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バトルで辛酸を嘗め、卒業を繰り返し、ついにつかみとった“客票1位で優勝”の栄光……うるとらブギーズと∞の17年

7月4日に開催された「ムゲンダイチャンピオンシップ~2021 SUMMER~」(ヨシモト∞ホール)で、うるとらブギーズが見事優勝を勝ち取った。
今年4月のシステムリニューアルにより、新たに看板芸人となった「ムゲンダイレギュラー」20組と、ネクストブレイク組による「ムゲンダイユースカップ決勝戦」を勝ち上がりレギュラーに昇格した1組によるバトルライブだ。
うるとらブギーズはレギュラー20組の最年長。芸歴は17年目になる。かつては∞の旧ランキングシステムで勝ち上がれずに苦しんだ過去もある。喜びもひとしおの二人に、その感慨を尋ねた。

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「かたつむりに緊張してる後輩が俺らには『うぇ〜い』」

――「ムゲンダイチャンピオンシップ~2021 SUMMER~」優勝おめでとうございます。∞ホールのバトルライブでの優勝は初めてだそうですね。

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佐々木:そうですね。

八木:初めてです。まずメンバーになるのが初めてでして。


――そうなんですか!?

八木:もう17年目で、∞にはずっといたんですけどね。全然メンバーじゃなかったです。

佐々木:ランキングのピラミッドがあったじゃないですか。良くて上から2番目くらいでした。


――以前アイロンヘッドさんにインタビューしたとき、「うるブギさんは何回も∞を卒業して戻ってきてるから、自分たちも何回戻ってきてもいいと思ってる」という話をされていたんです。実際、何回卒業してるんですか?

佐々木:3回くらいですかね。

八木:卒業ライブがありました。

佐々木:最初は∞ホールが10年目以下の劇場になったときですね。僕ら11年目だったんで卒業して、大宮の「ギャラクシーバトル」に移りました。サブタイトルが「宇宙で一番面白いのはダレだ!?」で、ランクの名前がブロンズ、シルバー、ゴールド、一番上がゴッドなんです。僕ら、そこで“ゴッドギャラクシー”になったんですよ。その頃たまに∞に出ると「ゴッドが来たぞ」っていじられてました。その後、一回戻ったんですけど1〜2年で卒業して、今またふわっとレギュラーに入ってる状態です。


――「ムゲンダイレギュラー」20組の中で最年長です。普段は劇場でどんな立ち位置ですか?

佐々木:若いふりをしておきたいので、馴染むようにしてます。

八木:卒業はしてもなんだかんだ主催ライブをずっとやらせてもらっていたり、今一緒にいるメンバーたちともずっと同じライブに出たりしてたので、僕らも“16期顔”をしてますね。

佐々木:15〜16期顔してるよな。僕らは10期なんですけど(コンビを)組んだのが芸歴5年目くらいなんで、同じ時期から一緒に出てたんですよ。芸歴を言うと驚かれることも多いです。

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――オリエンタルラジオさんやトレンディエンジェルさんと同期なんですよね。

佐々木:そうです。仲いい後輩たちが僕らにはタメ口だったり呼び捨てだったりするんですけど、僕らの同期にはちゃんと緊張してます。

八木:挨拶の仕方がだいぶ違いますね。僕らの同期のかたつむりには「おはようございます!」って言ってるのに僕らには「うぇ〜い」。「挨拶、全然違うじゃん」って指摘したら「いや、うるブギはもういいんだよ」って言われました(笑)。親しみは持ってくれてますね。

佐々木:もう、それでいこう!って腹はくくってます。


八木の“やめるやめる詐欺”に「また言ってんなぁ」

――ほかにもフルーツポンチさんやはんにゃさんなど、早くに売れた同期が多い代です。うるブギさんは不遇の時代が長かったと思いますが、腐った時期もありましたか?

佐々木:逆な気がしますね。同期が売れてる分、悔しさもあるけど「俺らもどうにかなるのかな」ってなんとなくどこかで思っていた気がします。「俺らだけやめてられないな」って気持ちもありました。そのおかげで続けてこられたのかもしれません。

八木:とりあえずひたすらコントをずっと作り続けていた感じはありますね。特に、2014年にキングオブコントの準決勝にいけたときから「もしかしたら俺ら、コントなのかもしれない」と思い始めて。

佐々木:「コントしかない」というか。

八木:うん。そこからもっと新ネタつくってライブも開催して、それが楽しかったです。でも、2019年に初めて決勝に出れるまでの2〜3年くらいは「今年ダメだったら辞めるわ」って僕が一方的に言ってました。それで結局毎年準決勝で落ちるんですけど、「やっぱり楽しいからもうちょっとやろう」みたいになって。

佐々木:毎年毎年、辞める辞める言いつつ全然辞めねぇな、って思ってました。だんだん慣れて「あー、また言ってんなぁ」って。

八木:嘘でしょ!?(笑)

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佐々木:「わかった」って、とりあえずで答えてましたね。

八木:落ちても、何もなかったことにして普通の顔で接してました。

佐々木:僕も辞めたくはないから、わざわざ「辞めるんじゃないの?」とは言わないですしね。続けるならまぁそれでいいや、って。


ーー当たり前ですが、2019年の決勝進出と準優勝はすごく大きかったわけですね。

佐々木:やっぱり、認めてくれたじゃないですけど、周りが優しくしゃべってくれるようになった気がします。芸人としてちゃんと接してくれる。今までもそうだったのかもしれないですけど、こっちが勝手な劣等感を感じていた部分があったのが、ちょっとは胸張って歩けるようになりました。

八木:ザ・コントって感じの大きいライブにも呼んでもらえるようになったのがすごいうれしいですね。

佐々木:翌年は10位で悔しかったですけど、前年の準優勝で環境が変わったところが大きかったんで、そこは現状維持できましたね。でも「2年連続で決勝いけたね」で終わっちゃった雰囲気があったんで、ガツンと結果を残さないとこれ以上いろいろ変えるのは難しいんだな、と。

八木:2020年は終わった後「またバイト始めないといけないのかな」って思いました。

佐々木:かなしっ。めちゃくちゃ悲しいこと言うじゃん。

八木:2019年でようやくバイトしなくてよくなったのに。


「∞で客票1位になれたのが本当にうれしかった」

――今年のキングオブコント予選が始まっています。今は調整の時期ですね。

佐々木:そうですね。だからムゲンダイレギュラーになれて本当にありがたいです。出番が増える。今は吉本以外だとライブに出るのもひと苦労だと思うんで。

八木:去年も、ほかの事務所の人たちは普段より舞台がないって聞いてたんで、大変だったんじゃないかと思います。僕らは恵まれてますね。

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――うるブギさんはテアトロコントなど吉本の劇場以外への出演も結構多いと思います。ウケ方の違いはあるものですか?

佐々木:最近はそんなにズレがなくなってきてる気がします。∞だからウケるとかウケないとか、昔はすごいあったと思うんですよ。嫌な言い方はしたくないですけど、お客さんが若い女の子ばっかりで人気者しかウケない、みたいな時期もありました。だから今回、客票も1位だったのが本当にうれしかったです。ずっとそういうイメージの劇場だったのが、お客さんが僕らに一番票を入れてくれて。「やったぞ!」って思いました。

八木:客票で1位とったことがなかったんです。AGE AGE LIVEの時代に「MAE AGE」ってトップから2〜3個下のランクのライブに出てたんですけど、インターネット投票があったんですよね。平日3時4時のライブなのに人気者は300〜400票くらい集めてて、僕らは4〜5票くらいでした。

佐々木:本当に桁が違った(笑)。

八木:友達に「この時間帯に投票してくれ」って頼み込んで、それでも勝てなかった(笑)。

佐々木:∞はそういうところだと思ってましたよ。スリムクラブさんもずっと一緒にMAE AGE出てて、なんだったらたまに降格もしてる中で「M-1」でバチコン決めたのはすごく勇気をもらいました。

八木:降格した次の日が「M-1」決勝だったんじゃなかったっけ?

佐々木:たしかそう。MAE AGEでビリだった次の日。

八木:すごかったな、あれ。


――その劇場での優勝は感慨深いものがありますね。優勝賞金30万円の使い道は決まっていますか?

佐々木:悩みますね〜。ネタ以外のときのコンビの衣装を発注してみようか、って話はしてました。

八木:4月から、平場は白シャツジーパンでやってるんです。ちょっとでもきれいな格好したほうがいいと思って。でもそれがまぁダサいダサい言われるんで……。

佐々木:もともとは何も気にせずお互い好きなもの着てたんですけど、それもダサいだの汚いだの言われてたんで、それなら一回ガッツリ揃いの衣装をプロに頼んでもいいんじゃないかなと。

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八木:ゆにばーすの川瀬が提案してくれました。

佐々木:でもまだどうなるかわかんないです。普通に貯金する可能性もある。

八木:いい掃除機買ったりしてるかもしれない。


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■うるとらブギーズ
キングオブコント2年連続決勝進出、2019年では準優勝の実力派コント師。
バカバカしさのある、ずっと笑っていられるようなコントが特徴的。
佐々木は「TAKAHIRO」名義でシンガーソングライターとして活躍し、八木はDJやスケートボードを趣味にしているなど、ストリートな側面もあるコンビ。



■撮影協力

diskunion ROCK in TOKYO
東京都渋谷区宇田川町32-7 HULIC &New UDAGAWA B1F


■うるとらブギーズNFO


渋谷×神保町 若手プレミアムマッチ
日時:2021年8月6日(金)16:30開場/16:45開演
会場:ヨシモト∞ドーム ステージⅡ
出演者:うるとらブギーズ/サンジェルマンうるとらブギーズ/サンジェルマン
料金:前売¥1,500/当日¥1,800/有料配信 ¥800(GoTo割引)


うるとらブギーズまつり
日時:2021年8月15日(日)12:45開場/13:00開演
会場:ヨシモト∞ドーム ステージⅠ
出演者:うるとらブギーズ/サルゴリラ/かたつむり/TEAM BANANA/キンボシ/大谷健太/ザ・ギース(ASH&D)
料金:前売 ¥1,800/当日 ¥2,100/有料配信 ¥800(GoTo割引)



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ライター/斎藤岬 撮影/越川麻希(CUBISM)
企画・編集/かわべり



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