見出し画像

マンゲキ芸人座談会~Berry Better!!(ヘンダーソン・中村、ジュリエッタ・井尻、マルセイユ・津田、翠星チークダンス・木佐)〜前編

ヘンダーソン・中村フープロデュースによって誕生したBerry Better!!。
今回座談会参加してくれたジュリエッタ・井尻、マルセイユ・津田、翠星チークダンス・木佐に加えて、見取り図・リリー、ツートライブ・たかのり、ジソンシン・下村、kento fukayaの7人からなるユニット。
共通するのは、「音痴でリズム感が悪い」。
そんな彼らは“ちゃんと”レコーディングし、配信までしている。
プロデューサー中村と、精鋭メンバーとともにBerry Better!!についての座談会前編。

Berry Betterジャケ写文字なし

――まずはBerry Better!!誕生のきっかけから。

ヘンダーソン・中村(以下中村):元々、僕は歌が好きなんですけど、友だち同士でカラオケに行くと、必ず歌が微妙な人って絶対いるじゃないですか。

一同:うん……。

中村:けど本人は意外と気づいてないから、ちょっと気を使う空気になったり、弄りにくい状況になったりする。でも本人は気持ちよく歌ってる。

一同:うんうん……。

中村:その空気感がずっと面白いなぁって思ってて。で、いつか歌が下手な人を集めてイベントをやりたかった。それと一緒に、劇場を盛り上げることもできないかなと。ふと、周りを見たらおるやん、じゃあやりましょうかって気持ちでスタートしました。

それぞれとカラオケに行ったこともあるし、それぞれにそれなりにひどいなって感じで(笑)。で、イベントをやる時に思いついたのが今日参加してるメンバーと、他の4人で。
でも最初の時はkento fukayaはまだメンバーではなかったんですよ。

画像2

翠星チークダンス・木佐(以下木佐):kentoさんは第2回からでしたね。

中村:1回目やり終えた時に、やっぱり奇数の方がいいなと思って。オリジナルメンバーよりはマシだったんですが、スカウトしました(笑)。

木佐:芸人のアイドルライブみたいなんはこれまでもありましたけど、出てそうなのに出てない。なんでなんや?と思ったらそれが原因やったのか!みたいな(笑)。

中村:(笑)。確かにそんなんもあるけど、僕自身は面白そうっていう気持ちから始めたので、決してワーキャー言われるのではないお笑いライブをやっているつもりやったんで、あ、お客さん、アイドルライブやと思って来てくれてはるんやって。

ジュリエッタ・井尻(以下井尻):内容を知らなかったら完全そっち寄りやと最初は思うよ。

中村:だから最初は戸惑ってはったんかな(笑)。アイドルっぽいことは全くしていなかったから。皆さんがワーキャー言うところを、無理矢理探してはった気がする(笑)。

マルセイユ・津田(以下津田):結局、キャーも言うてなかったですよ(笑)。だいたい登場の時は割とどんなイベントでもワーキャー言われるんですけど、これに関しては全くもって聞かないですからね。

中村:一応、基本的にはシュッとしてるメンバーを集めたんで、そこにお客さんは何かを期待してたのかな(笑)。僕の中ではシュッとしてるのに歌ヘタってギャップ萌えなんですけどね。
ただ、ジソンシン・下村だけは昭和顔やけど。メンバー内、ダントツで音痴で際立って素晴らしいんです。あいつが歌えば歌うほどに、爆笑なんです。それ見てるだけでプロデューサーとして満足。

一同:(笑)。

画像4

中村:初めてのライブの時は、お客さんは半分ほどやったんですけど、噂が回ってしまったのか、2回目から回を重ねるごとに、嬉しいことに即完、即完で。

木佐:1回目だけですよね手売りしたのは。

中村:さすがに最初、Berry Better!!ってイベントするとき、「何をやるんやろ、これ?」、「なんのライブ?」みたいな感じやったから。説明したら面白くないし。でも僕もだいぶ不安やったけど、1回目が終わって、すぐこれ、続けていけそうやなと確信した。

井尻:始まる前すごかったよな。みんなどうすんの?みたいな状況で。でもまぁとにかく言われた通り、歌えばいいかと。

中村:ほんまリハーサルが終わってから、スタッフさんも含めて大丈夫?みたいになって僕自身も2回目はないなと思ってたんですけど、本番迎えたらめちゃくちゃ盛り上がって。結果的に歌大喜利みたいな内容やった。

津田:しかもツッコミが多いんですよね。ボケはリリーとkentoくらいで、あとは回しをやる人ばかりで、舞台上で必死でみんな相談してるっていう場面が多いイベントでした(笑)。

井尻:それぞれが耳打ちしてるとこめっちゃ多かったし(笑)。

津田:みんな誰で落とすかとか探り探りやってましたね(笑)。

中村:そこも含めて見てほしかった部分。普段、ボケが隣にいる芸人ばっかりなんで、ボケない芸人たちがバンバンボケるイベントで、いつもとは違うものになってた思う。
ツッコミの人たちがボケ合う魅力も発揮、再発見できた。

津田:リハを流れでやって、歌うだけなんかぁという感覚で本番を迎えたんですけど、フタを開けたらそれこそ歌うのはちょっとで、9割はコーナーというライブになってて(笑)。それでみんなバチンとスイッチ入りましたよね。

画像4

井尻:始まって20分くらい経って、あ、これちょっとやばい、やばい、やばい! 調子に乗って歌うだけやと思ったら、ちょっとちゃう方向に向かってるぞって。

木佐:僕、一番芸歴が下なんで、皆さんの平場(本ネタ以外の、自力が試される部分)の切り替えの速さにびっくりしましたもん。立ち位置というか意識の方向転換と臨機応変さはさすがだなと。なんか急に先輩方が出てはる「kiwami極ライブ」のコーナーに僕、入れられた感じでしたから。

中村:まだ芸歴2年目の時くらいにBerry Better!!入ったからな。

木佐:はい。

津田:僕、単発のライブだと思ってたので、まさかこんなに続くとは思わなかったのが正直な気持ちです。

井尻:もう何年?

津田:3年です。

井尻:もう3年も!(笑)。

中村:まあコロナ禍で活動はなかなかできてなかったですけど。2回目以降の前売りというか、応募数というか、Berry Better!!が一番多いとかで、劇場側がやりませんかって言うてきてくれて。

井尻:プロデューサーとしては成功。

木佐:コロナ前は300席のところに2千件以上の応募があったそうですから。

中村:そうそうそう、応募が。当時の見取り図の単独よりも多かったって言う(笑)。お客さんも麻痺してたのかな。普通のライブでは物足りない感じかな。でもその反面、単独ではあんまり人が来ない……。

木佐:僕もkentoさんも下村さんも当時、そこをめっちゃ悩んでました。

一同:(笑)。

中村:Berry Better!!は人気やのに。

木佐:それぞれの単独は埋まらないという矛盾(笑)。

中村:僕らお笑いをやってるつもりなんで、単独とスタンスは変わらないねんけどね。

画像5

――メンバーとしてはそれぞれいかがでした?

津田:リズム感や音痴についてのプライドは全然ないので声を掛けていただいたのは全然嬉しかったんです。でも一応、メンバーの中では正直、僕が一番マシだと思ってるんで、メンバーの中で、自分はどの立ち位置でいればいいのかというのが悩みです。毎回、歌って登場するんですけど、結構みんなボケるんですよ。で、僕はトップバッターで出てくることが多いので……。

中村:Mr.Childrenの曲で出てくるんですけど、普通よりちょっと下手かなくらいの感じでね。

津田:だから僕は毎回、みんなのフリの役割でめっちゃ嫌なんです、だから立ち位置を悩んでしまう(笑)。

中村:芸人としたら美味しないからなぁ。津田はいつもハット被ってキメキメで出てきてくれて、ちょっと下手な感じがダサいというか、これぞ7人いるメンバーの中のザ・トップバッターとして、ほんま感謝してます。

津田:感謝されても……微妙すけど(笑)。

中村:木佐に関しては、そんな歌がめっちゃ下手っていうわけではないんですけど、陰キャ育ちのせいか、感情のない歌い方が絶妙なんですよね。

木佐:……学生時代、全然カラオケに行ってないやつみたいな感じですか。

中村:そう、そんな歌い方! わかってるやん(笑)。そしてダンス! もう強烈にヒドイ。それがまたいい! 以前、コンビ名がいなかのくるまの時に行なった単独ライブの映像の中で非常にぎこちないダンスを踊っていて、虜に。もうこれや!と(笑)。

木佐:自分でもわかってます。歌よりはダンスの方がヤバいと自負してます。そういやヘンダーソンさんとあまり面識もない頃に、いきなり「木佐ってリズム感なかったっけ?」って中村さんからTwitterのDMが来て、「ない方だと思います」って返信したら「そっかOK」って返事がまた来て、数日後、スケジュール見たらBerry Better!!って書かれてて、何これ?って感じで、それが今まで……。

中村:若手としてホープ中のホープやで。井尻さんは、歌が下手だってことは以前から知っていたので、イベント立ち上げる時から井尻さんと下村、津田、同期のリリー、たかのりは確定してましたもん。井尻さんは見た目もシュッとしてた……今はちょっとね、またハゲてきてはりますけど。

井尻:言わんでええねん!

中村:井尻さん、以前ちょっとハゲてきてはったんですけど、それ以前はキラキラの王子様キャラで、そんな方がメチャクチャ歌が下手って完全に面白いじゃないですか! でも当時は尖ってはったんでなかなかいじれなかったですけど、ここは思い切ってメンバーになってもらおうと。

画像6

井尻:Berry Better!!の前くらいから一回、頭の上と下がハゲてきてて、そこから舞台でもいじってもらうようになって……。
ただ、1回目の時にはだいぶキテたんです。そしたらプロデューサーから今後ハゲたらクビって言われて。

僕、ちょうど育毛剤を飲み始めた時で、それが嬉しいことにめっちゃ効いて、回を重ねるごとに毛が増してきて、そこで信頼を得たというか。お前は居てええよ、みたいな(笑)。
でもまた最近、調子に乗って薬やめたら薄くなってきて……。だから今、必死で飲んでるけど。

津田:そういや1回目の時のライブ前、30分間ずっと鏡の前で髪の毛整えててどうにかハゲ隠そうとしてたんですけど全然隠れてないから「井尻貫太郎のハゲ隠し」って言われてて(笑)。

一同:(笑)。

井尻:確かになぁ。鏡の前で右に流しても無理で、左に流しても無理で手詰まりじゃなく毛詰まりになってました。仁王立ちしてずっと眺めてるしかなかった(笑)。

中村:(笑)。津田も津田で、ナルシストな部分があるんで絶対ハットをかぶって服装も真っ黒なスタイリングで登場するんですけど、そんな奴のダサいところが僕、めっちゃ好きなんで、津田がむっちゃスベる時とか本気で笑ってしまうんですよ。BERRY BETTERでしか、津田がむちゃくちゃスベるとこ見れないんちゃいますかね。

井尻:なんかコーナーでも一発目、僕まずカタチを作ってきます!って顔で行ってめっちゃスベるんですよ。え! なんで行ったん?て感じで(笑)。カタチ作りに行くより、壊しに行ってたよなって(笑)。中村さん同様に、津田のそういうとこ見ることできるの、好きです。

津田:出ちゃうんですよね。こっちやっといたらいいのに、別のことが面白いと思ってるから、ついやってまうんですけど、出てるメンバーすら笑ってない時がありますから(笑)。

まぁそういうことをやりたくなるライブでもあるかもしれないですね。他のライブやったら多分、ちゃんとして後輩に渡すとかですけど、俺これやったらどうなるねんやろ?っていうのがやりたくなるというライブではある(笑)。

木佐:お客さんも空気感を感じてるんですかね。

中村:回を重ねるごとにそういう見方になってきてると思う。どっちにしろそこも面白いねんけど。

津田:毎回チーン……ってなってて。BERRY BETTERのライブが芸人人生の中で一番スベってるかもしれない。でもこのライブに限ってはスベることを恐れなくなりましたね。恐れないから声も大きくなってるし(笑)。

画像7

――回を重ねるごとにメンバーのリズム感などはよくなっているんですか?

中村:以前はライブを2ヶ月に1回やってたんですけど、それで、人前で歌うことに慣れてきたのか堂々と歌うようになって、なんならちょっと上手くなってるやんっていうのが残念やなって思うときがあるねんなぁ。

心から上手くならなくてええのにって常に思ってる。もう練習も絶対しなくていいからって。そこは、やっぱりプロデューサーとしては不満。
でも下村だけは練習してたとしても、安定の音感クオリティなんで安心してるけど。

一同:(笑)。


to be continued

画像8

Berry Better!! プロフィール
ヘンダーソン中村プロデュース 音感・リズム感のない男達によるユニット。
ヘンダーソン・中村フー(鬼P)、トット・多田(ゲスト)、
ジュリエッタ・井尻、見取り図・リリー、ジソンシン・下村、ツートライブ・たかのり、マルセイユ・津田、kento fukaya、翠星チークダンス・木佐がメンバー。

Berry Better!! INFO

====
取材・構成/仲谷暢之(アラスカ社)
撮影/月刊芸人編集部


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?