伊織杉本青空 のコンビ。
2013年結成。2019年YTV「第9回ytv漫才新人賞決定戦」優勝。
同年、ABC「M-1グランプリ2019」決勝進出。

INFO


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取材・構成/仲谷暢之(アラスカ社)
写真/長井桃子


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